繋げて考える

お手伝い保育が始まっています

昨年らんらん組(4歳児クラス)だったあの子たちが、何とも立派に

皆、すいすい組(5歳児クラス)として、その活動をやり遂げていました

2020年9月18日『繋げて考える』の中でこう書かれています。

「心の中の情報に集中し必要なものを維持しながら作業を進めるには、余計な注意を引くものは取リ除き、刻々と変化する課題に備える必要かある。それは沢山の滑走路があり、沢山の飛行機が飛び交う空港で離発着をコントロールする管制官のようなものてある。人間の脳においてこのような航空管制と同じような働きをして、情報をコントロールするメカニズムを実行機能と呼ぶ。」

遊びたい気持ち、面倒臭い気持ち、いろいろな葛藤があるだろうことを思っていると、活動の終わり際、一人の子から、

「ずっとお手伝い保育だったらいいのに。」

何よりも楽しさでこの活動は行われていたのだと、子どもたちの気概に触れ、子ども観を見直させられたような気持ちになりました。

(報告 加藤)

話すのを待つ

友だちの反応を、覗き込むようにして見つめる新入園児

ぐんぐん組(1歳児クラス)の午睡前、寝る前の絵本の読み聞かせを嬉しそうに見ていた子を、嬉しそうに覗き込む新入園の子です。

2020年8月19日『話すのを待つ』の中でこう書かれています。

人の話を聴くことがどんどん難しくなってきているのは、やはりスマホやタプレット等の通信デバイスを捨てられないことが影響しているのではないかとキャシーは考えます。完全にデバイスに依存している人と話をするには、デバイスを無理やりもぎとるぐらいのことをしないといけないというところまできていると言ってもいいのではないかとキャシーは言います。

表情を見て、相手の感情を読み取ったり、理解したり。生の関わりの中でしか育まれないものが園にはあるようです。

(報告 加藤)

場の設定

2020/7/29

眠りから目を覚ましたちっち組(0歳児クラス)の子たちの方から楽しそうな声が聞こえてきます。

2020年8月6日『場の設定』の中でこう書かれています。

コラボレーションを育む場を設定するということは、社会的なスキルを発揮するよう大人が子どもに働きかける場を作るということだけではなく、自ずと望まれるコラボレーション行動を子どもが自然にしてしまう場を設定することがとても大事

互いに手を伸ばし合い、触れ合います

関わり合う生き物である僕ら人間はこのような機会、場を得てこそその力を存分に発揮できるのだと改めて思います。

(報告 加藤)

必要なスキル

2020/721
お手伝い保育が始まりました

すいすい組(5歳児クラス)から数人、各クラスに配置されます。初回は1時間から1時間半くらい、短い時間ですが、子どもたちは楽しみにしていたようです。

ちっち組(0歳児クラス)にきょうだいのいるすいすい組の子、関わり方が上手で、ぐんぐん組(1歳児クラス)の新入園児がすぐに懐いていました。

写真は目の辺りを指さしたり、目尻を両手で下げたり、お姉さんの顔で遊んでいる様子なのですが、文句も言わずに付き合ってあげていて、偉いと思いました。

2020年7月18日『必要なスキル』の中でこう書かれています。

「ソフトスキル」と呼ばれるスキルには、コラボレーション、会議が自分の思い通りに進まなくても、カッとなったりしないような感情の調整、実行機能等が含まれます。実行機能とは柔軟に思考し、厄介な問題を解決するために、ただ同じやり方を漠然と繰り返すのではなく、別の方法を探そうとするスキルです。あなたの部屋の隣で子どもが大音量の音楽を流していても、家計の収支計算に集中できるのも、実行機能の働きによるものです。こうしたスキルは、弁護士、医者のような専門家に限らず、どんな職業の人でも使っています。

「ソフトスキル」を測定することはとても難しいのですが、ビジネス界や社会科学者の努力により大幅に研究は進歩しているようです。その結果、対人関係や社会的な洞察の役割についての理解が進み、子ども、大人にかかわらず、「ハードスキル」よりも「ソフトスキル」の方が、学業での成功を予測する上で役立つことが判ってきたそうです。「ソフトスキル」は「ソフト」ではなく「しっかりした」スキルなのです。

学校の授業では教わらないかもわからない学びを、今まさに積み重ねている子どもたちです。

(報告 加藤)

成功と幸せ

2020/6/23 ぐんぐん組(1歳児クラス)の子たち

「これ○○くんのエプロン」なのでしょうか「やってあげて」なのでしょうか、こちらにエプロンを差し出す男の子に、

これ僕のだよ、と体を叩いてアピール

それじゃ、と、

やってあげようとするのですが、

できなくて、テーブルに

その子が自分でやることを見守る形に

2020年6月21日『成功と幸せ』の中でこう書かれています。

彼らは、「成功」「幸せ」ということをこのように定義づけています。「健康で、思慮深く、思いやりがあり、他者と関わって生きる幸せな子どもを育て、皆が他者と協力し、創造的で、自分の能力を存分に発揮する責任感溢れる市民となる」こととしています。また、「『超』一流の市民」とは、無為の二流に甘んじることなく、一流というブランドに惑わされることなく、誰もが様々な分野で「『超』一流」となって輝くこととしています。

では、どうしたら良いのかということで、そのカギとなる能力として、六つのCの力=6Csを提唱しています。それは、

Collaboration:それぞれの強みを活かし弱みを補い合う

Communication:対話によって互いが満足するストーリーを作る

Content:専門領域について熟知し直感が働く

Critical Thinking:根拠に基づき熟慮して上手に疑う

Creative Innovation:変革について大きなビジョンを持つ

Confidence:熟慮した上で失敗にひるまず挑戦し続ける

この六つの力を見ると、その中の1,2は、他人との関係が示されています。私たち科学と言うと、実験室に一人閉じこもって、試験管を振ると言うイメージがあります。しかし、ここには、1ではお互いに「補い合う」という人類の進化における特性である、協力する、助け合う、ということが求められています。また、2では、対話を大切にしています。もちろんこの対話は、言葉によるものだけではないかもしれません。そこには、共感など、心の問題もあるかもしれません。ということから、私は、これからの時代における本当の新しい生活様式、教育の目指す方向を考える上でのヒントがあるのではないかと思っているのです。

生活の中で育まれていけるよう、このような姿が生まれるよう、保育は考えられていかなくてはならないことを改めて思います。

(報告 加藤)

未完の大人?

繋げて繋げて、じっくりと取り組んでいます

この子は何でも回してしまいます

丸く繋げたこの玩具も

引っ張ると動くプルバックカーを逆にして

戻ってくることを何回も繰り返していました

ぐんぐん組(1歳児クラス)の子たちの遊びを生み出す力に驚かされています。

2019年7月25日『未完の大人?』の中でこう書かれています。

過去の10年聞の研究で、幼年期と人間性についての新たな概念が生まれました。赤ちゃんや幼児は単なる未完の大人ではないということです。これは、いわゆる白紙論に対する否定的な見方です。それは、観察からだけでなく、脳のシナプスの数の過形成と刈り込みによっても明らかになってきているのです。このことをもう少し認識することが必要です。すなわち、赤ちゃんや幼児は、変化し、創造し、学び、探求するために、進化によって極めてみごとに設計されているというのです。

誰かから教えられてできるものでないだろう遊びを見て、子どもは白紙でないことを改めて感じてしまいます。

(報告 加藤)

支配的指導

2019/7/19

塗ることの諦められた塗り絵、少し使っただけで捨てられていた紙、それらを使って何か作れないか、と子どもたちに提案してみると、

「目はそっちにしよう」「それはこっちの色の方がよくない?」

話し合いながら、一つの完成形へと向かっていく姿を見せてくれました。

2020年1月13日『支配的指導』の中でこう書かれています。

人間関係の中で学び、協力し、助け合うことが日本人の特性であるとも言われています。欧米では、教師からの指導が中心になっているのです。この事実を私は知った時に、今までの保育カリキュラムは、欧米で考えられたものが中心で、特にアメリカでのカリキュラムは、保育者が子どもにどのようにアプローチするかということが中心課題になっていることが頷けました。しかし、この研究が小学校以降を対象にしていますが、実は、保育においても子どもたちの発達は、大人から教わるのではなく、人間関係から、子ども同士のかかわりから学ぶべきであろう私は考えています。しかも、それは、その方が効果的であるのは、もともと人類は人間関係の中で、協力し、助け合い、教え合うことで進化を遂げてきたからです。

『恐竜』

子どもたちだけで作り上げる作品に、いつも不思議な魅力を感じてしまいます。

(報告 加藤)

少年自治

2019/6/17 クライミングゾーンを開けます

少しの混沌を見守っていると、

すいすい組(5歳児クラス)の子が自然に

順番に遊ぶ段取りをつけてくれます

2009年7月11日『少年自治』の中でこう書かれています。

ある日、子どもたちはこんなことを言い出しました。「先生、どれを○にするかはもう自分たちだけで決めるから先生はいなくていいよ。」ということで、今は、子どもたちだけでどのゾーンを開設するかを話し合って決めています。ある朝、その横を通ったときにこんなやり取りが見られました。3歳児の子が「ねえ、ここを○にしてよ」「だめ、みんなここはきちんと片づけないから」と5歳児の子ども。「ちゃんと、片付けるよ」「じゃあ、もし片付けられなかったら、明日は×にするよ」
 こんなやり取りは、異年齢集団だから行われるのかもしれません。もし、同年齢児集団で同じようなことが起きるとしたら、力関係で命令してしまうことになってしまうでしょう。異年齢集団では、年長児が指示をしてもそこには思いやりが感じられます。

すると、すいすい組の子がいなくなっても順番で遊べるのですね

そういう毎日を子どもたちが自然と積み重ねられていることを思い、改めてこの保育の凄みを感じます。

(報告 加藤)

 

文化的行動の伝承

2019/4/17

わいわい組(3歳児クラス)に入園した新入園児が保護者と離れ、泣いていると、すいすい組(5歳児クラス)子が駆け寄ってきてくれました。

とても感動的だったのは、自然と寄り添ってくれたすいすい組の子たち二人は、同じようにわいわい組の時に自園に入園し、そして今泣いているその子と同じように、保護者との別れに泣き、そしてその頃のすいすい組の子たちにその涙を拭いてもらっていた子たちだったからでした。

2019年1月5日『文化的行動の伝承』の中でこう書かれています。

以前、ハリスは遺伝以外に文化的行動が古い世代から新しい世代へと受け継がれる方法が四つあると述べていました。そのうち三つはすでに却下されています。文化は親から子へと伝えられるものるではなく、移民を親にもつ子どもたちは仲間たちの文化を受け入れます。このことから、親の育児態度と子どもが親を模倣するというはじめの選択肢二つは排除されました。三つ目の選択肢は子どもたちが同一社会に属する大人全員を模倣するというものでしたが、これだと子どもの文化が親の文化と異なる場合には成り立ちません。そこで、ハリスは、「文化は子どもたちの仲間集団を通じて伝えられる」という結論に達しています。

これは、最初に私の見解を述べたものと同じ結論です。私はかねがね文化は子ども集団の中で伝えられていくものが大きいと考えているのです。これはハリスが提案する集団社会化説の中心的な考え方の一つでもあります。

こうしてまたこの子も、涙を拭う側へと成長していくのでしょう。

(報告 加藤)

世界の仕組みを知る

2019/4/10

スイッチ、だそうです。

これは2日かけて製作

ロボット、とのこと

思い返すと、空き箱やこういったものを使ってものを作ることが好きな子たちでした。

男女問わずよく遊んでいたものです

2020/2/7 数人で一緒に作っていた船

2019年7月22日『世界の仕組みを知る』の中でこう書かれています。

子どもたちが自発的に、“ものすごく熱中して”遊んでいるときは、因果関係を調べたり、実験を行ったりしていると考えられると言うのです。実験は世界の仕組みを知るための最良の方法だとゴプニックは言います。

子どもたちのこうした特性を知って、科学ゾーンに取り組むべきでしょう。単に、早期教育だとか、また、何かを教えるような科学では意味のないことを知ります。ただ、子どもたちのこうした試行錯誤は、一人で黙々と集中して取り組むときと、皆でわいわいと言いながら取り組むときとでは、身につくものが少し違う気が私はしています。それは、個人差があるのでどちらがいいかということは言えませんが、今までの研究や、取り組みに、子ども同士が知恵を出し合うことの意味が少ないようです。しかし、“助っ人理論”ではありませんが、社会に出てそれは大切なことだと思うのです。特に、私たちの先祖であるホモ・サピエンスは集団の中で、知恵を出し合って道具を進化させていったのです。

友達の真似をして作った、と見せてくれました

紙とテープを組み合わせて、立たせています

彼らが日々学んでいた程に自身は自発的に学んでいただろうか、写真たちに問われているような気持ちになります。

(報告 加藤)