学びの日

新宿せいが子ども園では毎週火曜日が「お手伝い保育」の日になっています。
ちっち組(0歳児)、ぐんぐん組(1歳児)、にこにこ組(2歳児)、すくすく(一時保育)、職員室にそれぞれ年長さんたちが分かれて各クラスで日中を過ごすという日になります。

そんなお手伝い保育の日の配属クラス(クラスというのも変ですが)に、今年度から「学びグループ」というのが追加され、私がその担当をさせてもらっています。

この学びグループは何をするかというと、まずは科学実験を行います。そして、その後に、全国の年長さんとオンラインで交流をします。
科学についても園での取り組みをさらに充実させたいと思っているので、とてもいいきっかけになっていますし、子どもの発想から思っても見なかった方向に実験が進むこともあってとてもおもしろいです。

オンラインでの交流はzoomを使って行われます。近くにいる人と交流するには会いにいくということが一番だと思いますし、私たちもzoomが使いたいからこのような交流をしているわけではありません。「zoomを使うことで、普段会えない人と繋がることができるよね」という園長先生のアイデアもあり、この取り組みが生まれました。
そして、この交流で大切にしているのが、子ども同士の交流です。大人と子どもではなく、子どもと子ども。これは藤森メソッドでも大切にしている考え方の一つですね。

これまで長崎、熊本、大阪のみなさんと複数回に渡って交流してきました。来週は宮崎の園さんとの交流が予定されています。そして、再来週はシンガポール笑。

少しお手伝いという目的からは離れるのですが、いい意味でも設定保育にもなっているのかなと思います。実験での子どもの様子、オンラインでの子どもたちの交流の様子で興味深い姿がいくつかあったので、少しずつこれから紹介していきたいと思います。

まずは、プロローグでした!笑

森口達也

 

ドイツ報告2014-13

2019/8/13

子どものロッカーに何か貼ってあります。

「つくりとちゅう」「おうちにもうてかえるもの」

下の段の子も

2014年7月6日『ドイツ報告2014-13』の中でこう書かれています。

「小さな研究者たち」という取り組みをしている園で、科学実験を体験してみて、こんなことを感じました。科学というより、研究という分野は、驚き、好奇心、工夫、観察、創造という内容を包括したものであるとしたなら、幼児教育そのものかもしれないということを感じました。それは、この園の様々なところに置かれている「モノ」という環境からも感じることができました。それは、保護者達が作ってくれたというハウス・フェア・フォルシャー(研究者たちの家)の内部を見たとき、研究ということの確信が持てました。
 例えば、私たちが用意する制作ゾーンでは、「発明品を制作する」と考えれば、科学ゾーンになるのです。

子どもたちなりの工夫が生まれるのも、ゾーンという環境の力だと思いました。

(報告 加藤)

冷却するこつ

2016年3月15日『冷却するこつ』の中でこう書かれています。

よく、保育で「心情・意欲・態度」ということが言われます。保育所保育指針には、「子どもの発達は、子どもがそれまでの体験を基にして、環境に働きかけ、環境との相互作用を通して、豊かな心情、意欲及び態度を身に付け、新たな能力を獲得していく過程である。」と書かれてあります。発達というのは、豊かな心情、意欲、態度をみにつけることで、新たな能力を獲得していく過程であると定義しています。また、幼稚園教育要領には、「ねらいは, 幼稚園修了までに育つことが期待される生きる力の基礎となる心情, 意欲, 態度などであり,」と書かれています。これによると、ねらいを達成するために指導する事項が保育の内容であるとしています。

そこで、園現場では、子どもたちに自ら取り組むための心情、意欲、態度をどのように身につけるか、活動するかを考えます。また、子どもたちが、活動の中でいかに意欲を持ち、進んで行ない、その活動に熱中するかを計画します。

2019/7/25 配膳の前の時間

望遠鏡を作った、と見せにきてくれました。

こちらも

トイレットペーパーの芯とカラーセロハンの組み合わせですね。

「私もできたよ」

紙を組み合わせて大きな迷路を作ったようです。

製作ゾーンという環境が子どもたちの自ら取り組むための心情、意欲、態度を促していることが伺えます。このゾーンの充実を考えることは、指針に書かれている保育をすることと同意義であり、改めてこの保育が指針に沿った保育であることを感じます。

ブログには続きがあります。

しかし、園では、1日中子どもが意欲を持って、熱中できるわけではありません。なぜなら、どうしても昼食を時間が来たら食べなければなりませんし、ある時間になると片付けなければならない場面が出てきます。しかし、子どもたちはその活動に熱中すればするほど、その活動を中断しようとはしませんし、片付けようとはしません。では、心情を生み、意欲を育て、物事に取組む態度を付けることはできても、それをどのように止めさせればいいのかは、保育指針にも、教育要領にも書いてありません。ホットな刺激をクールダウンさせる必要があるのです。そのときのヒントが、マシュマロ実験の考察にはある気がします。

ミシェルは、マシュマロ実験を行なってみて、頭の中でどう刺激を表象するかを変えられれば、自制心を発揮し、私たちの行動をコントロールするまでになったホットな刺激の犠牲者という立場を脱せると確信したようです。彼は、ホットで魅力的な刺激を一変させ、認知的な再評価によって刺激の影響を「冷却」することができると言うのです。少なくとも、時折、特定の条件下では、そのこつは、条件を整えることになると考えます。歯を食いしばり、スパルタ式の難行苦行に耐えて自らを鍛え上げ、痛みをこらえる必要はありませんが、強い動機付けと最善の意図だけでは足りないと考えています。

必要な力は、前頭前皮質にあり、この皮質を活性化させれば、評価の仕方を変えて、ホットで魅力的な刺激を「冷却」する、ほとんど無尽蔵の方法を実現可能にしてくれます。前頭葉がまだ発達していない未就学児たちでさえ、おおいに創造力を活用し、素晴らしいお手本を見せてくれたのです。彼らは、自分が直面した誘惑を「ただの写真」に変え、頭の中で額縁に収めたのです。自作の歌を歌ったり、足の指で遊んだりして、自らの気をそらすことで、誘惑から自分の注意を完全によそに向けたのです。

ランチの配膳前、片付けの時間を合図する鐘が鳴ると、子どもたちがよく自分たちで造ったものを見せにきてくれると思っていました。

それはある意味では冷却するこつだったのかもわかりません。子どもたちにとって保育者とは、まさに人的環境であるのですね。

(報告 加藤)

父親保育2

2019/6/8 父親保育にて

拾った草花を貼り付けていきます

いいアイデアですね

絵を加える子も

2012年5月29日『父親保育2』の中でこう書かれています。

父親保育での計画は、父親たちの発想と、広い視野からと、遊び心など男性ならではのもので感心することも多いのです

新しいアイデアは、自分の枠組みの外にあるといつも感じます。

(報告 加藤)

行動

配膳の時間、いつもなら頼まれるエプロンの紐を今日は中々頼まれないなと思っていると、

2019/6/7 なるほど

声を掛け合いながら自分たちでやっていました

2018年7月11日『行動』の中でこう書かれています。

「幼児教育の基本は、環境を通して行うもの」であることも平成元年に幼稚園教育要領で示されたのですが、なかなか現代にそれが実現されていないのは、具体的な方法がわからないことが多いからでしょう。それは、過去から常に課題だったのでしょう。以前のブログでも書きましたが、日本でも実際の行動に移さなければ意味がないということから陽明学における知行合一という考え方があります。それは、「知識と行動はもともと一つである」ということです。どんなに尊いといわれている教えであっても、それを納得し、実際に行動に移して初めて意味あるものだということです。

それ以来、そのページを印刷して壁に貼って、その横に紐を結んで遊ぶ玩具を貼って、と環境を用意しました。

子どもたちの姿から環境が広がっていく、ということを実感します。

(報告 加藤)

乳児からの科学

ぐんぐん組(1歳児クラス)の子たちとの生活が始まりました。

西日の入る時間に

床はこんな感じです

透けて見える世界はどんなでしょう

2015年2月10日『乳児からの科学』の中でこう書かれています。

子ども向け絵本やおもちゃにも、想定される子どもの年齢が書かれてあることがあります。外国のおもちゃにも書かれてあることが多いのですが、その多くは、「3~99years」と広い幅で書かれてあります。しかし、絵本には書かれてあることはありません。それは、それぞれの年齢に、それぞれの楽しみ方があるからです。科学においても同じようなことが言えます。「Science Experiences for the Childhood Years」という本の中には、こんなことが書かれてあります。

 「2歳児でも、単純で感覚的な活動であれば、楽しんで行うことができます。うちわで扇いだり、風ぐるまを回したり、風の強い日には吹き流しをそよがすことで、空気が動いているのが感じられます。石の手触りや重さを感じたり、氷を触った後に溶けた水にも触らせてみましょう。金魚をよく見て同じように動いてみたり、畑でなっている果物や野菜をとって食べてみてもよいでしょう。大きな音や静かな音を聴いたり、色つきセロファンを通して、周りを全く違う色で眺めることもできます。」

 確かに、2歳児でもそのように科学の体験ができるでしょうね。そう考えると、もしかしたら、0歳児でもできるかもしれません。それは、特に認知的なものを学習するということではなく、不思議さを感じることが科学であるとしたら、他の年齢よりも乳児の方がより感じるのかもしれません。最近の研究で、乳児から量や長さ、数の概念ができるということがありますが、私は、赤ちゃんでも物事の道理がわかっている気がします。

ちっち組(0歳児クラス)の時のことを思い出します。

楽しい時間を子どもたちと、先生方と共有していきたいと思います。

(報告 加藤)

『遊びと自然』

子どもの時やった遊びを子どもたちと楽しみました。

オオバコ相撲

オオバコ相撲

ちぎれないコツを教えるとすぐ強くなる子どもたちです

ちぎれないコツを教えるとすぐ強くなる子どもたちです

砂山崩し

砂山崩し

加減が大切ですね

加減が大切ですね

虫捕りも盛り上がっています。

トンボを捕まえました

トンボを捕まえました

右側の子が網の上から持ってあげ、援助しています

右側の子が網の上から持ってあげ、援助しています

「もうちょっと手、伸ばして」

「もうちょっと手、伸ばして」

「掴めた?」「掴めた」

「掴めた?」「掴めた」

共同作業ですね

共同作業ですね

ブログ『臥竜塾』2009年9月27日『遊びと自然』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると塾長藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回の全文を読むことができます。)

子どもの権利条約「第31条」には、「休み、遊ぶ権利」が書かれてあります。「 締約国は、休息及び余暇についての児童の権利並びに児童がその年齢に適した遊び及びレクリエーションの活動を行い並びに文化的な生活及び芸術に自由に参加する権利を認める。」
それぞれの子どもたちのために、その年齢に適した遊びを用意しなければなりません。それは、決して、管理しやすいとか、危険が少ないとか、汚くないとかいうような大人の都合でつくられるのではなく、あくまでも子どもにとってどうかを考えなくてはなりません。しかし、それは単に子どもが好きかどうかということではなく、人間の成長にとって大切な遊びの重要性を考え、提案しなければならないのです。そんな意味で、児童遊園がつくられているでしょうか?
子どもにとっての最高の遊びの遊具は、自然界にある火、水、木、土だといわれています。これらを、どのように公園に生かし、子どもたちが自然と触れ合うことができるかを意図するのも必要です。もうひとつ、最近の少子社会で重要なアイテムとして「子ども集団」が必要な気がします。いかに、集団で遊ぶことを促すかということです。

子ども同士、子ども集団を01歳児の頃から促す見守る保育Fujimori Methodは、自然と関わり合う子ども同士の関係を構築する保育であることを改めて感じると同時に、そのような視点で遊びや遊び場を考えるということが大切であることを学びます。

(報告者 加藤恭平)

靴紐とエプロン

以前、他クラスの職員からこんな画像が送られてきました。

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3・4・5歳児の子どもたちが好きそうなものから、今行っている遊びを発展させるための手作り玩具のアイディア写真です。塾長がよく言っている「外には保育のヒントが溢れている」ということが改めて感じられるように、その職員も、きっとネットで見つけた面白そうなものをピックアップしていたのでしょうね。

先日、お当番活動をするために、エプロンを着用する子どもから「先生、やって」と言われました。いつものように「いいよー」と言って後ろの紐を結んでいる時、ふと送られてきた画像を思い出しました。

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乳幼児期において、「遊びを通して」がキーワードになるように、蝶々結びを遊びにおろし、それを「貢献」につなげられるイメージが湧きました。そこで早速真似して作ってみます。

エプロンと同じ丸紐を採用

エプロンと同じ丸紐を採用

現場におろすと、「私できるよー」「あ、やってみたい」などと言って遊んでいました。

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次の「先生、やってー」には、その遊びを楽しんでいた「○○ちゃんにやってもらってー」と答えてみたいと思います。

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多くの情報があるこの世の中でも、その情報を上手く整理して利用する能力が必要であることを感じます。持っている情報を、いつ、どこで、どのように使うかは、その人に委ねられています。それが、「個性」として現れていくのかもしれません。

子どもたちが今行っている遊び、そして日常の行動がどのような「貢献」に生かせるのか。それはきっと、それをつなげる社会に委ねられています。

(報告者 小松崎高司)

投扇興②

前回の報告からだいぶ間隔が空いてしまいましたが、投扇興をして楽しむことで色々と子どもたちが発展させていました。

 

遊びをするに当たってそれぞれの役割が自然とできていました。

投扇興を楽しむ子、扇子を投げたものを取って戻してくれる子、得点を見てそれぞれの子に得点をチェックしていく子と楽しんでいました。

「おっ!これは何点だ!?」と得点を見ていきます。

「おっ!これは何点だ!?」と得点を見ていきます。

そこで得点表を作っているところの様子を見に行くと上手に表を作っていました。

これは驚きです。どこで覚えたのかわかりませんが、真剣に取り組んでいます。

 

〇〇ちゃん、〇〇くんとそれぞれ縦に名前を書き、横に得点を書いています。

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その子の番が来るたびに得点を消して足しているのを見て少し表の書き方を伝えてみると「おー、そうか!」と嬉しそうな反応。

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自分でもいい方法はないかと模索していたのでじょうね。

 

さらに表の線がフリーハンドなため上手く横に線が書かれていませんでした。

 

そこに長めの定規を差し出してみるとその表を作っている子が「ん?」といった表情で使い始めました。

するとその子が、「じょうぎって便利!」と嬉しそうに言ってしました。

 

この一連の流れは当たり前のことかもしれませんが、遊びの中で様々なことを見つけ、考え、学んでいることがよくわかります。

 

塾長は「あー、雑巾の絞り方を誰だか忘れてしまったけど、教わったなー。のその誰かになりたい」ということをおっしゃっていたことを思い出します。

 

その誰かとは程遠いかもしれませんが、一緒に年長で過ごした子たちが少しでも環境の中から学んでくれていたら嬉しいと思います。

(報告者 本多悠里)

身長計

新年度が始まり一週間が過ぎました。

 

今年の個人的な目標はブログでも西村君が報告したように、

見学者がより見学しやすいように環境を設定することです。

 

まず塾長が行事の話しをされる時に、よく言われることがあります。

「装飾などで手が込んだ物を作る場合は、行事の為だけに作るのでなく、そのあとの保育にも活かせるような物を作るようにしなさい。」

おそらく多くの人が聞いたことがある言葉ではないでしょうか。

実際に塾長が私や西村君に行事の装飾を提案するときは、必ず行事が終わった後に、どこに飾るかなども提案してくれます。

去年度の成長展の看板を作る時もそうでした・・・。

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これが去年度の成長展の看板です。

そして、この時に使ったアトム君は・・・

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ここにいます。

早速、子どもたちはアトムと背を比べていました。

中にはお父さんと・・・

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おそらく、こういう環境は当たり前かもしれませんし、

既に同じようなことを実践している保育園もあると思います。

 

その当たり前の実践を今年は大切にしていこうと思います。(報告者 山下祐)