「はかる」こと

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先日、近所の雑貨屋さんにふらっと入ると、布製の「身長計」が目に止まりました。最近、「文字・数・科学」という視点から保育を行っていくよう意識していたので、目に止まったのだと思います。

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さっそく購入し、次の日に壁に設置してみました。すると、子どもたちは次々に興味を持ち始めていました。初めは、自分と友だちの身長を比べていましたが、次第に様子が変わってきます。

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身の回りにある様々な物を比べ始めたのです。

 

私は、“きっと身長を測るだろう”といった予想のもと、「きみのしんちょうはなんせんち?」という言葉を添えたのですが、子どもたちの飽くなき好奇心は、それに留まることなく、様々な物の長さを調べ始めたことから、「いろんなものをはかってみよう!」といった言葉でもよかったなぁとふと感じました。子どもの行動というのは、良い意味で大人の予想を裏切ってくれます。その柔軟さについていける、幅の広い予想を持たなくてはと思います。

 

そんな思いを抱いている時、同じ保育室内に紙上の「身長計」が既に貼られていたことに気がつきました…。恥ずかしい話なのですが、その存在を認識していませんでした。ここで感じたのは、同じ環境があっても、アプローチの仕方や環境を設置する場所によって子どもの反応は違ってくるということです。きっと、子どもの「動線」の話も関連していると思うのですが、私が設置した場所は、既存の「文字・数・科学」ゾーンのそばではなく、普段お昼寝や、ホールに行く際に必ず開ける扉のすぐ横に設置してみました。これには、私なりの意図がありました。

 

ある例え話です。

あるビルのエレベーターが、非常に遅いという苦情がオーナーのもとに来ました。つまり、待ち時間が長いのです。オーナーは困りました。なんとか、あまりお金をかけずにこの問題を解決したいなぁと思っていました。

みなさんなら、何をするでしょうか?

3…

2…

1…

アンサー!

そのオーナーはというと、エレベーター前に「鏡」を設置したそうです。その途端、その苦情はなくなっていったそうです。私も、詳しくは分かってはいませんが、きっと同じ待ち時間でも、鏡で“自分の身なりを整える”という時間を作ったことによって、待ち時間に別の付加価値を加えたのだと感じています。

この話を思い出し、普段、上の階に行く時には必ずこの扉の前に並んで待っている子どもたちの時間を、「数」の時間にしようと考えたのです。

そして、ふと、物を測っている子どもたちは何を知りたがっているのだろうと思いました。長さを知って何をするためなのでしょう。よく理解できていませんが、物を測り、大きさを知る行為というのは、ある決断を行う時に必要不可欠な情報としてなくてはならない存在なのだと思います。その決断のスムーズさが、物を測る行為と関連しているのではと予想します。まるで、その物と自分との距離を図っている行為のようにも感じました。様々な情報の中から、子どもたち自身で必要な選択ができるような環境を考えていきたいと思っています。

(報告者 小松崎高司)

「はかる」こと」への2件のフィードバック

  1. 小松崎さんの話にはいつも筋があるような印象で、読んでいて自分もこのようにしっかり考えていきたいなと思います。ふと目に止まった身長計でも、どこに置くのか子どもたちの様子をふまえて、しっかりとした意図を持ちながら環境を構成する姿に刺激を受けます。私は思いつきの部分がまだまだ多いので、この意図を持った環境の構成をしっかり意識していきたいなと思います。

  2.  〝上の階に行く時には必ずこの扉の前に並んで待っている子どもたちの時間を、「数」の時間にしようと考えたのです。〟
    素晴らしい考察、素晴らしい提案ですね。昨日の10周年記念パーティーの前の記念講演の中で、小松崎先生の報告が紹介されていましたが、やはり見事。改めてその着眼点の鋭さ、考察の見事さ、そして、研究ぶりというのでしょうか、その時のその姿にとどまらず、考察を元に次の機会でのその子の姿を追おうとする姿勢。そのどれもに感動をもって、昨日の講演を聞いていました。
     そして、この回の報告。本当に勉強になります。

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