8月10日塾報告

 8月5日・6日に、茨城県「にのみや認定子ども園」さんにてGT北関東があり、今回は藤森先生の講演と初のビーカー先生こと森口先生の実験教室がありました。

藤森先生の講演では、ソサエティ5.0、STEM、文科省の教育が今後どのように進んでいくのかという話をされたようです。

その講演を聴かれていた小松崎先生は、

「自分達がやっていることに間違いがないと思えた。子どもの主体性、参画や自主性、サポート支援が大切で、これからの時代、大人の成功体験から子どもに教えるのではなく、それぞれの学びを支えたい。クラスの概念を壊して、他業種とつながりも増え、学びの形が変わるという話も面白かった。 また、アタッチメントについて、子どもと大人の関係だけでなく、子ども同士のアタッチメント、情緒的利用可能性を動画に収められたら面白いと思った」とのことでした。

 藤森先生はその話に付け加え、

「2歳児のイヤイヤ期はあまり保育園では見られない。それは集団と家庭は異なり、うまく集団ではやっている。イヤイヤ期ではなく、自己主張期なのではないか」と仰っており、正にその通りだと感じました。

私自身も、2歳児クラスでは、自分の思いを主張したいという子どもの葛藤し、折り合いをつけようとする場面の方が多く見られ、子どもなりに小さい社会を理解しているように感じます。

また、講演を聴かれていた高橋先生は

「改めて根拠の深さを感じた。最近、保育で小学校に対応できるようにしようとすることが多いが、慣れさせるのてはなく、これからのことを考え、環境を変えた時でも楽しめるような子どもに育てたい。」とのことでした。

 そして、初めての実験教室を終えたビーカー先生こと森口先生は、

「15時15分から4時くらいまでの時間でやり、見たい子だけで、約2、30人が集まる感じでした。子ども達のリアクションが良く、小さいことに興味を示し反応してくれた。

始める前は不安もあり緊張したけど、1回やるとわかる。やってみないと分からないことがあることに気づけて良かった。」とのことで、これからもビーカー先生としての幅が広がることが楽しみです。

ちなみに、ビーカー先生の実験内容は・・・↓

◆踏むと潰れてしまう紙コップにどうしたら乗ることができるのか!?

◆風船の頂点に針を刺しても割れない!?

◆どの野菜が浮くか!?塩水を入れると沈んでいた野菜はどうなる!?。

◆一円玉が入った水に洗剤を入れるとどうなる!?

ぜひ、気になる方は子ども達と実験してみてください!!

そして、にのみや認定子ども園さんの環境の写真を見せて頂きました。

この家具は保育士さんが用務員さんが要望して手作りしているそうです。私もDIYが趣味なので、このような手作りの環境の写真を見ることができるとテンションが上がってしまいます。

 さて、次は「保育雑誌は、保育士がどう子どもと関わるかという話が多い」という話題になりました。

藤森先生は、

「心理学は研究者と子どもの関係がメイン。しかし、保育園は子ども同士の関係性のため、現場と研究とはズレを感じる。」と仰っており、

森口先生も、

「子ども同士の関係性が見えてこない。子どもに頼むとか、子ども同士がつながるような声がけしていきたいと改めて思った」とのことでした。

それに対して小松崎先生も

「現場の研究が必要で、実践発表をし、見守る保育をサポートしたい。そして、集団的好奇心?のようなもの子ども集団にあり、子ども同士で興味関心を深めているのではないか。」とあり、

森口先生も保育園に通う自分のお子さんの好みが変化しているようで、「分からないのに友達が好きなラプンツェルが良いと言っていて、友達の影響は大きい。保育をしていて、折り紙の手裏剣の作り方が分からず、折れる子にお願いして伝えると折れる子を探して折ってもらっていた。折ってもらうためにはお互いに友達を知っていないといけないし、乳児から子ども同士をつなげていきたい。」と感じたようです。

この話に関しては、保育雑誌のような子ども対保育士という関係ではなく、「子ども同士が関わるとどうなるのか」という内容を安藤先生が作られているようで、その出来上がりが楽しみです。

 次に最近の保育の話へと変わりました。

伊藤先生(2歳児担当)

「最近、子どもの人数が少ないため、わらす(345歳)にヘルプに行くと、他の先生達の関わり方が見えて学べる。今の子ども達がどのように成長するのかイメージが持てる。

子どもに対してどこまでやっていいいのかと考えることがあるが面白い経験になった。」

太田先生(1歳児担当)

「先週、リーダーをやり、急に熱が出て帰る時の対応がまだ慣れない。大切なお子さんを預かるので、ケアをしていきたい。不手際のないように対応していきたい。」

中村先生(1歳児担当)

「久しぶりに離乳食をあげた際に、子ども達の成長を感じた。活動量も増えてきていることに驚いた。同じクラスのかじ先生の離乳食のあげ方が良く、好きに食えという感じで全く動揺しない。」

 私自身も忙しさの中で大切なことを見失いがちになるので、塾で新人の先生の話を聴くことや様々な先生の違う視点での話を聴くことで自分の学びへと繋がっており、みんなで話す機会の大切さを実感しました。

次に、キャリアアップ研修の話題になりました。

藤森先生の研修に参加した本多先生は

「リーダーシップ論、マネージメントの話を聴き、基本的な部分を思い出せた。人としてやってはいけないことを考えました。(笑)保育士として振り返ることがあり、人がついていきたいと思えるような人格者になりたい。

リーダー論も変わってきていて、コミュニケーション能力や、それに対して適切なアドバイスができるようになりたい。」とのことです。

「どうしたら伝えることがうまくなるのか?」という話になり、

藤森先生が、

「10を知ってようやく1伝わる。教えることが学習定着率が高いように、人に伝えるには、それ以上に知っておかなくてはいけない。しかし自分も学んでる途中で、そんなに浅いものではない。奥が深いものほど、浅く見える。」と仰っており、私も藤森先生の姿勢から、謙虚に学び続ける大切さに気づかせて頂きました。

次に藤森先生から、日本人の論文が少なくなってきているという話題があり、

「それは今の若い人たちはこういう気質だと言うが、それは違う。世界の若者はどんどん新しいことをやろうとしていて、日本の教育が間違っているのではないか。世界の若者はどんどん論文を出そうとしている。全世界の若い人の特徴ではなく、日本の若者の特徴であり、教育の問題であり、世界の競争力で日本が最下位になったが、それが影響しているのでは?」とあり、

森口先生は、

「お手玉で子ども達が遊んでいた時に、ある子どもがサランラップの芯を使ってお手玉で遊ぶ姿があり、クリエイティビティな遊びになっている(笑)管理されることが多いのでは?」

本多先生も

「どうしても管理したくなるが、せいがの345歳は約90人いるから、いい意味で管理できない。」とのことです。

私としても、適切なおもちゃの遊び方を子どもに伝えようとしてしまいがちですが、これから求められる子どものクリエイティブさを考えると、「この遊び方もありなのではないか?」と迷うことがありますが、迷うくらいがよく、考え続けることで専門性を高めて行けたらと思います。

 また、日々、子ども達の興味関心や意欲には驚くばかりです。これほどの意欲を持つ子ども達が、大人になった時に意欲をなくしてしまうのは、藤森先生がおっしゃる通りで日本の教育に問題があり、今、教育現場が変わる必要が求められているのではないでしょうか。

(報告者)佐野 学

2022/8/3 報告

8月3日の塾報告をさせて頂きます。今回も、完全ZOOMによる塾の開催となりました。

 この日は複数の話題について皆で議論を行いましたが、奇しくも「職員間でのコミュニケーション」や「意識の共有方法」といったポイントで通底しているものでありました。ここでは、最も時間をかけて話し合った 「新しい取り組みにチャレンジしようとする職員を育成するにはどうしたらいいか」というテーマについて報告させて頂きます

 話題を提供くださった管理職をされている先生から、「前例のない試みに挑戦しよう!」と促しても中々反応してくれない職員の方が一部でいる、というご経験を語って頂きました。方針をはっきりと示したり、膝を突き合わせて話し合ったりなどのアプローチはしたものの、その職員の方がこちらの期待している行動をとるには至らなかった、といったお話でした。
 そのエピソードを聞いた園長先生や塾生から、様々な意見が出ました。

園長先生からは下記のような旨のご意見を頂きました。
・教師が生徒にチャレンジを促す際、日米でアプローチの仕方が違う。
 日本では「おもしろそうだから、やってごらん」
 アメリカでは「おもしろそうだから、一緒にやってみよう!」
 アメリカの教師のように、自分も一緒に取り組むというスタンスで接してみたらどうか?
・人前で失敗したくない、という気持ちを持つ若い世代は多い。ある大学の先生は、まず自ら生徒の前でわざと失敗してみせて、学生をリラックスさせている、という話もある。
・その職員がやらないのであれば、それを管理職の自分がやってみせる。
・園の方針を常に発信し続けることが大切である。個々の考えもあるから行動を強制することはできないが、方針が浸透して行動が変わることもある。言わなければわからないので、こちらの要望を言い続ける。
・目指す方向を示す意味で、行っている試みが世間で評価されていることを伝える。

また塾生からは下記のような意見が出ていました。
●柿崎先生
・小さな規模での試みから始められるようにしたら、失敗を恐れずに挑戦しやすいのではないか?
●本多先生
・違う役割の職員達も巻き込んで一緒にやるのが良いのでは? とりあえずやってみるのが大事。
●森口先生
・何も働き掛けをせずにいて、周りとの差を本人に気付いてもらうという方法もあるかもしれない。
・相手の思いを聞いてあげるだけでも違うかもしれない。理解し共感するスタンスをこちらがとることで、相手もこちらの意見を聞き入れてくれるかもしれない。 信頼関係ができさえすれば、というろころはあるように思う。「自分たちは肯定されているのだ」という気持ちを持てるようなコミュニケーションが大切。
●西田先生
・どうしても波長が合う、合わないという人がいる。相手と波長が合う人や話しやすい人に頼んで働き掛けてもらう、という方法はあるのではないか? 
・もし職員が失敗した場合、管理職の自分も一緒に失敗したというスタンスであることは必要。

 山本五十六の有名な言葉で「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」というものがあります。いかに「人を動かす」ということは難しいことなのか、この言葉は示しているように思えます。この度、皆さんのお話をおききしていて最も強く感じたことは、そういった際のコミュニケーションの難しさです。職場にて信頼関係を構築したり、意識を共有したりすることは、良い仕事をするために必要なことかと思います。が、そのためにどのような意思疎通を行うべきなのか、そこに明解な答えはないものなのだと感じました。ましてや「人を動かす」にはいろいろなアプローチがあるものと、皆さんの意見をきいて思いました。
 そんな中でもポイントとなることは幾つか存在しているものと感じました。「相手の話をよく聴こうとするスタンス」「まずは自分がやってみせること」「周りを巻き込んでいくこと」といったことが必要なのではと感じました。また最後に森口先生が「この先にある『ワクワク』を提示する」と仰っていたのですが、そういったことも「人を動かす」には特に大切なのではないかと思いました。

  また最後に私から「こどもの視展」というイベントに行ったことを報告させて頂きましたので、こちらでも紹介させて頂きます。
「こどもの視展」は、東京青山にある「ITOCHU SDGs STUDIO」にて、7月22日から9月19日に行われているイベントです。
「こどもになって世界を見てみよう」がメインコピーで、こどもが体験している世界を大人も体験できるというイベントです。実際体験したもので、印象的だったものをいくつか紹介させて頂きます。
 一つは「2歳の朝食」というコーナーです。パンフレットの記載を以下に引用させて頂きます。
・2歳児から見た朝食風景を再現した体験展示“2歳の朝食”。
 すべてが大人の約2倍サイズのものを日々扱っているこどもたちの大変さを体験いただきます。
 大きなテーブルの上に、重い牛乳パックとマグカップが置いてあり、それを触ったり持ち上げたりできます。子育てをしていると、自分の子どもがコップに注ぐのを失敗する等した際、どうしてもイライラしたり怒ったりしてしまうことがあります。が、これを体験してみると、子どもがそういった「失敗」をしてしまうことは全く無理からぬことであるということがよく理解できます。大人の為に作られた、大きくかつ重い過ぎるものを扱うことが、子どもの日常であるということを実感しました。
 二つ目は「4mの大人たち」というコーナーです。
・私たちがこどもになったとしたら、大人は4m級の巨大生物。
 そんな巨大生物に見下ろされて怒られた時の怖さをVR映像“4mの大人たち”でぜひ体感してください。
 これはVRゴーグルを装着することで、子どもの視点を疑似体験できます。子どもから大人がどう見えているのかということを実感しました。またその「4mの大人」のCGは怒っており、子どもにとっての大人の大きさが更に強調されているように感じました。
三つ目は「大人ランドセル」です。
・大人ランドセル
何年も問題視されている重すぎるランドセルを大人サイズに換算して再現した“大人ランドセル”。その体感重量はなんと約18.9kg!
背負ってみれば、こどもたちの苦労がわかります。
 自分の子どもが月曜に学校へ持っていく荷物を持ってみて、愕然としたことがあります。このコーナーで大人サイズに換算したものを背負ったり手にしたりしてみて、更に子どもが感じている大変さを理解しました。
 本イベントを通じて感じたことは、「世界は大人のためにできている」ということです。社会のシステムや身の回りの多くの物は、大人が使いやすいように作られたものであると感じます。子どもの立場になって考えれば使いづらい物が殆どなのではないでしょうか。そんな世の中で、保育をする環境はそうあってはならないと思います。保育者として保育の空間をつくる際、子どもの心や体のことを理解し考えながらすべきであると強く思う次第です。

 この日は上記以外にも、行事のアップロードについてや職員間で行うクラブ活動について等、様々な話題が上がり、大変学びのある塾でございました!(報告者 小林純平)