教育とは

6月17日(火)の生臥竜塾

本日は聴講生が、2名参加しました。その方から、「藤森先生に相談する時は“丸ごと”任せる方がよい」というお話を聞きました。塾長の判断力の卓越さを説き、始めのうちはわからなくても、まるごと先生に任せることで見えてきた世界がたくさんあると。その世界を見えにくくさせてしまうのは、自分の固定概念でもあることなど、自らの経験から学んだことをお伝え頂きました。同じ言葉であっても、人によってその言葉の捉え方は異なります。塾長の言葉を、その方がどう理解し、どう捉えたかを共有することは、新鮮さを感じると同時に、自分にはない思考からのアプローチが新しい学びへと導いてくれるようにも思いました。Nさん、ありがとうございました!

 

そして塾長は、聴講生からの話を聞いて「教育とは…」の話へとつなげます。

「教育とは何か」を考えた時、まずどんな人になってほしいかを考える。その“どんな人”というのは時代が決めてしまうので、結果的に、時代によって“どんな人”というのは変わってしまうもの。ただ“自発的さ”のみを求めるのではなく、“自発的に何をするか”が問題であり、いつの時代でも共通するものを探さなくてはいけない。そこで考えたのが、我々の先祖であるアフリカで誕生した人類そのものを見ていくことです。その先祖が世界へ拡散し、その場の風土を各々作り上げていくので、他と比べても気質や価値観が違ってしまうのは避けられません。つまり、どの国でも文化でも共通するものは、人類の誕生と共にあるのであり、それが遺伝子の影響をそのまま映し出す「赤ちゃんの行動」でもあるとのこと。例えば「何で人間はハイハイをするのか」を考えたとき、その答えは世界が共通するものであり、また、人類はアフリカから始まったということで、アフリカの特徴は、同時に世界の特徴とも言える。人類は、アフリカを出発し、ヨーロッパ→アメリカ、アジアへ。つまり、日本人は、世界に拡散してきた中でも、遠くまで進んできたホモ・サピエンスであり、より多くの好奇心が備えられた、生存戦略のひとつである「幼形成熟」を色濃く残す人間であるというお話をして頂きました。

 

不思議と、日本人であることが誇らしくなったのは私だけではないと思います。楽しそうなものに引き寄せられていく好奇心や、笑いながら遊び心満載な赤ちゃんっぽさとが、人類が生きてこられた理由であることから、「教育」は決して苦しんだり、辛い顔をするためにあるのではないということを伝えてくれます。やはり、「笑って楽しく生きるため」に教育があるということなのですね。

 

今回のメニューは、塾長が静岡出張で買ってきてくれたお土産の「黒はんぺん」が食卓に並びました。黒はんぺんは、サバやイワシを焼津に古くから伝わる伝統製法ですりつぶして練り合わせ、半月型に整えて、やわらかく旨み豊かにゆで上げた焼津ならではの特産品だそうです。その説明書き通り、一口食べるごとに旨みが押し寄せてきました。塾長、いつもありがとうございます!

また、参加した聴講生が、土鍋で「陰陽鍋(重ね煮)」を作ってきてくれました。食べ物にも体を冷やす「陰(土の上で育ち、太陽に向かう野菜)」のものと、体を温める「陽(土の中で育ち、大地にはいる野菜)」のものがあり、 食材の「陰」と「陽」を組み合わせることで調和され、体の中でそれらのバランスが改善されていく料理だそうです。なんと、味付けは塩のみということでしたが、決してそんな感じはせず、野菜本来の甘みにとても驚きました。それを麺と合わせ、冷やし中華として頂きました。絶品でした!Oさん、ありがとうございました!

(報告者 小松崎高司)

焼津名物「黒はんぺん」

焼津名物「黒はんぺん」

黒はんぺんとおでん

黒はんぺんとおでん

重ね煮(陰陽鍋)の冷やし中華

重ね煮(陰陽鍋)の冷やし中華

目的

6月10日(火)の生臥竜塾

2年前、以前の職場の研修旅行で熊本を訪れた時、あちらの保育園の先生方と「子どもの遊びと生活の違い」について話したことがありました。当時の私は、「生活を笑顔で楽しくやっていたら、それが遊びになるのでは」と発言した記憶があります。生活=無意識で淡々とというイメージ、遊び=笑顔で楽しそうにというイメージがあったのか、遊びには、目的はないものだと思っていました。

しかし、今回の生臥竜塾で「子どもの遊びには目的がある」と、塾長は説きます。仰向きでの寝転がっている赤ちゃんが、手足をばたつかせているのは、将来歩くための準備であり、これから生きていく上で必要になる活動(生活)でもあります。そこに、太鼓を見つけ、他人がたたく姿を見て、自分も真似をしてみようと、そのばたつきを太鼓に向けたとき、それが「遊び」になります。つまり、太鼓に対して「たたく」や「音を出す」という目的を持ったとき、それが遊びへと変わるのです。生活という“生きる活動”が目的を持った時に遊びになることを知って、遊びの必要性・重要性を再認識しました。遊びというのは、生活を分かりやすく意味付けしてくれる存在でもあり、生きる活動が根本にあるのだなと感じたからです。塾長が普段から「子どもがしていることすべてに意味がある」と言っていることとつながったように思いました。

また、それに関連して、「道具」についても話がありました。道具は、あくまで目的を達成させるための物であり、道具を使うこと自体を目的にするべきではないと。例えば、細長い紙をハサミで一回切りし、「紙をハサミで切る」という目的を位置づけるのではなく、一回切りして切った紙で「アジサイを作る」等という目的を設定することで、ハサミを訓練ではなく、遊びのための道具として捉えていけるということです。

このような、遊びと生活と道具の位置づけを踏まえながら、各ゾーンに置く手作り玩具を製作していく必要があることを学びました。ただ、“楽しそうな物を提供する”では、乳幼児教育の重要性は伝わりにくいという現状があるようです。そこには、しっかりとした見通しや意図性、目的といったつながりがなくてはなりません。

 

そして、今回の生臥竜塾には『聴講生』が一人来ました。現在、研修に来ている「いるま保育園」の職員さんです。その方に新宿せいが保育園の印象をうかがったところ、「クラス間に、壁がない」「クラス以外の先生の出入りが多い」等と言っていました。確かに、担任以外の先生が、その空間に入ることへの抵抗はないと思います。子どもの様子次第では、他クラスにお願いして見てもらうこともあります。本日も散歩先の公園で、ある2歳児がなかなか帰りたがらなかったので、2歳児担任がその公園で遊んでいた3・4・5歳児の担任へ「まだ帰らないって言ってるから(3・4・5歳児と)一緒に遊ばせといてもいい?(一緒につれて帰ってきてほしい)」と言っていました。そんなやり取りで溢れています。その背景には、「多様性」が重要だと理解していること、そして私たちは「世界中にいる子どもの担任です」という意識があるからかもしれません。そう思っていたら、職員の誰がその子を見ても同じ愛情で接することができますね。

また、塾長は「ベテランが園の雰囲気を作る」とも言っていました。その2歳児担任は、ベテラン保育士です。そんな先生が、見本を見せてくれることで、他の職員もそんな対応ができ、その結果「クラス間の壁」をなくしているのでしょうね。

塾生からは、「他クラスからマイナス面ばかりを指摘されてしまうと、自分のクラスだけで囲ってしまいがちになる」という意見も出ました。これは、気をつけなくてはいけませんね。反対に「他クラスの良い面」をどんどん伝えていくことも必要だよねという話にもなりました。

 

最後に、恒例となりましたご飯のメニューをお伝えします。今回は、トンテキ・白菜と塩昆布のサラダ・トマトと卵のスープです。サラダはシーザードレッシングで味付けしました。塩昆布とシーザードレッシング。これが、合わなそうで合うんです。一度、ご賞味あれ!

(報告者 小松崎高司)

トンテキ・白菜と塩昆布のサラダ・トマトと卵のスープ

トンテキ・白菜と塩昆布のサラダ・トマトと卵のスープ

環境イケメン

6月3日(火)の生臥竜塾

「どうして新宿せいがの職員はイケメンが多いんですか?」

これは、見学者(養成校の学生50名)のひとりから塾長へ投げかけられた質問です。これまで、数多くの質問を受けてきた塾長ですが、この質問は初めてなのではないでしょうか。たぶん、塾生はみな心の中で「俺のことかな」と小さく思ったことでしょう。しかし、塾長から「私はイケメンとは思っていません。」と、見学者に言ったのだと伝えられ、たぶん、塾生はみな心の中で小さな浮かれ心が砕けたことでしょう。しかし、次の言葉を聞いて、納得することができました。「でも、楽しそうにしているからじゃない?楽しそうに、生き生きとしている顔が、かっこよく見えるんじゃない?」と話したそうです。ここで、常識が崩れました。かっこよさは、顔ではなく環境で変わるということです。確かに、新宿せいがには「楽しさ」で溢れています。普通なら、笑っていることが楽しそうと映りやすいと思いますが、それだけではなく、大変さをも楽しみに変えてしまう精神があることで、楽しそうな顔が自然と多いのではと感じています。そんな『環境イケメン』を、作り出してくれている塾長に、改めて感謝した出来事でした。

また、別の他園からの見学者からは、自園での行事の任され方や、人間関係の在り方についての悩みを相談されたようです。それについて、塾生で意見を出し合いました。「他の職員に協力を頼むことはできないのか」「仲はいいのか」「そもそも、質問の根底は別のところにあるのではないか」等があがりました。塾長からは、「周囲の期待があったり、変な自信(高飛車発言)等から、他人を頼る力に欠けてしまっているのではないか。ずっといい子で来ている子は、挑戦を避ける傾向があり、失敗したことがない。挑戦や困難を避けるのではなく、知りたがる心や知って一緒に共感する心が、保育者の資質としても必要である」ということを話して頂きました。この悩みからは、“チームワークを作っている途中”という結論と共に、自らを守ろうとする変な自信が、逆に自らを窮地に追い込む存在になってしまうことがあることを教えて頂きました。

そして、今回も食事の話題です。先週末、塾長は仙台への出張でした。そこで、またまた塾生に、仙台名物「牛タン」のお土産買ってきてくださいました。いつもありがとうございます!味噌と塩の二種類の牛タンを、とろろとテールスープもどきとサラダと一緒に頂きました。写真でも伝わると思いますが、牛タン…格別に美味しかったです!

(報告者 小松崎高司)

仙台名物 牛タン!

仙台名物 牛タン!