文字

このエントリーをはてなブックマークに追加
 子どもたちは、いつの間にか文字に興味を持ち始め、自ら読んだり書こうとします。身の回りにそのような環境が多くあるからでしょうね。園でも、子どもたちが文字を書こうとしていますが、きれいな直線や曲線を書くのは発達上なかなか難しいようです。では、就学に向けて「文字」に親しむために、どのような環境が必要かを考えたとき、以前報告した「絵本カード」のような自ら楽しんで行えるものが重要だと感じます。
 
 今の時期、5歳児は自分の体と相談して昼寝をするか決めています。ほとんどが寝ていないので、3・4歳児が昼寝をしている時間は体を休めながら、現在は“マンダラ”などの「塗り絵」をしています。
 
マンダラ
マンダラ
 
 マンダラには、『無心に塗ることで、日々のストレスから開放されます。楽しみながら塗れば、こころとからだが知らぬ間に癒されます。塗りあがったものを通して、今まで気づかなかった「自分」に出会えます。子どもの創作意欲を刺激し、創造力を育てます。調和の取れた図形を塗ることが、子どもの心の豊かな成長をはぐくみます。手を使い配色を考えることで右脳が活性化し、お年寄りの脳の老化防止にも役立ちます。』といった効果もあるそうです。
 
 また、これらは、「文字」と同様に、直線と曲線で構成させているため、色鉛筆を何度もその動作で往復することで、手にその感覚を覚えさせます。そして、線をはみ出ないように気をつけることで、随意筋の発達をも促してくれます。このような塗り絵を、子どもたちが自ら意欲的に楽しんで行うことで、知らず知らずのうちに、「文字」を書く上で必要な力をつけていることになるのです。
 
 それらを踏まえた上で、今回はアゲハチョウをモデルにこのような塗り絵を作ってみました。
 
アゲハチョウの塗り絵
アゲハチョウの塗り絵
 
 この塗り絵には、「文字」に必要な縦線や横線はもちろん、『そ』や『ん』などを見立てた鋭角線(ギザギザ線)や、『の』などのグルグル線などをちりばめてみました。(隠れ文字もあります)
 
 あくまで、子どもたちが遊びを通して楽しんで行える塗り絵を意識しました。よく、就学後の内容を先取りした文字指導をしてしまいがちですが、それらを早く学ばせることには意味がないと言われています。それよりも、その時期が来た時に、自分の体の動きと頭で考えて動かそうとしていることとが一致して、楽しく意欲的に「文字」に親しめるような、『後伸び』する力を幼児期で育みたいと考えています。
 
(報告者 小松崎高司)

文字」への2件のフィードバック

  1. このアゲハチョウは実際に小松崎さんが描かれたものなのですね!拡大して見ましたが、その繊細さに驚きました。それにこういうものを作ろうと思う発想も素晴らしいです。これは塗りたくなりますね。私も小さい頃、塗り絵が大好きでした。塗り絵がものすごくうまい友達がいて、その子の塗り方を真似しながら塗っていたりしました。就学前の文字との関わりが、しっかり後伸びするように私もたちが環境を工夫していかなければいけませんね。様々な環境に文字があることもそうですが、このように実際に自分の手をつかい、体をつかい文字を感じれるような工夫はしっかり考えなければいけないなと感じました。お昼寝をしない子の過ごし方としても参考になりました。

  2.  素晴らしい作品ですね。マンダラ塗り絵と合わせて今日の午睡の時間で用いてみましょう!子ども達の反応が楽しみですね

     昨年のすいすい組(5歳児クラス)は、とにかく塗り絵の力がすごいクラスでした。この報告の掲載日を見ると、小松崎先生をはじめ、この時の先生方の取り組みによって育まれたことが、昨年度の5歳児クラスの子ども達の塗り絵への熱意に直接的につながっていったのではないか、と解釈します。素晴らしいですね。環境を設定していくことの大切さを改めて感じる思いがします。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です