発展土産

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土産には様々な「土産」があります。知人や縁者の家宅など訪問先を訪問する際に感謝を込めて持参する「手土産」。旅先で見聞きした物事や体験などを語って聞かせる「土産話」。そして、知人や縁者に配る目的で旅行先などで買い求めるその土地に因む品物(進物)のことをさす「御土産」。この「土産」文化を、「日本独特のものであるということはあまり知られていない」と語るのは、『おみやげと鉄道 名物で語る日本近代史』の著者、鈴木勇一郎氏です。『おみやげの英訳は「スーベニア」とされていますが、両者は似て非なるもの。スーベニアというのは本人のメモリアルのために買ってくるもので、欧米の駅で売られているのはキーホルダーや置物などの非食品が中心です。しかし、日本のおみやげは饅頭とか羊羹のようなお菓子、その土地の名産というような食べ物が多い。それも、自分で食べるのではなく人に配り歩くためのものでしょう。』とも語っています。

塾長はよく、どこかに出かけたらその地にある玩具や興味深い物、面白い物などを購入して園に持ってきてくれます。それらは、全て保育に活かすためのものであり、保育に潤いを持たせ、環境のさらなる発展を促すためのものです。土産について語っていた、鈴木氏の「人に配り歩くためのもの」という、自分のためだけではなく、周囲のことを想った行動・言葉のように、塾長は、出かけ先での土産話を人に配り、気になった物を通した環境の潤いや発展をも配っているようにも感じています。これは、土産が保育環境の発展を促すということで、「発展土産」という新しい土産の形でもあり、ひとつの保育の形であると思っています。

このような塾長の姿を真似して、私もよく出かけ先では気になった物を購入してみようと思うようになりました。先日、職場の仲間と「動きのカガク展」という企画展に行った際、関連グッズが売られているショップに面白い物がありました。

3D本

「任意の点P」

3D本

3D本

これは、眼鏡のような部分に目を当て、その先の微妙に異なる2つの絵(2D)を眺めると、立体(3D)に見えるという本です。「これ、わらす(3・4・5歳児クラス)の子たち、絶対楽しいよ!」と仲間の職員が言って満場一致し、この本を購入しました。現在、3・4・5歳児クラスでは、科学ゾーンの充実を図っていることが、環境を通して伝わってきていました。それを、他クラスの職員であっても、子どもたちの喜ぶ顔と環境の発展のために思考が向く部分に、クラスを越えたチーム保育を感じました。来週、子どもたちにお披露目するのが楽しみです。

また、別の日の出かけ先では、こんな物も見つけました。

フォトスタンド

フォトスタンド

これは、一応「フォトスタンド」という名目ではありますが、様々な使い方ができると思ったのです。まず、素材が木なので、非常に軽いです。また、職員が紙に描いた絵をハサミで切って、溝に差し込み立たせながら物語を進めることもできると思いますし、子どもが日常で描いた絵を簡単に展示出来るものにすることもできると思います。そして、子どもが描いた絵を自分で切って差し込みながら、自作の物語を演じるかもしれません。パネルシアターとペープサートの間とでもいいますか、その場の状況に対応できる大きさと用途と柔軟性がある気がしました。

このように、出かけ先にある「保育の形」は、日常の保育を発展させる重要な視点であり、保育の質を深めてくれる時間でもあることを学びました。(報告者 小松崎高司)

発展土産」への2件のフィードバック

  1. 出先に目にしたものを保育に活かせるのではないかと考えることが多いですが、そんな時はやはり楽しいですね。子どもたちの姿を想像して、またどんな姿、発見をしてくれるのか考えるとわくわくします。「発展土産」という考え方はおもしろいですね。そのような考え方をしておくと、お土産を選ぶ際の基準がまた変わってきてより保育にも活かせそうですね。また、「これは◯◯クラスにいいんじゃない」ということが自然と提案できるというのも素晴らしいことですね。保育を一緒に楽しむこと、お互いに協力していくこと、広い視点で子ども全体、ひいては社会全体を見ることができるからこそ、そのような職員同士の連携、楽しみの幅がうまれていくのかもしれませんね。

  2.  〝この「土産」文化を、「日本独特のものであるということはあまり知られていない」〟仰る通りでこの度のブログを読んで初めて知りました。日本特有の文化ということで、改めて感じるものがあります。ローマ字にすると、〝MIYAGE〟。Mから始まる日本の言葉が海外では浸透しやすいということで、もしかするとこの言葉も広がりをもった言葉として受け入れられるかもしれませんね。
     〝「人に配り歩くためのもの」〟そういう観点で、今度どこかへ出かけた時にお土産を選んでみたいと思いました。

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