Red floor philosophy episode 10『共通基盤』より

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16時を少し過ぎた頃、

水の入ったペットボトルの玩具で遊んでいるちっち組(0歳児クラス)の男の子です。

写真一番奥、水の入ったペットボトルの玩具で遊んでいるちっち組(0歳児クラス)の男の子です。

 

左手に持ち替えたり、

左手に持ち替えたり、

 

振る位置を変えてみたり、

振る位置を変えてみたり、

その姿は、まるで手にしている玩具に差し込む光が当たるのを発見したように見えました。

すると、きっとこの子はその発見、その喜びを誰かと共有しようとするだろうな、きっと自分を見てくれているだろう誰かを探すだろうな、という思いがふと湧き、そんな心持ちで改めてカメラを構えていると、

こっちを見ました。

こっちを見ました。

 

12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2015年7月20日『共通基盤』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

「指さしや物まねをすることで伝達者は何かを伝達しようとします(中略)その内容は非常に複雑ですが、その複雑な内容をつきだした指や物まねをする指の中に見いだしているのです。そのときに、重要なものが、文脈や脈略、背景、前後関係といわれるコンテクストです。(中略)

人間にとってコミュニケーションのコンテクスト(文脈や脈略、背景、前後関係)とは、単に周囲の環境のすべてではなく、その社会的やり取りに『関連性がある』ものを指します。つまり、参与者のそれぞれに関連性があると思い、相手もまたそれを関連性があると思っていることを知っている、そしてさらに相手もこれを知っていることを知っている…などと無限に続いていきます。この種の共有された相互主観的なコンテクストは、共通基盤、または共同注意フレームと呼ばれています。共通基盤は、私たち両方が知っていることすべてを含み、たとえば世界についての事実から、合理的な人々はある状況でどのように振る舞うか、人々は典型的に何を顕著で興味深いと感じるかということまでも含まれるとトマセロ(マイケル・トマセロ氏、マックス・プランク進化人類学研究所所長)は言います。

この共通基盤は、受け手にとって、伝達者が何に自分の注意を向けているのか、そして、なぜ彼はそれをしているのかという両方を決定するために必要なものなのです。」

乳児の能力、共感、そして科学への好奇心。これらのことが乳児における心情への共通基盤を織り成させていることを改めて感じます。毎日の様々な学びの中で、それぞれの先生がそれぞれにこのような体験をしていることを思った時、藤森先生の教えがその感度を育んで下さっていることに、改めて実感となって気付かされる思いがしました。

同時に、乳児の主体性、能動的であるという事実に、今何の疑いも持てないような気がしています。

(報告者 加藤恭平)

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