チームワーク

先日、ある研修会でチームワークについて、話をさせていただく機会をいただきました。

その内容は基本的に見守る保育のチームワークの考え方を伝えることが中心で行わせていただいたのですが、その内容を作っているときにあるものが目につくことがありました。

それは「ベストチーム・オブ・ザ・イヤー」という賞です。もしかしたら、ニュースなどで見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、「ニッポンのチーム力が世界を変える」考えのもとに、その年に最もチームワークを発揮し、顕著な実績を残したチームを毎年「いいチーム(11/26)の日」に表彰するアワードで、2008年に始まりまった賞です。過去に最優秀賞をとったチームは2010年は小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトチーム、2011年京速コンピュータ「京」開発プロジェクトチーム、2012年は東京スカイツリー運営チーム、2013年は2020年の東京オリンピック・パラリンピック招致委員会チーム、2014年は「妖怪ウォッチ」プロジェクトチームとそれぞれのチームが受賞しています。

そして、ここでの「チームの定義」というものがまた、面白い内容です。それは「チームとは、ある目標に向かって集まった組織体のことを指しています。そして、チームワークとは、目標を達成するために、チームメンバーで役割を分担して協働することです。」とありました。なによりもここで「協働」という最近藤森先生のブログのなかでもたびたび出てくるキーワードが出てきたことでより興味がわいたのですが、藤森先生が見守る保育の説明の中で説明しているように、「いい集団」というのはみんなが同じことをする集団、オールマイティの力のある人がいる集団ではなく、それぞれが役割をもって、自分の役割を発揮できる集団が「いい集団」であるということと同じことですね。そして、「ある目標に向かって集まった組織体」というのは保育園や幼稚園でいう「共通の理念」のことと同じことであると思います。どの職種や業種にしても、今の社会で一番求められるチームというものはこういった理念や目標を共通理解し、それぞれの役割を自分の能力を発揮していくことが求められるのですね。

また、ここでは「チームに必要な5つのポイントとチームワークの効果」というものも紹介されていました。

まず、「チームに必要な5つのポイント」ですが、「1、明確な目標・・・ゴールは何か」「2、メンバーはそれぞれなにをするのか」「3、自律・・・一人ひとりが積極的に参加しているか」「4、情報共有・・・全員が同じ情報を共有できているか」「4、実行力・・・議論して結論を一つにまとめられるか」というのがポイントだそうです。

次に「チームワークの効果」ですが、ここではドイツの学者の研究結果を参考にして考えられていますが、チームのアウトプットには「効果」「効率」「満足」「学習」の4つがあると言われているそうです。目に見えやすい「効果」「効率」だけでなく、メンバーの「満足」「学習」もチームワークのアウトプットだといわれている点が特徴ですあり、良いチームで仕事をしたときの自分の満足感や学んだ気持ちは、アウトプットの1つといえるでしょう。そして、この「チームワークの4つのアウトプット」に注目して、ベストチーム・オブ・ザ・イヤーでは、毎年のベストチームを選考していまるそうです。

もちろん、これらのことの全部が保育園や幼稚園において、明確にできるものであるかといわれるとそうではないのかもしれませんが、チームワークによって効果を受ける側だけでなく、チームワークをとる側においても、評価や考えがあるというのはとても面白いですね。

そして、2012年にこの賞の表彰式で総合プロデューサーのおちまさとさんが「日本は近い将来、世界中でどの国も未体験の少子高齢化社会に突入します。また、15年連続で3万人以上が自殺するという国でもあります。自殺の原因の第一位が人間関係です。そんな苦境に立たされている今、もう一度ここで踏ん張ってやろうじゃないかというきっかけを与えてくれたベストチームを、審査員一同で選りすぐりました。」とおっしゃられていました。この団体を見ていてもやはりその根底には「社会問題」や「人間関係」といったものに焦点をあて、それに対してどうアプローチしていくことができるだろうかととても考えられているように感じます。経済機構がこういったことを改めて考えるのは直接影響があるからなのかもしれませんが、保育園や幼稚園など乳幼児を預かる機関やその他の教育機関ももっとこういった「社会」や「時代」をしっかりと見据えていかなければいけないですね。そして、保育園や幼稚園がいい集団であれば、やはり子どもの集団もよくなっていくと思います。今回のチームワークというのを考えるにあたって、では、自分はどういった役割があるのだろうか。改めて考える機会になりました。

(投稿者 邨橋智樹)

行事ってこんなに楽しい!父親体験保育報告 4(完結編!)

父親体験保育報告の最終章(後編)です!

給食が終わり、片付け→午睡へと向かっていきます。

給食後の片付けも率先して取り組んでくださいました。

給食後の片付けも率先して取り組んでくださいました。

にこにこ給食後の掃除のシーンなのですが、この片付けの段取り、流れをお父さん先生達に伝えていたのはなんと実習生の子でした。

お父さん先生も、新人の先生かな?という気持ちだったと思います(笑)実習生の子がたった数日の間で掃除の仕方、手順まで把握していたということに驚きと、嬉しさがありました。

おむつ替えもお父さん先生が率先して行って下さっていました。

おむつ替えもお父さん先生が率先して行って下さっていました。

午睡へと向かっていきます。

2歳児部屋は午睡へと向かっていきます。

こちらは、ぐんぐん部屋での午睡の風景です。

こちらは、1歳児部屋での午睡の風景です。

こんな風景を見ていると、昨年の2歳児部屋での午睡時のお父さん達のことを思い出します。

昨年の2歳児クラスのお父さん先生方は、午睡中に皆さん腕を組んで立っておられました(笑)

眠さの為か、その光景の不思議さ(?笑)の為か、泣きじゃくる子ども達。

それでも立ったまま子ども達を見つめていらっしゃったのですが、あるお父さんが、

「あ、座りましょうか。座って、トントンしましょうか。」

と言って、それから皆さん座ってトントンされていたことを思い出します。

すごく印象深い光景でしたが今年は見られず(笑)皆さん最初から座って優しくトントンをされていました。

子ども達もすぐに眠りについていました。

子ども達が寝てからは、お父さん先生方に休憩も兼ねながら、ノートを書いていただきました。

絵を仕事にしておられるお父さんが書くノートなどもあり、型にはまらないとてもユニークなノートが数多く見られました。

午睡が明け、おやつ、そして午後の自由遊びを経て、お迎えの時間となり、あっという間に父親体験保育終了となりました。

そして、お楽しみの親睦会へ…♪

会議室で皆さん何かを見ておられますね。

会議室で皆さん何かを見ておられますね。

今回は藤森先生、西村先生が出張だったこともあり、親睦会にはなんとスカイプで参加をしていただきました!

この後藤森先生がご登場されました。話を聞くことに夢中で写真を撮ることを忘れてしまいました(笑)

この後藤森先生がご登場されました。話を聞くことに夢中で写真を撮ることを忘れてしまいました(笑)

藤森先生のご挨拶、お父さん先生の今日一日の疲れが吹き飛ぶようなお言葉の数々をいただき、この後の親睦会もとても盛り上がりました。

このような行事を通して、お父さん方の交流は深まり、また、園への理解、見守る保育への理解が深まっていることを肌で感じます。

父親が育児に参加しないことが問題とされていることもあるかと思いますが、そのような話題とは縁が遠く、ここに参加されたお父さんは、もちろん我が子のお父さんであると同時に、新宿せいが保育園の子ども達のお父さんである、というように言っても過言ではないように感じます。

その証拠に、週が明けて、登園の際に、自分が父親保育で関わったのであろう子どもに、きさくに挨拶をされるお父さんの姿が見られました。

我が子の成長を見守ってくれ、喜んでくれる人がたくさんいること。こんな素晴らしいことが現実に存在します。

世の中の多くの保育園に、このような素晴らしい行事が広まることを、心から願っています。

(報告 加藤恭平)

行事ってこんなに楽しい!父親体験保育報告 3

遅ればせながら父親体験保育報告の最終章(前編)です!勝手ながら達成感があります(笑)

日中の活動の様子を報告していきたいと思います!

「今回がラストギグです。」と、長く父親保育に携わって下さったお父さん先生の最後の魂の朝の会が繰り広げられていました。

「今回がラストギグです。」と、長く父親保育に携わって下さったお父さん先生の最後の魂の朝の会が繰り広げられていました。

終わって調理室に今日の人数を報告に行く後ろ姿に、男を感じます。

終わって調理室に今日の人数を報告に行く後ろ姿に、男を感じます。

ちっち組は、園庭に出てのんびり遊んでいました。見ている側も癒されるような光景でした

0歳児組は、園庭に出てのんびり遊んでいました。見ている側も癒されるような光景でした

ぐんぐん組は、室内あそびをのんびりと。そして、給食前に「ちょっとブイブイ言わしてきます」とのことで(笑)、

1歳児組は、室内あそびをのんびりと。そして、給食前に「ちょっとブイブイ言わしてきます」とのことで(笑)、

皆で散歩に向かっていました。「バギーに乗って、保育園の周りをブイブイいわしてきます」とのことでした(笑)

皆で散歩に向かっていました。「バギーに乗って、保育園の周りをブイブイいわしてきます」とのことでした(笑)

その間にこちらは布団敷きです。こういった細々したこともお父さん先生方のお仕事の一つです。

その間にこちらは布団敷きです。こういった細々したこともお父さん先生方のお仕事の一つです。

にこにこ組は近くの公園へお散歩です。園長代理がスッと輪の中に入り、人数の把握など、確認に確認を重ねながら出発の準備をされているのが印象的でした

2歳児組は近くの公園へお散歩です。園長代理がスッと輪の中に入り、人数の把握など、確認に確認を重ねながら出発の準備をされているのが印象的でした

 

A3画用紙をたくさん持っていかれました。巨大紙飛行機をつくってあそぶとのことでした。

A3画用紙をたくさん持っていかれました。巨大紙飛行機をつくってあそぶとのことでした。

散歩に行かないと言ったにこにこの子に、日中ついて下さったお父さん先生です。布団を敷き終わって、一緒に絵本を読んでくださっていました。

散歩に行かないと言った2歳児クラスの子に、日中ついて下さったお父さん先生です。布団を敷き終わって、一緒に絵本を読んでくださっていました。

わいらんすいは、いくつかのグループに分かれて活動を行っていました。こちらのグループは〝折り紙〟です。

3、4,5歳児クラスは、いくつかのグループに分かれて活動を行っていました。こちらのグループは〝折り紙〟です。

製作ゾーンでは、お父さん先生が用意してくださった、〝福笑い作り〟が展開されていました。

製作ゾーンでは、お父さん先生が用意してくださった、〝福笑い作り〟が展開されていました。

「塗り絵の方が面白そうだったので、急遽塗り絵にしちゃいましたよ(笑)」と仰っていました。子どもの姿に合わせて臨機応変に対処されていました。流石です!

「塗り絵の方が面白そうだったので、急遽塗り絵にしちゃいましたよ(笑)」と仰っていました。子どもの姿に合わせて臨機応変に対処されていました。流石です!

こちらは〝紙飛行機作り〟です。

こちらは〝紙飛行機作り〟です。

そして、更に、散歩へ行くグループに分かれ、近くの公園で、〝宝探し〟が行われ、公園至るところに宝が隠され、大いに盛り上がったということでした。

給食は、柿崎先生によって報告されていますので、割愛させていただきます。(http://namagaryujuku.com/?activity=父親体験保育@調理室)

そして給食後の片付け、午睡へと進んでいきます!

(報告 加藤恭平)

 

求めるもの

子どもはなぜ、他児との関わりを求めるのでしょうか?

1歳児同士で玩具の取り合いがありました。2人は険悪なムードを漂わせます。「ケンカするなら近づかなければいいのに…」と思ってしまうのですが、またすぐにその2人は近づき、お互いの様子を見合ったり、マネをしたり、時には微笑み合ったりもするのです。

他児とのトラブルによって、打ち拉がれたように地面に突っ伏している1歳児がいました。そこへ、泣き崩れているその子を見た近くの0歳児がハイハイで寄ってきます。すると、何をするというわけでもなく、ただそばに座り込み、時折背中に手を添えたりしながら様子をうかがっているのです。

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手を繋いでいるある2人を見て、自分もそこに加わりたいと相手に訴えている1歳児がいました。しかし、相手は手を繋いでくれませんでした。半ば泣いているような声をあげながら、手を振り払われても、振り払われても、何度も手を繋ごうとします。「目の前にある玩具で遊べばいいのに…」と思ってしまいますが、どうしてか他児と手を繋ぐことを求めています。

このような子どもたちの姿を目にすると、冒頭にあった疑問が頭を巡るのです。塾長のブログには、人類誕生から生存戦略に至るまでの軌跡が数多く考察されています。そこには、ホモサピエンスの生存戦略によって、誕生以来生き延び、遺伝子をつないできたキーワードとして「協力」「共有」「助けよう」「分かち合いたい」というのがありました。そこから、先ほどの子どもの姿を考えていくと、子どもたちは「生きようとしている」ということが理解できます。どうして子どもたちは、他者とも関わりを求めたり、時には自ら嫌な思いまでするような行動をしたり、相手の気持ちを分かろうとするのかというと、それが「生きるため」には必要なことであったからなのですね。

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塾長のブログには、こうも書かれてありました。

『現在、「対人知性」と呼ばれる知性が、生きていくうえで最も大切だと言われています。この能力は、他人との関係性を築く力ですが、いわゆるコミュニケーション能力と言われるような、人と人とが言語によって会話をするとか、自分の考えをきちんと主張するという力ではなく、他人を理解する能力をいいます。例えば、「この人の動機は何か」「あの人はどう動くだろうか」「皆と協調して動くにはどうすればいいのか」といったことを理解する能力なのです。』

また、対人知性の本質は、『他人の気分、気質、動機、欲求を選別し、それに適切に対応する能力』であるとありました。「生きていく上で最も大切」という単語には惹かれますね(笑)。

来年3月5日(土)に行われる行事「成長展」のテーマは【対人知性】です。互いに求め合う子どもたちのつながりや、他者の気持ちや行動を「察する能力」、そして、それらを考慮した反応や行動に着目して、保育を見ていきたいと考えています。

鏡を見れば、自分という他者もいる

鏡を見れば、自分という他者もいる

(報告者 小松崎高司)

2014ドイツ報告2

前回の2014ドイツ報告の続き

●感情パネル

「感情教育」と呼ばれる保育を基に作成されたもの。子どもどうしの関係や、何かに遭遇した時、悩んだ時などを表わす写真が入ったボックスがあり、そこから1枚を選んで、保育者がその場面について、この子はどのような気持ちかを子どもと一緒に考えるそうです。またドイツでは人が集まる場所や電車で、スマホとかゲームをしている人を見かけたことがありませんでした。塾長によると、「それはドイツ人が、直接話したり、議論をしたり、談笑したりするのが好きな国民だから」だそうです。そしてそれは、人との関係を学ぶ保育がドイツでは行われているからとありました。その1つが感情パネルを用いた「感情教育」であると思いました。

図8(1)

中央の写真が感情パネル、 右がこの写真を見て子どもが感じたこと、思ったことをまとめたもの

 

●マッサージ

ドイツ視察で伺った各園には、必ず「癒し」の空間がありました。その中に子どもどうしでマッサージし合えるようにと癒しの空間にマッサージ器具が置かれている園がありました。その園で直接聞いたわけではなく、塾長の臥竜塾ブログからの抜粋ですが、子どもどうし体を触れ合うと、脳の前頭葉が活発になると言われていて、そのような意図もあるのではないかとありました。また少子化になると、子どもどうし体を触りあう遊びや、じゃれ合うという機会が少なくなってしまっている現状があるので、このような活動を大切にしていくべきだと思いました。

図7(1)

癒しの空間

 

●ビール

これも塾長のブログで書かれていたことですが、こちらでも再度報告させていただきます。街の至る所にビアガーデン、ビアホール、オープンカフェがあり、昼間からよくビール等のお酒を飲んでいる姿がありました。しかし、ほとんど、いわゆる「酔っ払い」には出会いませんでした。日本では多く目にする、気分を悪くして道の端にしゃがみ込んでいたり、人に絡んだり、フラフラとぶつかりながら歩いている人をドイツでは見かけなかったのです。それは、アルコールが弱い人は飲まないようにしていたりと、しっかり自己管理している結果であるとありました。私はいわゆる下戸で、お酒が全くと言っていいほど飲めません。幸いアルコールの味も苦手であることから飲もうとせずに済んでいますが、もし味が好きだったらと考えると、自己管理できていたか怪しいものです。ですので、せっかくドイツに行けたのに、ドイツビールを堪能せずに帰ってきてしまいました…(笑)この自己管理の背景には、幼児期から自制心と自律をつけている成果かもしれないと塾長のブログに書いてありました。そう考えると、より一層幼児期に見守る保育の理念の基、選択制等を重要視し、それに伴った保育の質のスタンダード化を図ることが必要であると思いました。

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左がドイツビール、右は下戸の私用のアップルジュース(笑)

 

長々と環境セミナーで行ったドイツ報告でピックアップした内容を報告させていただきました。

私は緊張強いで、リスナーの方々にちゃんと伝わるのか心配でしたが、ベテラン保育士のA先生とご一緒に報告させていただいたことで、私の緊張強いもそこまで出ずに済み、無事終えることができました。

A先生と一緒に報告させていただいたことでの1番の学びは「口調」です。

その先生の口調は、「~でした。」ではなく、極端に言えば「~だったんですよー」と緩く伝えることで、この「ー」の中に「そう思いませんか?」と言っているかのように共感を求めながら伝えていたと感じたのです。

それに加え、2人で談話形式で報告することによって、「~でしたよね?」と投げ掛け合うことでリスナーとの距離を縮めることができた気がしますし、リスナーの方々が「ドイツに行った気になる」というコンセプトの基、動画報告を軸にして行ったことで、よりリスナーへの共感を追求できた気がしています。

このドイツ報告は年内にあと2回、8月の末と11月の頭にやらせていただける予定です。あとの2回も「リスナーとの共感」をベースに工夫していき、より伝わりやすくしていけたらと思います。

(報告者 若林邦彦)

雰囲気2

前回は茶室での雰囲気を感じ子どもたちの様子を少し紹介しました。

今回は茶室で食事をしながら少しの発見を紹介していきたいと思います。

私は初め、「茶室で食べる」ということだけが頭にあり他のことはあまり気にせずにいました。一回目の茶室でのご飯は、普段通りの食器でご飯をもらい、茶室へと持っていきました。

 

やはり、茶室という雰囲気からか、静かにご飯を食べ、その日は終わりました。

私はそれでも満足していたのですが、やはり新宿せいが保育園は違いました。

 

翌日からはなんと調理さん松花堂弁当の器に給食を盛りつけてくれるようになりました。一人一人の器があり、ちゃぶ台に並べられるとそこはまるでどこかの旅館のよう…雰囲気は俄然増していました。(笑)

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子どもたちの反応もとても良く、

「今日もあそこで食べられるの??」

と、かなり嬉しそうな表情を浮かべています。

 

そして、松花堂弁当の様子を見た先輩保育士がこんなことを提案してくれました。

「箸置きとかあったらいいね。あとお茶とか、汁物はこっちがトレーに乗せて持っていってあげたらいいよね。ほら、おもてなしの心よね。」

と…。

 

それを聞いた瞬間私は心の中で「さすがです…」と言っていました。

そんな心を私は忘れていたなと反省する気持ちと、これをすることで子どもたちが感じる雰囲気も増し、より良い経験になることから、さらにメリハリという言葉を意識してくれるのではないかと思えました。

 

ついに松花堂弁当を食べる時がきました。

新宿せいが保育園ではいつも給食は「いっぱい、ちょっと」と言って自分の好きな量を選ぶことができます。

しかし、松花堂弁当になると最初から盛りつけられています。最初は何も子どもたちに言わず食べ始めました。いつ食べられない…と訴えてくるかなと思って見ていると、そうは言わず、一生懸命食べている光景が目の前に広がっていました。

 

よく見てみるといつも少しにしている子が完食していました。これには驚いて、「よく食べられたね!」思わず声をかけました。

すると、にやりと表情だけの返事…笑

 

色んな意味も含まれているとは思いますが、この茶室という雰囲気に子どもたちは刺激を受け、食までも変化させてくれることに感動しました。

 

そのことを先輩保育士に伝えると、

「たまにはいいよね。どうしても食べられなかったら残してもいいし、先生がみんな食べる量把握してるから、無理しないでいいよって声かけられるしね。学校に行く練習にもなるよね。」

とお言葉を頂きました。

ごもっともです。

 

茶室で食べることで色々な発見があります。

さらに茶室で食べることで子どもたちから出たおもしろい言葉も生まれました。

その報告は次回にしたいと思います。

茶室でのご飯はローテーションで先生が代わる代わる食べていきますが。それぞれの先生方の発見も踏まえて報告できたらと思っています。

(報告者 本多 悠里)

「おでん」から「保育」

先週の土曜日に「夕涼み会」があり、無事に終えることができました。今年からテーマが変わったので、ある意味全てが初めてで職員も悩みながら企画をし、準備をしてきましたが、当日は園児も保護者の方の笑顔が見れて、とても良かったです。

さて行事が終わると、まぁだいたいの園さんはあるのでしょうか??打ち上げというか、慰労会というか・・・。久しぶりに私も参加しました。今回のその席でとても興味深いというか大きな学びがあったので、その話しをさせていただきます。

たまたま私の前の席に、よく塾長の講演や塾生の加藤先生のブログにも紹介された、ベテランの先生が、なんと贅沢なことに3人座られました。そこで話された内容です・・・。

M「たすくん、この前さぁ、Aちゃんと新宿に飲みに行ったのよ!スタバの前の・・・提灯に「おでん」って書いてあるお店覚えてる?」

私「あぁ!覚えていますよ!かなり気になってたお店ですよね(笑)」

M「そうそう!そこに行ってきたのよ!」

私「あらっ!本当ですか!いいですね・・・。で、どうでした?」

A「それがさぁ、入った瞬間に腰が曲がったおじいさんと、まぁ年配のおばちゃんの二人しかいなくて、もちろん席もカウンターと奥にテーブルがあるだけで、そこまで広くないんだけど・・・。困ったのはメニュー表が無いのよ(笑)」

私「えっ!?じゃあどうやって注文したんですか?」

M「とりあえず、こういう店は冷酒があると思うから、それを頼んで、おでんをAちゃんに鍋の中を見て注文してもらったんだけど、量がね・・・ハンパなかったのよ!」

A「いや、ちゃんと一個ずつっておっちゃんに言ったんだけど、伝わってなかったのかな(笑)『こんなん、一人で食べれるのかよ・・・』とぶつくさ言いながらおでんをお皿に盛ってたわ(笑)」

M「さらに、すまし汁みたいな物をついてきた、もはや『おでん定食』だったね(笑)」

私「逆に、行ってみたいすね(笑)」

M「いやぁ、いかに私たちがぬるま湯に浸かっていたかが分かったよ!今まで行ってきた店のサービスが有難いかよく分かったよね(笑)」

A「やっぱ行ったことがない新しいお店に入ると、お互いに探りますよね(笑)ましてやカウンターしかないお店だと・・・。行きつけのお店だと、店員さんともコンタクト取れるし、お互いに分かっているから、自然と注文ができるけど、初めてのお店だとそれができないからね~。それこそ阿吽の呼吸が取れないよね」

M「そうそう!その辺は保育も一緒だよ。最初から阿吽の呼吸なんて取れるわけないんだもん、一緒にチームを組んで、そしてお互いを知って初めて阿吽の呼吸が生まれるからね。」

Y「確かに、1年目の時は阿吽の呼吸とか言ってられなかったな・・・とにかく必死だった記憶があるねぇ」

そんな会話を目の前で聞いていた私と後輩の女性職員と二人で口を揃えて言ったのは

「飲み屋のおもしろ話を、こんな深い話にできる、この人たちはスゴイ・・・」

飲み屋の話しからチーム保育の話になるなんて、誰が予想したでしょうか。

ただ、何でも保育に繋げてしまう部分は、やはり塾長と似ていますね。塾長も全く関係のない話しをしていると思いきや、急に保育に繋がり、そしてしっくり収まる・・・神業ですね。

 

いつでも保育の事を考え、そして何でも保育に置き換えて考える姿勢、おそらくせいがの森保育園の頃から塾長と過ごし、自然と伝承されてきているのかもしれません。そんな先輩の姿を見て私たち後輩も学び、真似て、そして伝承していきます。(報告者 山下祐)

百聞は一見に如かず

一か月ほど、まえの話になりますが、私の幼稚園の園長先生と園の職員とで熊本にありますGT園に見学に行かせていただきました。というのも、今後、私のいる幼稚園は認定こども園になるにあたり、保育の形態を異年齢やチーム保育に変えていくことになり、そのため、保育の考え方も今までのものではなく、新しい方向に変えていくことが必要ではないかということで、「見守る保育」の形を考えていこうということになりました。ただ、これまでこの保育をやっている園が保育園ばかりで、幼稚園の職員は「幼稚園でどう変えていったのか知りたい」という要望が多いので、そこで、GT園の先生にお願いして、今後の見学のために、下見という形で行かせてもらうことになりました。

 

幼稚園でいかに「見守る保育」を行っていくことができるのだろうか、幼稚園という特質をいかに活かして、子どもたちの保育を進めていけるのか。ひとつの特徴としては大体の幼稚園は保育園に比べ、3~5歳児の子どもたちの人数が多いところが多いということです。異年齢にするとしても、一グループでは人数が多いので、いくつかのグループを作らなければいけないことなど、子どもの人数に対して、どう保育を組み立てていくのかということがありました。

 

そこで例えば、いくつかの質問がありました。

 

Qグループの環境をどう作っていますか?

A グループごとでテーマを変えて環境を作るようにしている。また、各グループで必ず使うもの(製作・パズル・ままごと)をおいていますが、グループによって、そのゾーンを大きくして、Aグループはままごとのおもちゃが多くある。Bグループは積木がある。など、グループだけで完結するのではなく、特徴を作り、グループ間の子どもたちも交流をできるようにしている。

 

Q.発表会などはどうしていますか?

A.人数が多いので、2日に分けて行っています。劇は年齢別(言語発達や表現を見せるため)、ダンスや楽器はグループごとでやっています。

 

Q.各クラスのカリキュラムはどうなっていますか?

A.子どもたちが主体的に活動することを目的にしているので、がっちりとカリキュラムを作るというよりは子どもたちの環境を整えて、選択制をすることで子どもたちが発達にあった活動ができるように工夫している。

 

などなど、いろんな質問に対して言葉をいただきました。

 

見学園の先生のアドバイスはとても刺激を受けますね。一緒に下見にいった幼稚園の先生も、グループの作り方、環境構成の工夫、行事や保育の考え方の転換など、自園だけで話し合ったり、提案を聞くだけでは、頭で理解していても、それをいざやるとなるとどこから手を出せばいいかわからないということがあり、なかなか実践にいたるまでに至らないことがあります。実際に園を見学させてもらったことで、少しずつ想像がついてきたようです。やはり「百聞は一見に如かず」ということですね。今後は他の幼稚園の先生も見学にいくことで、よりこの流れを大きくできればと思います。

 

また、その時に姉妹園の保育園さんも見学させていただきました。どちらの園も、実際、新宿せいが保育園での実践をすぐに取り入れ、環境に活かしている様子を見ていると自分自身ももっと行動力を付けないといけないなと思いました。こういったつながりができることはとても心強いですし、楽しかったです。なにより、私の場合なかなか会えない外部塾生同士のかかわりができたのが、とても一つの大きな収穫でした。

(投稿者 邨橋智樹)

雰囲気

今年度から新宿せいが保育園の3階にこんな扉が出来ました。

 

この茶色い扉の向こうには一体何があるのか子どもたちはいつも興味津々です。

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そう、この格式高い扉の向こうには茶室があります。この茶室はとても綺麗で畳のいい匂いがします。お茶をたてられるような道具、兜、掛け軸とあり雰囲気は保育園とは思えないとほどの空間となっています。

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そんな茶室でなんと年長の子たちだけでご飯を食べています。
いつも興味津々だったその扉の中に入り、ご飯を食べられることは子どもたちにとっては大きな喜びだったようです。
ただ、嬉しいだけでは食べられないのがこの茶室であります。笑
茶室は騒ぐ所ではなく、もちろん静かにしなければいけない空間です。まだまだ私も茶室に関しては知識が乏しいため、子どもたちには
「騒ぐ所ところではないので、騒ぎたい人は外で食べてね」と伝えています。
まず、そんなことを伝えて茶室にそーっと入って行きます。それだけでも子どもたちはこの茶室という雰囲気を感じ、顔はいつもよりニヤニヤしているものの、期待と好奇心を持ちつつ、いつもより落ち着いた気持ちでこの茶室に入っていきます。
そして、ちゃぶ台の横に着座するなり、ちゃぶ台に手を置き体重をかけ反対側のが浮き「ガタンッ‼︎」と大きな音…
バッ‼︎とみんなが振り返るとそのやってしまった男の子は、
「やってしまった…」
というような表情を浮かべています。
やはり、静かにする場所と伝えてはいますが、それ以上にこの茶室という雰囲気を肌で感じ、静かにしなければいけないという感覚というよりかは、体が自然と静かになっていくような体験をしてもらいたいと感じます。
それは塾長の言うメリハリへと繋がっていくことがわかります。1日をずーっとテンション高くいるのではなく、一時的に静かにする場所で落ち着いて過ごすことでメリハリがつくというイメージでしょうか。
そんな雰囲気があることで子どもたち普段味わうことのできない、経験をここでしているのではないかと思えます。
そして、いざ食事へ…
その食事を何度か繰り返すうちに新たな発見が生まれていきます。
その発見は次回に報告していきたいと思います。
(報告者 本多 悠里)

行事ってこんなに楽しい!父親体験保育報告 2

遅ればせながら、父親体験保育報告の続きをしていきたいと思います!

朝会後もクラスでは、受け入れが続いていました。

お母さんもほっと一安心の一瞬ですね

笑顔でのバイバイ。お母さんもほっと一安心の瞬間ですね

受け入れ後、ちょっぴり泣いていた子も…

受け入れ後、ちょっぴり泣いていた子も、

ちょっと前まで泣いていた子も、お父さん先生の優しさと機転で、すぐに気持ちが切り替えられるようです

お父さん先生の優しさと機転のお陰で、すぐに気持ちが切り替えられるようです

新宿せいが保育園がある場所は、東京は新宿ということもあり、外国のお父さんもいます。今年は2名の参加がありました。

海外に留学や出張経験があり、この日ぐんぐん組のリーダーでもあるお父さん先生が、その日の打ち合わせを行っています

海外に留学や出張経験があり、この日ぐんぐん組のリーダーでもあるお父さん先生が、その日の打ち合わせを行っていました

こちらのお父さんは日本語がとても流暢で、参加されたお父さん方と、多くの交流を楽しまれていました

こちらのお父さんは日本語がとても流暢で、参加されたお父さん方と、多くの交流を楽しまれていました

 

わいらんすいでも、打ち合わせをしながら、受け入れをされていました。

わいらんすいでも、打ち合わせをしながら、受け入れをされていました。

和気あいあいとした雰囲気の中で、受け入れが行われていきました。

また、柿崎先生の報告にもありましたように、今年は調理として、お父さん先生が入られました。

初の試みでもあり、職員もそうでしたが、それ以上に、当のお父さん先生がとても張り切っておられました。

日頃からお料理をされるそうで、朝飯前!といった様子でした

日頃からお料理をされるそうで、朝飯前!といった様子でした

「パパ!がんばってね!」奥様の声援が調理室に響きました。微笑ましい場面です。

「パパ!がんばってね!」奥様の声援が調理室に響きました。微笑ましい場面です。

この日は男性職員のみの出勤なのですが(来年度からは変わります)、毎年、この日が楽しみなのは男性職員、お父さんだけではないようです。

例えば、受け入れの時に話しをしたお母さん方からこんな意見をいただきました。

「溜まっていた家の掃除ができます!」「これからママ友でランチに行くんです♪」

また、「久しぶりに美容院に行きます♪」「一人の時間を満喫します♪」といった声もありました。

父親体験保育の日は、お母さん方にとっても嬉しい日のようです。

そして、

職員、お父さん方のやる気の源だと、僕は思っています。

職員、お父さん方のやる気の源だと、僕は思っています。

 

出勤日となっていない休日にも関わらず、この日の様子を見に、女性の職員の姿も。

その眼差しが父親体験保育の熱気を更に熱いものにしていることは、間違いないことと言えると思います。

多くの人の喜びに後押しされながら、保育は進んでいきました。

次回は、日中の活動の様子を報告します!

(報告者 加藤 恭平)