ある1歳児は、自分のズボンを他児に渡して手伝ってもらおうとしていました。しかし、それを受け取った別の1歳児は、自分のズボンを渡されたと思ったのか、それとも手伝いたくなかったのかは分かりませんが、ズボンの柄を確認すると、ポイッと後ろに投げ捨ててしまいました。
その行方を2人で確認します。すると、ズボンを持ってきた子は、すぐにそのズボンを拾い上げて、別の他児に助けを求めるためにその場を立ち去りました。あきらめ具合が気持ちいいですね(笑)
次の1歳児にも、そのズボンを渡して履かせてもらおうと促すのですが、その1歳児は、そのズボンを突き返してきました。まるで“自分でやって”といった感じでした。
先日、先輩保育士さんと、3月に行われる成長展の『対人知性』について話す機会がありました。そこでは「課題を伝えていく」視点も面白いよね、という話になりました。子どもたちの発達を「過程」で捉えていくということは、“今の姿で全部マル!”ということであると同時に、そこから見えてくる「課題」もあります。対人関係を通し、子どもたちが、自身でその課題に取り組んでいる姿に焦点を当てる事で、『発達過程からみる対人知性』が見えてきます。
乳幼児期における経験カリキュラムの中には、「うまくいかなかったこと」に価値を置くという大切さと共に、そこにはいつも、リアルタイムに作り出される「課題」に対して、真摯に向き合っている子どもたちの姿がありました。
(報告者 小松崎高司)
すぐに別の子に行こうとするその潔さのようなものがまたいいですね。「そうか、この子じゃだめか。じゃあ次の子へ」といった姿は問題解決能力であったり、へこたれない姿を感じます。
「発達課題から見る対人知性」、そのような考え方もあるのですね!とても勉強になりました。発達していく過程で他者と関わる機会から感じる対人知性は日々の子ども達同士の生活の場において様々な場面で見られそうですね。なんとかして他者と関わろうとする子ども達の姿、私も見つけていきたいです。