学童ではよく一円対話という話し合いの形式を用います。
写真で載せていますが、一円対話とはみんなで輪になって向き合い、テーマに沿って意見を出し合いながら話し合うことです。
一円対話にはルールが設けられていて、
●相手が話しているときには口を挟まない。
●相手が話していることを尊重し、聞く。
●互いを信頼し、自分が思うことを素直に話す。
があります。
私は一般企業への就職を考えていなかったため、大学生時代に一般的な就活はしてきませんでした。
そのため友人から聞いた話になってしまうのですが、企業等への一般的な就活には面接はもちろんとして、グループディスカッションを用いるところが多いと聞きました。
何度もグループディスカッションを経験した友人は最初は限られた時間でどれだけ自分の意見を主張できるかに主点を置いていたと言っていました。
しかし、最後には面接でもグループディスカッションでも同じで、如何に相手の話を傾聴し、その上で自分の意見を主張することが大切だということに気付いたと言っていました。
その友人の体験談から、学童期や児童期に行う一円対話の重要性に気付きます。
学童では子どもたちが子どもたちだけで話し合いを進行していく月案会議によく用いられます。
様々な意見が飛び交う中、自分の主張を押し通そうとする子、または仲の良い友達の意見に便乗するだけの子、はたまたそれらの意見を聞いた上で「これならどう?」とみんなの意見を汲み取りつつ発言する子など様々です。
新年度が始まり約5ヶ月ですが、みんなの意見を汲み取りつつ発言できる子が最上級生の3年生を中心に増えてきたと感じています。
私が考えるにこの一円対話の最大のメリットはみんなの顔を見渡せることにあると思っています。
人は相手の意見を汲み取る手段は意見を聞くことだけではありません。
表情からも汲み取れます。
●傾聴や頷きを用いて相手の意見を引き出し、相手の意見を尊重した上で自分の意見を主張する。
●主張していない人の表情からも汲み取る。
この2つのスキルは社会に出る上でとても重要なスキルであり、この2つのスキルを得る上で一円対話は最適な話し合いの形式であり、一方向的に不特定多数に向けて発する「二次的言葉」が急速に発達する学童期ならではの方法であると思いました。
ちなみに臥竜塾も一円対話形式でみなさんの表情を見渡せ、塾長のお話を初め、他の塾生の方々の意見を尊重して聞き、意見を交わし合い学びを深めています。(投稿者 若林)
「如何に相手の話を傾聴し、その上で自分の意見を主張することが大切」本当にそうですね。社会に出てとても大切なことですね。自分の意見を強引に押し通し、主張することは確かに目立つかもしれませんが、多くの人が一緒に働く社会では相手の意見も汲取り行動することが大切というのを私もやっと実感していきました。自分の理想にみんなを近づけるのではなく、いろいろな人の考えがあることを受け入れながら、一緒に考えていくことがチームなのかもしれません。私も立派なチームの一員、大人になるためにこのことは忘れてはいけないなと思います。「一円対話の最大のメリットはみんなの顔を見渡せること」とありました。これも大切なことですね。人と生身の人と関わっていきています。文字だけのやりとりでは感じない雰囲気、息づかい、表情が生身の人との関わりにはあります。相手から受け取った感情をどう返していくのかというのはとても行動なスキルのように思います。そして、それはまた生身の体験から獲得するものですね。
このような話し合いを重ねる機会に恵まれた子ども達は、学校の多くの場面でも自分の体験を活かしながら話し合いに臨んでいることでしょうね。一円対話のルールなどは本当に素晴らしいです。大人でも難しいことだな、と思いましたが、大人こそ難しいのだと思います。見栄や体面、体裁やプライドなど、話し合いには必要のない思惑が入り混じるからだと思います。
子ども達が普段から自然に行っていること、相手を認めることや、許すこと、尊重すること、意見を交換することなど、大人はもっと子ども達から学ばなければなりませんね。