川の流れ方

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 園の近くには、「おとめ山公園」という、素晴らしい公園があります。子どもたちと、よくそこへ散歩に行って遊んでいるのですが、先日、面白い遊びをしていたので報告したいと思います。
 その公園は、自然豊かな傾斜緑地です。その斜面からは、東京の名湧水57選に選ばれているわき水が流れ、小川が流れています。子どもたちは、その小川に潜んでいる「スジエビ」や「タニシ」などを見つけてつかまえようとしていたり、秋の花の蜜を吸いにヒラヒラとやってきた「モンキチョウ」を自分の帽子でつかまえようとしていたり、素足になって芝生の上でゴロゴロしたり、園から自分で持ってきたビニール袋に「ドングリ」や「ムラサキシキブ」を集めたりと様々です。
 そのような中、小川でスジエビをつかまえようとしていた5歳の男児が、持っていた松ぼっくりを小川にポチャンと落としました。すると、その松ぼっくりはゆっくりと下流へ流れていきます。その様子が面白かったのか、その松ぼっくりに「どんぶらこ」という名前をつけ、もとの場所に戻って「いけ!どんぶらこ〜」と投げて、少し先の下流で拾い「頑張ったなぁ俺のどんぶらこ」と言ってねぎらいの言葉をかけていました。
松ぼっくりを川に投げ入れるところ
松ぼっくりを川に投げ入れるところ
 この過程を見ていて思ったのが、“川の流れが早い所と遅い所”、“松ぼっくりがぶつかる障害物(葉や枝)を事前に取り除くこと”、“下にある石にぶつからない深さの場所を見つける”など、多くの配慮事項がなければいけないことです。何度も繰り返しているうちに、子どもたちは遊びを通して修正していくのです。
 また、園から自分で持ってきたビニール袋でスジエビをつかまえようと、袋ごと川にジャボッと入れ、中に入ったかを確認するためコンクリートの歩道にドバ〜っと水を出していました。すると、中に入っているかを確認するよりも、そこに出した水の行方に興味を持ち出したのです。その水は、最初は方々に散らばりますが、そこは斜面のため、しばらく流れると一本の水の道ができます。水はゆっくりと下り始め、「すごい、合体している!」「竜みたい!」と子どもたちは言っていました。その遊びを何度も繰り返すと、水の道が長くきれいに一本の線を描いていきます。その一本道は10メートルくらい続きました。
数本の中から出る一本道
数本の中から出る一本道
水の行方を見つめる子ども
水の行方を見つめる子どもたち
 小川を通して行われた一連の過程を見て、子どもたちは“川ができる原理”、“川の流れ方”を遊びを通して学んでいる!と、ふと感じました。「川」を調べると『として落ちたり地下から湧いたりして地表に存在する水は、重力によってより低い場所へとたどって下っていく。それがつながって細い線状になったものが川である。』と書かれています。
 人が成長していき、目の前にある物や自然現象を、頭ではなく心で理解しているような感覚になるのは、このような遊びのおかげかもしれないと感じました。早速、川の絵本を探して、絵本棚の目立つ所に置いてみたいなと思います。
 そのような遊びを提供してくれる「おとめ山公園」ですが、以前から工事が入っていました。それは、面積拡大のためです。そして、晴れて今月の26日(日)から面積拡張された公園が開放となります。そのことによって、子どもたちの遊びの幅や興味のポイントがどう変化していくのかが楽しみです。塾長の言葉を借りるなら、その場所でしかできない体験を、子ども自らが発見して存分に関わることができるような手伝いをしていきたいと思っています。
川を見つめるトンネルたち
水を見守るトンネルたち
(報告者 小松崎高司)

川の流れ方」への2件のフィードバック

  1. 川に自然物を流して、その流れていく様子を楽しむという遊びは子どもの頃から小川好きだった私もよくやっていました。あれは本当に楽しいですね。また、雨の日に庭に出来た水たまりから流れ出た水が川のようになっているのを見たり、手でその川幅を広げてみたりして遊んでいました。カーブになると流れも変わり、水の勢いで土が削れていく様子も見れたりとおもしろい発見がたくさんありました。子ども達はそんな遊び、体験からいろいろな発見をしていきますね。そんな様子を見るとこちらまで嬉しくなります。そして、そんな学び、発見ができるような環境をどんどん用意していかなければとまた思います。新宿にあるこの自然環境、一度ゆっくりと見てみたくなりました。

  2. おとめ山公園は本当に素晴らしい公園です。子ども達の想像や発想を膨らませる要素を存分に含んだ環境があると、この度のブログを読み、改めて思いました。

    先日、2歳児クラスの男の子がおとめ山公園の池の中に鯉を見つけました。「あ!魚だ!」「赤い魚だ」と何人かで盛り上がっていると、公園を管理されている地域の方が傍に来て下さり「あれは鯉っていうんだよ。それも真鯉だよ」と教えて下さいました。また別の日にも、「昨日は台風があったから今日は上の方にどんぐりがいっぱい落ちているよ」と教えて下さったり、道路を横断する時に車を止めるお手伝いをして下さったりと、子ども達に対しても、職員に対してもとても温かな関わりをもって下さいます。自然豊かな環境の楽しさに加えて、挨拶をしたり、会話をしたりと、このような温かな地域の方々との関わりもこの公園のもつ大きな魅力の一つであると思います。26日からの開園は管理の方々もとても楽しみにされているようです。これからも大切にしていきたい公園ですね。

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