7つの習慣 8

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前回「話すこと」よりも「聞くこと」、「聞く」=「信頼」という話をしました。では、どうしたら自分の「聞く力」をステップアップできるのでしょうか。

まず、相手と話をするときに目指すところは4つめの習慣「Win-Win」です。話す側も聞く側もどちらも幸せになるように聞くことが理想です。そして、「話す側」に信頼してもらうためには「共感」することが大切です。子どもたちとの関係でもよくこの「共感」は大切になりますね。大人にとってもその気持ちは変わらず、「共感してくれる、聞いてくれる」からこそ、話そうと思うものです。では、人はどういったときに「共感してもらっている」と感じるのでしょうか。コヴィ氏は「共感による傾聴とは相手の目線で話を聞き、心の底から誠意をもって相手を理解しようとすること」といっています。つまり、相手が「何を言ったか」という目線ではなく、「どう感じたか」を聞くようにすることが必要です。その目線を持つだけで、聴き方は大きく変わってくるかもしれませんね。つい相手の感情や世界を見ずに相手の話を止めて、自分が話し始めてしまうことは少なくありません。人の話を聞くときはまず自分の「話したい」という欲求をできるだけ自制することが大切です。

また、この章では会話の段階を4つに分けています。0から始まり、「無視」、「聞くふり」、「選択的に聞く」、「注意して聞く」、「感情移入して聞く」の5項目でその最上位が「感情移入して聞く」と言うことです。この「感情移入」というのがなによりも「共感」ということに近づくわけですが、ここで1つ落とし穴があります。感情移入とありますが、それは「自叙伝的な聴き方」をしては相手が「共感」したとは思わないということです。「自叙伝的聴き方」とは人の話を自分の経験上で解釈し、評価しようとする聞き方です。「私のときはこうだった」という話し方がそうです。結局その話し方では相手にとっては「本心の意味で気持ちを分かち合ってくれた」とは思わず、「自分と比べられた」と思うであろうし、ともすれば、「自分はだめだ」と悲観的に捉えてしまうことにもなってしまいます。そういった上辺だけの傾聴(もどき)は逆に相手を傷つけ、人間関係を最悪の方向に持っていきます。なによりも必要なことは「相手を心から理解しよう」と思う気持ちが「傾聴、共感」を生むのです。

それらを踏まえ、共感による傾聴の上達のために、4つのステップが紹介されています。第一段階は「相手の話の中身(キーワード)を繰り返す。」これにより相手の話を注意して聞くようになる。第二段階は「話の内容を自分の言葉に置き換えて話す」話の内容を考えながら聞くようになる。第三段階「相手の感情を自分の言葉で置き換えて話す」相手の感情に注意して聞くようになる。第四段階「第二、第三を同時に行う」この段階で初めて相手は心を開き、信頼感が生まれる。これらの4つの段階を注意して心がけることで「共感による傾聴」が上達していくと書かれています。そして、ここの最後の文章には「あくまでこれらのスキルを使った傾聴は、相手を理解したい」という誠意があってこそ、意味がある。と言われており、そのためには以前から説明しているある7つの習慣を心がけていないとできないことです。

文章だけで見ると、その「共感による傾聴」は決して難しいことではないように思えました。しかし、なによりも「相手を理解しよう」と思う気持ちを持つことが一番先で有り、まだまだ自分自身冷静な気持ちを持つことができず、熱くなってしまい「傾聴もどき」をしている部分は多々あります。自分の「話したい」欲求を止めること、自制できることはある意味「人格者」になるための第一歩なのかもしれません。

以前、私の園にカグヤの方が来られて「一円対話」をしました。そこでのルールには「相手が話している間は聞く、言葉や相づちをいれない」というルールがありました。一円対話ではあくまで「ルール」だったのですが、それは相手の言葉に感情移入できるための一つ目のステップをルールにより超えることができるようにしたものだったというのが分かります。

今回の話は自分にとってはかなり大きく、重要な内容だったのですが、ちょっとした心がけ1つで相手の信頼は大きく変わります。私は「話すのが好き」なタイプなので、どうしても自分の方に話を持っていこうとするのですが、それではいけませんね。この章にはこうも書かれていました。「私たちは多くの場合、外部の助言がなくても自分をコントロールできる。心を開くチャンスさえあれば・・・自分の問題を解きほぐしてくれる。すると解決策がその過程ではっきりと見えてくるものである。」人に話しているうちに自分のしなければいけないことが見えてくることはとても多くあります。話していくうちに「気づく」この姿勢は「見守る」ことに近いように思います。相手のことを信じて、理解しようとする。ということは保育においても、実社会においても必要とされるものだというのを改めて感じました。

(投稿者 邨橋智樹)

7つの習慣 8」への2件のフィードバック

  1. 私も「話すのが好きなタイプ」です。自分が話をしている時には気がつかないことが多いのですが、誰かが話をしているのを聞いたり、見たりした時に、そこに自分が映し出されるような場面を経験することが最近は増えてきました。つまり、人を介して自分を見ている感覚という感じでしょうか。そんな時に、自分はどうだったかと振り返り、反省することがあります。「相手の話を聞く」というのは相手のことを、相手の言っていることを知りたいと思えるかということでもあるのかもしれないなと思いました。そのためにはどうしたらいいのかと言われれば悩んでしまいますが、ブログにもありましたが、相手のことを理解しようとする、相手の話を理解するそんな姿勢が大切なのかもしれませんね。それは相手の話に興味を持つということでもあるのかもしれません。自分自身の考えに固執するのではなく、「なるほど、そういう考えもあるのか」と思える心でいたいなと思いました。相手の話を聞く姿勢も保育に繋がってきますね。そう思うとまだまだしっかりしなければいけない部分がたくさんある私です。

  2. 僕も「話すのが好きなタイプ」です。だからこそ、聴くことがとても大切なことがわかります。話したいと思う人は話を聴いてくれる人であり
    、信頼しているからその人に話すのであり、それは話を聴いてくれるから信頼しているのです。僕の話をよく聴いてくれる人のことを思うと、とても共感をして聴いてくれていることがわかります。お手本の人のように、人の話をしっかりと聴くことのできる人になりたいです。
    『7つの習慣』のその章に、学校に行くことについて父親に相談する子どもの心境が描かれているページがあります。とても共感できる内容です。悪い例の父親像を自分の戒めとしながら、良い例の父親像に近づけるよう、話を聴くことを努力していきたいと思います。

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