Red floor philosophy episode 5『赤ちゃんの興味』より

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ちっち組(0歳児クラス)の女の子がつかまり立ちをしていると、

ぐんぐん組(1歳児クラス)の女の子が来てくれました。

ぐんぐん組(1歳児クラス)の女の子が来てくれました。

 

窓を手で叩いて、嬉しそうな表情のちっち組(0歳児クラス)の子です。

窓を手で叩いて、嬉しそうな表情のちっち組(0歳児クラス)の子です。

 

ぐんぐん組(1歳児クラス)の子も、こんな風にアプローチ。

ぐんぐん組(1歳児クラス)の子も、こんな風にアプローチ。

 

そして手を合わせた後、

そして手を合わせた後、

 

おもむろに持っていた玩具を右手に持ち替えるちっち組(0歳児クラス)の子。

おもむろに持っていた玩具を右手に持ち替えるちっち組(0歳児クラス)の子。

窓を叩くその流れで玩具が当たり、「コン、コン。」と可愛い音が鳴ります。

そして、

少しして、

少しして、

 

ぐんぐん組(1歳児クラス)の子は行ってしまいました。

ぐんぐん組(1歳児クラス)の子は行ってしまいました。

ここからがとても興味深かったのですが、

最初小さく鳴らしていたその音、

最初小さく鳴っていた窓を叩く音、

その子が離れるにつれて大きくなっていったのです。

まるでぐんぐん組(1歳児クラス)の子を呼んでいるかのようでした。

12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2012年6月16日『赤ちゃんの興味』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

「社会脳が最近話題になっており、その重要性が言われていますが、その社会脳はいつごろ、どのような環境の中で育って行くのでしょうか。私の園で、職員がこんな動画を撮って見せてくれました。『あるまだ歩けない赤ちゃんが、中にビーズを入れたペットボトルを振って、マラカスのように音を出して楽しみ始めました。すると、このこと丸くなって座っていた同じくらいの月齢の二人の赤ちゃんがやはり手に持ったペットボトルを振り始めました。その振り方をよく見ると、この赤ちゃんたちは、他の子の音を聞きながらそれに合わせて振っているように見えます。あたかも、赤ちゃん同士で合奏しているかのようです。』

このような場面は、今まで研究されてきたでしょうか?この赤ちゃんたちは、この日に突然一緒にされたわけではなく、ふた月の間一緒に過ごしてきた仲間です。あるとき、複数の赤ちゃんを一堂に集め、その行動を研究したことはあるかもしれません。すると、赤ちゃんは、遊び始めますが、お互いの遊びに関係なく、個々に遊び始めます。それを、「平行遊び」と名付けたのでしょう。しかし、園では、そんな姿は最初のうちだけで、すぐに他人の行動をよく見つめ、それに呼応するような行動をとり始めます。それは、その赤ちゃんの月齢ではなく、どのくらいの期間、一緒に過ごした仲間であるという要素が大きい気がします。

しかも、4月当初の園での赤ちゃんの行動から、思っていたことと違った行動が観察されました。平行遊びから関わり遊びに移行していくのは、そのくらい一緒に過ごしたかとは限らないことがわかったのです。それは、まだ月齢の低い子たちの行動です。月齢の低い子は、初めて会ったばかりの他児に対して非常に興味を持ち、それを眺め、手を伸ばして触ろうとするのです。その興味は、手元にあるぶら下がったおもちゃよりも、風で動くおもちゃよりも人の動きに目を向けるのです。その時に、他の赤ちゃんと触れさせず、特定の大人だけと接しさせると、他児への興味を失うような気がします。それが、また、早いうちに他の赤ちゃんと一緒にすることで、次第にまた他児に興味を持ってくるような気がします。」

本当にそう思う場面に、この4月はたくさん巡り会うことができました。

4月のある日の写真たちでうす。写真右手の子は、おもむろに隣の子の手をつなごうとしていました。

4月のある日の写真たちです。写真右手の子は、おもむろに隣の子の手をつなごうとしていました。

 

写真上の子は、寝返りをうてるようになったかなっていないかの時期にこのような姿を見せてくれました。

写真上の子は、寝返りをうてるようになったかなっていないかの時期にこのような姿を見せてくれました。

 

視線を合わせて何だか楽しそうです。

視線を合わせて何だか楽しそうです。

 

奇跡的(?笑)な一枚。真ん中の二人は、まるで談笑をしているかのよう。

奇跡的(?笑)な一枚。真ん中の二人は、まるで談笑をしているかのよう。

 

寝ている赤ちゃんに近づいて、

寝ている赤ちゃんに近づいて、

 

優しくタッチ。

優しくタッチ。

男性に不慣れな時期を経ようとしている写真左手の女の子ですが、4月からこのような時には涙を見せず、むしろ積極的で優しげな関わりを見せてくれていました。

座って遊ぶ写真右手の子が気になる写真左手の子で、

座って遊ぶ写真右手の子が気になる写真左手の子で、

 

足に触ろうとします。

足に触ろうとします。

 

左手の子が違う方を向いても 、その子を追うかのようのような姿を見せてくれました。

右手の子が違う方を向いても、その子を追うかのように触れようとする姿を見せてくれました。

「これは、あくまでも私の現場を観察しての仮説です。これを、どうにかして解明したい気がしています。そのことが、きょうだいの存在意味、アフリカで今だに古代の生活をしているカラハリ砂漠に住むサンの人たちが生まれてすぐに子ども集団に入れ、みんなで子育てをするということを説明している気がするのです。もちろん、赤ちゃんは突然泣き出し、誰かを探します。そして、誰かの大人に寄っていこうとします。ふと不安になったのかもしれません。親を探しているのかもしれません。その行動は、他の子を求め、他の子に興味を持つことと矛盾はしないのです。ともに、赤ちゃんにとっての行動なのです。

それは、ものに興味を持ち、それに触ろうとする行動と同じかはよくわかりません。しかし、よく観察していると、物より人に優先して興味を持つような気がします。赤ちゃんの興味は、他の赤ちゃんがおもちゃよりも気を引くようです。赤ちゃんは、人の表情を見る能力のほうが、ものの形を認識する能力よりも強い気がするかです。」

この度のブログに触れると、つかまり立ちをしたちっち組(0歳児クラス)の子が窓を叩いてその子を呼ぶ姿は、「生まれてすぐに子ども集団に入れ、みんなで子育てをする」ことを古来より行ってきた人類の織り成す姿のように思えてきますね。

そして、

その音に誘われるようにぐんぐん組(1歳児クラス)の男の子が。

その音に誘われるようにぐんぐん組(1歳児クラス)の男の子が。

 

こうして近付くにつれて再び小さくなる窓を叩く音。神秘に触れるような感動を覚えます。

こうして近付くにつれて再び小さくなる窓を叩く音。神秘に触れるような感動を覚えます。

(報告者 加藤恭平)

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