最近、私が子どもたちの連絡帳を各々のロッカーにしまっていると、ある1歳児が様子を見にやってきました。その子は、置いてある連絡帳の顔写真を見て、指差しながら「◯◯ちゃん。」と、その子の名前を言いました。私は「じゃあこれは?」と、別の子の連絡帳を見せると、その子の顔写真を見て、指差しながら「◯◯くん。」と言い当てました。もしや…と思い、クラスの子全ての連絡帳を見せていくと、全て言い当てたのです。その子は、普段、他児に対して積極的でもなく、あまり言葉を発さないタイプ(言葉があまり出ない子という認識があった子)であったので、非常に驚きました。名前を知っているということは、他児への興味関心力が高いということだと思います。何かその部分を活かし、子ども同士における発達を促していく方法はないものかと考えて作ったのが「手作り写真集」です。
これは、クラスの子どもの顔写真を印刷して切り取り、インターネットから引っ張ってきた画像に当てはめたものです。これを通して、自分の写真を見つけるところから、次第に他児に関心を持つ子が増えたり、子ども同士で名前を呼び合い、子ども同士の関わりが今よりも増えたらいいなと願っています。また、園のテーマが「伝統」ということで、子どもたちは、夏の風物詩でもある“浴衣”に身を包んでいます。そして、遊び心としては、同フロアの先生方の写真も、一緒にちりばめておきました。先生方からは「やだ、なにこれ〜!」という声があがり、作った者たちには多少の非難があびせられながらも、そのようなコミュニケーションも大切だろうなぁと、ポジティブに捉えています。(笑)
この写真集は、同じクラスの男性先生と一緒に作ったのですが、こだわった点が2つあります。1つ目は、子どもの性格と着物の衣装や柄とを合わせること、2つ目は顔の微妙な角度です。子どもの顔写真を持って画像の上に当てながら「◯◯ちゃんはこの浴衣かなぁ」「なんかイメージが違うなぁ」「こっちの浴衣じゃないですか?」「この角度いいですね」などと、遠目から見ても違和感のない子どもの雰囲気やイメージを目指して行いました。これによって、子どもの共通理解もでき、一種の月案でもあるかのようにも感じました。
先生たちと各々の意見を言い合い、今の子どもの姿を共有しながら子どもの発達を促すこともできる。そのような効果が、“複数で作る手作り玩具”にはあります。
(報告者 小松崎高司)