ちょっと急ですが・・・
もう一度、保育室の環境を見直そうと思い、塾長から以前に頂いた保育室の考え方をまとめたデータをそのまんま紹介しようと思います。
今回は0,1歳保育室です。(以下太字のところが塾長の考え方です)
ハイハイ~伝え歩きの赤ちゃんが過ごす空間
日本では0歳児保育室、1歳児保育室など生年月日による年齢別のクラス分けをあたりまえに行っています。でも、よく考えてみるとおかしなわけ方です。
今0歳児クラスにいる子どもは誕生日がくれば1歳になります。1歳になったら1歳児のクラスに移るのかというとそうではなく、翌年の3月までは0歳児クラスにそのままいます。ですから、寝返りをしている子と、その周りを走り回る子が一緒にいるようになってしまうのです。発達の個人差が大きく、月齢による発達の違いも大きいこの時期、便宜的に生年月日でクラス分けをするのは子どもの実情にそぐわないのです。
そこで新宿せいが保育園では0歳~2歳になるまでの子どもたちを、それぞれの子どもの発達の連続性を保障した空間で生活するようにしています。そして、遊ぶことと、食べることと、寝ることそれぞれの生活がきちんと個々の子どものペースで行うことができるように、保育室の空間は「寝・食・遊」の3つのスペースに分けられています。
「寝る」空間
「食事」の空間
「遊び(動のスペース)」の空間
保育室という空間は、子どもを収容する場所ではなく、子ども一人ひとりの生活の連続性を尊重し、発達の連続性を保障するような環境を確保する必要があるのです。
「遊び(静のスペース)」の空間
その時期の発達に合わせた手作りおもちゃ
実際に新宿せいが保育園に見学に来られた際に説明を受けたことがあると思いますが、こうして塾長の考えを文章で読むと、より理解が深まりますね。
またこの時期は入園前見学が多く、これから保育園に我が子を預けようと考えているお母さんお父さん方を案内させていただきますが、どうしても小学校のような年齢別のイメージが強く、異年齢という考え方が新鮮だったり、保育室も壁で区切られておらず、ワンフロアで保育をしている事に驚かれます。そういう親御さん達に自分たちが実践している「見守る保育」をどう伝えたら理解してもらえるのか?とても自分の勉強になります。またこうして塾長の考え方を見直すことで、自分の理解が深まります。
次は2歳児保育室を紹介したいと思います。(報告者 山下祐)
もちろん散歩にも行きます。
散歩先でも髪をとかしたり。
給食の時間も、
もちろん子ども達と。
中身は入っていませんが(笑)
子ども達から、「まりあちゃんの給食は?」と聞かれ、子ども達が余った食器で用意をしていました。食器がない時は、「せめて…」という感じでしょうか、お茶の入ったコップが置かれている光景をよく目にします(笑)
本物の給食が入っていないことを誰かが尋ねると、
「だってお人形だもん、食べられないでしょ?」
とのことで(笑)その辺りの線引きは子ども達もよく分かっているようです。
もちろんお昼寝もします。
と言うより気付くとこうしてお休みの子の布団に横になっているという感じです(笑)
まりあちゃんも。
気にかけてくれる子がいるからなのですね。
寝かしつけようとして、一緒に眠ってしまいました。
最後の写真の子は普段中々寝付かない子なのですが、この日はぐっすり眠っているようでした。
12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2007年2月26日『ひいな』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
〝人形遊びとか、ままごと遊びは、女子が、家事の所作を学んでいるといわれてますが、他にも、子どもにとって、癒し的効果のある遊びだったのかもしれませんね。だから、いつの時代でも、ままごとは子どもに人気のある遊びのひとつですし、最近は、男子も喜んで遊んでいます。きっと、癒されるのでしょうね。〟
これはひな祭り、雛人形についての考察のブログですが、この度の子ども達の姿ととても重なるものがあると思いました。子ども達はこのまりあちゃんとあんなちゃんにきっと癒されているのだろうと思います。
これからも一緒に楽しく生活をしていきたいと思います。素敵な場面に出会う度、これからもちょくちょく報告していきたいと思います。
(報告者 加藤恭平)
「あ、そっか!わかった!」
何かに気付いた様子の緑ボーダー柄の男の子。
駆け出してどこかへ行き、そしてまた戻ってきました。
おや?
独特の歩き方で近づいてくるこの人は、
我らがらんらん組(4歳児クラス)担任小松崎先生ですね。
「ザッキー先生!あのバッタ捕まえて下さい、」
との言葉に、
「うーん、だって練習してるもんね。」
流石ですね(笑)空気を一瞬に察知してくれました。
小松崎先生に捕まえてもらおうという目論見が外れた子ども達は、次なる手段を考えます。
また緑ボーダーの男の子です。
「もーちょっとだって!」
行動派の彼。練習の切れ目を狙って、とうとう指導されている保育園の先生の元へ練習の終わりを聞きに行きました(笑)
そしていよいよその時が訪れます…!
ロープが外されました!
すると、
バッタがいることに気付いていたのでしょう。大勢の子ども達がバッタを追いかけてしまう形になり、どこかへ飛んでいってしまいました…。
なんて劇的なラスト…。
しかし子ども達はよく待ちました。バッタが飛び立つまでの時間、なんと約25分!
子ども達はこんなにも待てるものなのですね。
12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2016年7月15日『「今」を「冷却」』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
〝マシュマロ実験に合格した未就学児たちが、その方法(現在を「冷却」し、将来を「加熱」すること)を、身をもって示してくれているというのです。
彼らは目の前の誘惑を、それから物理的に距離を置くことによって「冷却」しました。二つのマシュマロという目標をずっと念頭に置きながら、誘惑のもとのテーブルの向こうの端に押しやったり、椅子の上で身をよじって後ろを見たり、わざと気をそらすために想像力を発揮したりしました。大きな報酬のために、欲求充足の先延ばしを手助けする「冷却」戦略を提示した実験では、未就学児たちは目の前の誘惑のもとを、別のものと見なしたり、より抽象的で心理的に距離のあるものと考えたりして「冷却」し、自制心を働かせるのをずっと楽にし、見ている私たちがつらくなるほど長く待つことができたのです。
年齢には関係なく、自制の中核戦略は、「今」を「冷却」し、「あとで」を「加熱」すること、つまり、目の前の誘惑を時間的にも空間的にも遠くへ押しやり、遠く離れた結果を頭の中で近くに持ってくることだとミシェルはまとめています。〟
振り返ればただひたすらにじっとして待ち続けていたわけではなく、様々に工夫をしていたことが思い出されます。〝ロープを飛び越えてしまおう〟〝他の虫を追おう〟という「今」を「冷却」し続け、〝このバッタを捕まえる〟という「将来」を「加熱」し続けることで生まれた約25分間のドラマ。立ち会うことができ、とても感動しました。
そして最後に。約25分という長い時間にわたり、彼らを支え続けたてくれたバッタはというと…。
やはり神様は見ていてくれたようです。
自制心を制する者は人生を制する。大袈裟でしょうか。
(報告者 加藤恭平)
散歩先の公園です。
指にトンボが止まるという、何とも嬉しい光景に出会った子ども達で、トンボもその期待に応えようとしてか、
すぐ傍を快く旋回してくれています。
秋を感じますね。
そんな中、「ちょっといいですか?」と声をかけられました。
他園の先生方で、運動会に向けての練習をしたいとのことで、配置がわかるようにロープを張りたいとのことでした。
ここから長い長い一つのドラマが生まれます。
12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2016年3月7日『意志の弱さ』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
〝誘惑に打ち勝つための自制心は人生を送る上でとても大切な力です。それは、自分自身で目標を達成するためには欠かせません。しかし、自制心は、自分自身のために必要だけでなく、社会を形成するためにも必要な力です。各人が、それぞれ好きなことだけを行なっていたら社会は成り立ちません。ミシェルは、「自制心は長期的な目標を首尾良く追求するには欠かせない。また、思いやりに満ち、互いに支え合う関係を築くのに必要とされる克己心や共感を育むのにも必須だ。自制心があれば、幼い頃に困難に陥ったり、学校を中退したり、物事の成り立ちに無頓着になったり、大嫌いな仕事から抜け出せなくなったりするのを避ける助けになる。」と言っています。〟
今年度、成長展のテーマは〝自制心〟。子ども達にその力が育まれていることを大いに感じたこの度の出来事を、何編にかに分けて報告したいと思います。
(報告者 加藤恭平)
10月1日(土)、新宿せいが保育園第10回の運動会が行われました。
係りの先生方を中心に準備、予行を重ね、当日を迎えました。開けて月曜日、保護者の方々からの感想を聞き、今年度も素晴らしい行事であったことを改めて実感しました。
そんな運動会。当日はもちろんでしたが、それまでの取り組みの中で個人的にとても感動した場面を紹介します。
お休みの子が3人いたので、27人のわいわい組(3歳児クラス)の子ども達です。
〝かけっこの並び方〟が成功した瞬間でした。
二度の予行を経て、その並び方にとても時間がかかってしまっていたように感じていた運動会2日前。子ども達とゲームをしました。
〝順番に何秒で並べるかゲーム〟です。
すいすいさんなら15秒くらいかな(思いつき)、と前情報を伝えて取り組んだところ、なんと10秒もかからずに出来てしまいました。
思わず感動で目が潤むわいわい組(3歳児クラス)担任二人(涙笑)
まさかと思いもう一度トライしてもらいました。
バラバラになってくださーい。
よーいスタート!
並んでくれています!
そしてー、
見事!
12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2013年2月2日『楽しい挑戦』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
〝ガードナーは、人には様々な知能があるにもかかわらず、現在、学校では、狭い知能観によって測定される能力を重視し、本来、人として生きていく上でもっと大切な能力に目を向けていないのではないかという指摘はよくされます。それは、同じことをやるにしても、そのやり方、そのものの価値、それらは、様々です。(中略)
よい指導者とは、「楽しい挑戦」をどのくらい提供できるかにかかっているのです。辻井さん(盲目のピアニストの辻井伸行さん)の恩師の川上さんは、生まれつき目が見えないために譜面が見えない辻井さんのために、特別に録音した「譜読みテープ」を作成したのです。辻井さんは、「12年間、先生との二人三脚の挑戦があったから、今の自分があるのです。」と語っています。
学校の先生も園の保育者も、子どもたちの楽しい挑戦を与えられるような能力を持ってほしいと思います。それには、広い視野が必要です。〟
〝列をつくる〟〝並ぶ〟という一聴すれば堅苦しく、時に厳しさでもって成立させてしまいがちな事柄も、ゲームにすることによって、こんなにも楽しく取り組めるのだということを実感しました。
本番も、このゲームの効果があったかどうかはわかりませんが、滞りなく並ぶことができ、スムーズに進行の波に乗ることが出来ました。
遊ぶこと。ゲームにすること。楽しむこと。保育者は大人としての立場を用いてその権力を行使する存在ではなく、子ども達にとって時に遊びのリーダーであるべき存在であるということを、改めて感じたこの度の出来事でした。
(報告者 加藤恭平)
折り紙の件をきっかけに知り得たことは〝大事なことは3階で話すと伝わり易い〟ということでした。
12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2016年7月31日『ドイツ報告5』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
〝ドイツに来て、保育室内での騒音を調査しているのですが、室内での防音による工夫は少ないように思いました。しかし、とても静かなのは、いちばんの理由は、室内にいる子どもの数か圧倒的に少ないことにあるようです。広い部屋でのお集まりを見たのですが、先生が二人に対して、子どもは6人でした。〟
新宿せいが保育園では、茶室のある3階フロアを〝静の空間〟に、2階フロアを〝動の空間〟に分けて、生活のメリハリを設定しています。
ドイツの保育室程子ども達の人数を少なく設定することはしていませんが、3階を子ども達の総人数に対して約30%程(20人強くらい)の人数に設定し、朝の会や帰りの会などのお集まりの時間を、また、給食の時間を過ごすことにしています。
「折りたいものを決めてから折って下さい。」
と、先日、折り紙についての抜群のアイディアを出してくれた先生も、そのルールを子ども達に伝えるのに3階を選んだとのこと。わいらんすい(3・4・5歳児クラス)全体で〝ぞうグループ〟〝はなグループ〟〝ことりグループ〟と3グループあり、それが毎日日替わりで3階でのお集まりにあたる為、3日に分けて話さなければならないという点がありますが、「同じ授業を3コマやるみたいで、高校の先生みたいです(笑)」と、笑っていました。
丁寧に事前ルールの伝達を終え、すると、こんな姿が見られるようになったとその先生が教えてくれました。
左にいる子がらんらん組(4歳児クラス)の子、右にいる子がわいわい組(3歳児クラス)の子です。
職員手作りの折り紙の本を見ながら、折り方を教えているようです。
このような穏やかな関わりは、3階ならではのように思います。
改めてこの3階という静かな空間を大切にしていきたいと思ったこの度の出来事でした。
(報告者 加藤恭平)