先日、にこにこ組(2歳児クラス)のテーブルにお花が置かれました。
我らが誇るベテランの先生のアイディアです。
新宿せいが保育園は、よく見ると、至るところに草花があります。
なんだか、胸がすくような気持ちになります。
11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2015年11月2日『室内の花』の中でこう書かれています。
〝ドイツの園に行って、室内に入ってまず驚くのが、緑の多さです。日本の保育室で緑はほとんど見かけません。以前、このブログで緑視率のことを書いたことがありました。視野にあるパーセントの緑が入ると仕事能率が上がるという研究です。それは、緑色という色の効果です。その研究は日本で行なわれているもので、ドイツでそれを知っているわけではないと思うのですが、どちらの方向を見ても、必ず視野に緑が入ります。それは、四方向だけでなく、上を見ても緑があります。
また、その緑はドイツでは基本的に緑の自然の植物の葉です。造花は使いません。したがって、その緑は酸素を供給し、空気を清浄化し、加湿をしてくれます。緑色が視野に入ることで仕事能率が上がるという研究では、なお、その効果を増すものとして、自ら育てる緑であるというものがあります。自ら育て、成長していく植物が机の上にあることが、より効果があるということが研究されているのです。また、カポックという植物の葉は、よくある加湿器並みの湿気を室内に出すことが知られています。〟
草花を置く、ということに、このような意味があり、理由があるということがわかります。
そして、この日のブログは、こう展開されていきます。
〝日本の教室、保育室にはあまり植物を見ることがないのはなぜでしょうか?まず、小さい子が土をいじる、葉をちぎってしまう、植木鉢を倒してしまうということがよく言われます。ほかの大きな理由に、育てるのが大変で、すぐ枯らしてしまうということも言われます。ドイツでは、なぜ子どもたちが倒したり、土をいじったり、葉をちぎったりしないのでしょうか?それは、保育のあり方だと思います。その理由がこれということは、よく分かりませんが、まず、ドイツの保育室には教具、遊具があふれんばかりに置かれていることも理由の一つかもしれません。非常に豊富です。乳児から、たくさんの遊具が棚に並べられ、いつでも自分で取り出せるようになっています。土や葉を遊具にする必要もないのです。
もう一つ、子どもたちがとても落ち着いています。テンションが上がっている子や走り回っている子、大声を出している子はほとんど見ることがありません。好きなことに黙々と取組んでいます。植木にぶつかって、倒してしまったりするなどということはないように思います。しかし、なぜ枯れてしまわないかは不思議です。気候のせいか、木の種類なのか判りませんが、植木に水をやっている姿を見ることはありません。いつ、誰が水やりをしているのか、また、葉もほこりがなく、いつも拭いているようで、それは不思議です。ただ、私の園では、植木の植物の枯れ具合で、保育の落ち着きを見ることがあります。心に余裕がないと、植木は枯れてしまいます。植木が水を欲していることに気がつかないと、子どもの心が渇いているのに気がつかない気がするのです。〟
〝心に余裕がないと、植木は枯れてしまいます。植木が水を欲していることに気がつかないと、子どもの心が渇いているのに気がつかない気がするのです。〟
この一文に、とても心を打たれます。
というのも、にこにこ組(2歳児クラス)周辺の草花に、いつも丁寧にお水をあげ、枯れないようにケアをして下さっているのは、何を隠そう我らが誇るベテランの先生、その人だからです。
毎日、その先生の保育を見て、姿勢を見て、背中を見て、過ごせたこの2年間を、本当に幸せに思います。
さぁ、子ども達が散歩から帰ってきました。花を添えた初めてのその日の給食の風景です。
「なんかきれーだよね。」「においするね。」と、嬉しそうな子ども達を見て、花を愛でられる状況を子ども達が自分たちで作り上げていることのすごさに気付いていないそのあどけなさに、そして、子ども達をこうして見守ることで、このように育っていくんだよ、と強い信念で僕らを導いてくれた我らが誇る先生に、感動してしまいます。
愛を込めて草花を。大袈裟でなく、草花が枯れることのない瑞々しい毎日は、きっと、毎日を幸せに生きようとする、その人の心が生み出す産物なのだと思います。
(報告者 加藤恭平)