ボーイ ボーイ
クレージー・ボーイ
カッカとするな
気楽に スッと
流して行けよ
怒りは胸にしまっておけ
クールにやろうぜ
クールにな
今にも暴走しかねない少年たちを、新たにリーダーとなったものが「早死にしたくなければ、頭を冷やせ!」と言ってなだめ、上の歌詞が入った「クール(Cool)」という曲を歌うのは、シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」を元にした同名のブロードウェイ・ミュージカルの映画化作品でもある【ウエスト・サイド物語】です。この映画は、1961年に公開され、その年のアカデミー賞10部門(監督、助演男優、助演女優など)受賞という快挙を成し遂げました。
今回の生臥竜塾は、このミュージカル映画を丸々一本鑑賞しました。
映画のあらすじ
ニューヨークのダウンタウン、ウエスト・サイド。移民の多いこの町では、かねてから対立関係にあるベルナルド率いるプエルトリコ移民のシャーク団と、リフ率いるジェット団の2つのグループが、ことある毎に衝突を繰り返してきた。ある日、ベルナルドの妹マリアは、兄たちシャーク団に初めてのダンス・パーティへ連れて行かれる。そこへジェット団のメンバーも現われ、2つのグループは競うように踊り始めた。そんな中、マリアはジェット団の元リーダー、トニーに出会い、互いに心を奪われる。だが、それは許されない恋の始まりだった…。
この映画の中で印象に残っている言葉は「銃弾で殺したんじゃない。憎しみで殺したのよ!」という、死を嘆きながら叫ぶシーンです。どんなに兵器などの道具がなくなったとしても、人が抱く「憎しみ」という感情がなくならなければ、悲しい出来事が起こってしまいかねないということが伝わってきます。
塾長は、かねがね「争いは、どちらもが犠牲になってしまう」と言っています。「たとえ勝ったとしても犠牲がないわけではないし、結局どちらもが傷ついてしまう」と。また、劇中で少年たちが自分たちの育ってきた環境を省みて、どうしようもない怒りと悲しみを歌にするシーンがあります。どうしてこんなになってしまったのか…と。「あの少年たち全員が犠牲者だよね」という塾長の言葉からは、子どもたちを取り巻く環境がいかに重要で、地域社会に住む大人たちの生き方が直接的に子どもたちに影響していくということを強く感じさせました。
そして、やはり「クール(Cool)」を歌うシーンは、今年度新宿せいが子ども園でもテーマにしている「気をそらす力」ともつながり、一人では気持ちを抑えられない状況であっても、周りにいる仲間とともに一時の強い感情に支配されないようにする過程、気をそらすことで将来を棒に振ることを避け、冷静な判断をすることができるのだと伝わってきました。
この映画を観終えた後、初めてではないような感覚に陥りました。調べていく中、マイケル・ジャクソンの「Beat it」のPVは、この映画をモチーフに作られたということが分かりました。ある番組でこの映像が流れ、二人がナイフをつきあっているシーンを観ていたのですね。マイケルが、「そんな争ってばかりいないで、踊っちゃおうぜ!」と言っているようにも感じます。興味がある方は、こちらも観てみて下さい!
https://www.youtube.com/watch?v=Ym0hZG-zNOk
(報告者 小松崎高司)