子どもたちは「数」も、生活や遊びを通して学びます。
3・4・5歳児の朝の集まりで出欠確認をして、今日の欠席人数をみんなで把握しています。その行程の際などに、数字と人数の一致を分かりやすく視覚的に理解できるものであったり、自発的な遊びを通して数に親しめるようにといった狙いのもと、新人の用務員がこれを作ってくれました。
木の容器に、はんだごてで数字を書き、容器の周りを移動する囲いを木片で作り、そして中には12個の花のクリップが入っています。木の容器を「植木鉢」に見立て、その鉢に自分が決めた数字分の花を植えるという手作り玩具です。
塾長のブログにはこう書かれています。
「小学校の1年生での数の指導では、物の個数を直観的に把握させること、つまり集合数としての数の役割を重視する考え方を直観主義といい、物を数えるという操作を通して把握させること、つまり順序数としての数の役割を重視する考え方を数え主義といいます。数の概念を形成するにあたって、どちらの意味も、具体に即して、正しく理解させ、両方の調和のとれた指導が必要だとされています。しかし、子どもたちは、小学校に入学する前から、両方を生活や遊びの中で経験していきます。」
この手作り玩具は、まさにその経験を可能にしている環境のひとつです。植木鉢に咲いている花の数を当ててみたり、数字の羅列から順序数を把握しています。これは、決してやらせれているのではなく、子どもたちが自発的に遊びを通して行っているところが最大のポイントであると感じています。
ある子どもが、その玩具で遊んでいました。その子どもは、初めから12個の花クリップ全てをつけていました。クリップをつける感触を楽しんでいるのかなと思っていると、自分が決めた数字分の花を容器に戻し、数を引き始めたのです。子どもたちは自発的に行っているからこそ、自分でルールを考えたり新しいものを創造していけるし、数という対象の深い認識にもつながっていくのだろうなと感じました。
(投稿者 小松崎高司)
完成度の高いおもちゃですね!デザイン性もよくて、自然に手に取ってみたくなるような気持ちになりました。そして、実際に遊んでみると自然と数を意識できる…ん〜すごいです!こうやって自然に数を認識できるおもちゃがあるというのはとても大切ですね。まだまだ数については自分自身課題も多いので、とても刺激になりました。「決してやらせれているのではなく、子どもたちが自発的に遊びを通して行っているところが最大のポイントであると感じています」とありましたが、本当にそうですね。自分から進んでやることで、この子は数のおもしろさを感じていくかもしれません。それはきっとやらされていては感じにくい部分でもあるように思います。子ども達が遊びたくなるおもちゃになっていることが大切ですね。
過去の報告にコメントを入れていて面白いなと思うのは、特に〝研究発表〟に関しては、これから先何年も、この研究結果が現場に活かせる、ということだと思います。年度毎によって変わる子ども達の雰囲気というものがあると思います。今年の子ども達は◯◯が好きだから、ということであれば、それに応じた過去の研究発表されたものから引っ張ってくることも可能ですし、またアレンジを加えれば、それが、もう一つの〝研究発表〟対象となり得るわけです。
いわば、見守る保育流の〝あそびの辞典〟〝玩具の辞典〟なるものをつくっていると言えると思いました。