先日、調理の先生からご依頼いただき、にこにこさん(2歳児クラスの名称です。以下にこにことさせていただきます)はとうもろこしの皮むきをしました。 昨年の様子を調理の先生も知っていたので、「すぐに飽きちゃうかもね」「あまったら3・4・5歳児クラスに手伝ってもらいましょう」と話していたのですが、開始するや、剥く剥く!剥きに剥いて、あっという間に4箱分も剥いてしまいました。
こういう時に剥くのが上手な子って、なんだかすごく格好よく見えます。「◯◯くんすごーい!」「◯◯ちゃん自分で剥けるんだねー!」なんて大人の声が飛び交うので、言われる子はちょっとしたヒーローのような気分になるのでしょうね。周りの子の羨望の眼差し(?笑)を受けながら、思いっきり楽しんでいました。
「たくさん剥いてくれてありがとう。おやつに目の前で焼いてたべようね♪」
調理の先生が最後に言ってくださいました。楽しくがんばったことに対してありがとうを言われる嬉しさを、子ども達はこういったところからも感じていくのだろうと思います。お昼寝から起きてからが楽しみになりました。
カーテンが開き、午後の光が差し込むと、楽しみにしていた子も多く、すっと起きてきた子ども達です。全員が集まったところで、いよいよ焼いていただきました。
皆、嬉しそうに見つめていました。立ち上る湯気、香ばしい香りに大人も食欲がそそられます。
刷毛でバターと醤油を混ぜたタレを塗って、「いただきます!」
…と思ったら、すぐ向かいにいるわいらんすい(3・4・5・歳児クラスの略称です。以下『わらす』とさせていただきます。)の先生の声が聞こえてきました。こういう時の声って、賑やかにしていてもよく通るから不思議です。
「今日のおやつのとうもろこしはにこにこさんがむいてくれたんだって!皆でありがとうして食べよっか!」
自然と静かになるにこにこの子ども達。顔は、わいらんすいさんの方をじーっと見ています。誰も目の前にあるとうもろこしに手をつけずに、その様子を見つめていました。
わいらんすい「ありがとうございました!いただきます!」
なんだか、嬉しくなりますね。こちらからもこう返すことにしました。
「どういたしまして!いただきます!」
一つのフロアー皆で、とうもろこしにかぶりつきました。舌の上に踊るその美味しさを、色々な人に喜んでもらえたという喜びと一緒に子ども達は味わっていたことと思います。
夕方はそれにちなんで、とうもろこしの塗り絵をクラスの職員が用意していました。
とうもろこしの身の部分を緑色に塗る子がいて、「まだ剥けてないところなの。」とのことです。こんなところにも子ども達は取り組みの成果を見せてくれるのですね。様々な体験ができた、素敵な取り組みだったなぁと思いました。
また、調理のお手伝いをする日が楽しみです。
(報告者 加藤恭平)
自分たちができることを実際にやってみる、体験することっていいですよね。そこから感じれることがたくさんありそうです。知識を与えるばかりではなく、体験を軸にした保育の工夫は忘れたくないですね。いいな!と思ったのは皮むき後のトウモロコシの塗り絵です。体験したことが遊びにつながる工夫は大切なことですね。友達同士でトウモロコシの皮むき体験をしているので、塗り絵をしながら思いを共有できたり、そこから友達同士の関わりも生まれてきそうですね。遊びが深まっていくように思います。
わらすの「ありがとう」を活かす「どういたしまして」。調理さんの食育を活かす「塗り絵」など…たくさんの目の前に起きた事象や物事に対してそれを活かそうとする姿勢や考え方、共通基盤があるようにも感じました。それが、保育の連続性という事なのでしょうね。まるで、事細かに日案をかいたプロジェクト保育のようにも映りますが、それがなくてもこのようにできるということから、たくさん学ばなくてはいけないのだと思います。