「ラッキーBOY ラッキーGIRL」のその後

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数日前に、山下先生によって「ラッキーBOY・ラッキーGIRL」の報告がありました。今回の報告は、その後の話です。

椅子に貼られたシールは、職員が仕掛けた物でした。子どもたちは、おやつの時間や昼食の時間になると「今日は、ラッキーBOY ラッキーGIRLあるかなぁ?」などと言って、楽しみにしている様子が伝わってきます。

そんな日が、数日続いたある日。一人の5歳児の女の子が「先生、お話があるんだけど…」と来て、私の耳にヒソヒソ話をし始めてこう言いました。

「…あのね、次はね、私がそのシールに絵を書いて、椅子に貼りたいの!」

この言葉を聞いた時、その子が無償に愛おしくなりました。「いいね、それ!」と言いながら、すぐに真っ白いシールとペンを渡しました。その子も、ニコニコ楽しそうに笑いながら、すぐにシールに絵を書いていました。

子どもが描いたシール

子どもが描いたシール

新宿せいが保育園の【保育目標】には、「やりたいことをやれる子ども(意欲的な子ども)」、「人の喜びを喜べる子ども(思いやりのある子ども)」があります。そのような育ちになっている喜びと、何よりも人の喜びを感じて、それをさらに生み出そうとする心意気に感動したのです。

そして、ある昼食の日。その子が「今日さ、私が書いたシール付けていい?」と言ってきたので、子どもたちに見られないように隠していたシールを渡しました。その子が、どのようにシールを貼るのかドキドキして観察していました。当然のように、他の子どもたちに気づかれないように設置しなくてはいけません。しかし、その子は、昼食をもらおうと友だち同士で並んでいた子どもたちに向かって、両手を振りながら大声でこう言ってしまったのです。

「何もしてないから私を見ないで〜」(笑)

職員たちは爆笑です。職員は慌ててその子を呼び寄せ、シールをばれずに仕掛ける趣旨をもう一度確認しました。気持ちが高揚しすぎているのを和らげ、その子は再びチャレンジします。幸いにも、並んでいた子どもたちは、その子の言葉を聞いても「……?」だったので、計画は続行できました。計画は、まず仕掛ける椅子を目立たないところに移動し、そこでシールを貼り、気づかれないように椅子を戻すといった内容です。その様子がこの写真です。

椅子を設置しているところ

椅子を設置しているところ

平然を装っている様子が、後ろ姿からでも伝わってきますね。

無事に、気づかれずに椅子が設置され、みんなが揃って“いただきます”をする前、ラッキーBOY・ラッキーGIRLの発表をその子からしてもらいました。その時の喜びといったら、シールが貼ってある椅子に座ってラッキーGIRLとなった女の子以上の喜びを表現していました。

人に与える喜びは、自分の喜び以上のものであることを子どもから学んだ気がします。

 

〈エピローグ〉

人に与える喜びを味わったその子は、また次なる喜びを生み出すために、別なラッキーシールを作っていました。

喜びは続きます

喜びは続きます

こういった活動や喜びの渦を、クラスへ・保育園全体へ・地域へと広げていくことが私たちの役割でもあります。

 

(報告者 小松崎高司)

「ラッキーBOY ラッキーGIRL」のその後」への2件のフィードバック

  1. いいですね!なにより、楽しいそうです!実は今日、さっそくこのラッキーboy、ラッキーgirlのアイディアを園で真似させてもらいました!子どもたちも「え?何が始まるの?」「なになに?」というような表情で、こちらを見ていました。シールが貼ってあるイスに座っていた子が見事ラッキーgirlになった訳ですが、嬉しさと恥ずかしさがあるような表情をしていました。子どもたちの食いつきもおもしろく、ちょっと続けてみたいなとやってみて思いました!今後も真似させてください笑
    そして、そのアイディアが子どもたちの活動、気持ちにつながっているというのは何よりいいですね!

  2.  最高のアイディアでしたね!このように広がっていくものだとは、想像もしていませんでした。素晴らしい企画であると思います。この遊び心溢れる企画は現在進行形で子ども達の毎日を彩っています。ぜひ多くの保育園でもやってもらいたいですね。
     そして、コメントを読めば我らがもりぐちさんがもう既に実践しているではありませんか!(笑)さすがのスピード感です。小松崎先生の落としたアイディアの一滴がこうして波紋のように広がって子ども達を楽しませています。最高ですね!

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