8月も後半に差し掛かってきました。4月からの新入園児の子達もすっかり慣れ、2歳児クラスの子ども達も、子ども同士の関わりの深まりを見せています。7月にも新入園児が一人。先日、こんな素敵な場面に出会いました。
7月から入園した女の子が登園児に、さよならの寂しさも相まって目に涙を浮かべていました。それを見た4人の女の子がそっと近づいてきてくれました。一人は「◯◯ちゃんが泣いてるよー」と教えに来てくれました。(教えにきてくれた後すぐにどこかへ行ってしまったので写真の中には登場していません。)
写真右上の子は様子を見ています。すると、顔を覗き込んでいた女の子二人が目を合わせたなぁと思った次の瞬間、頭をこちんっと合わせて、
と、おどけてみせてくれたのです。
それを見た右上の女の子も「◯◯ちゃん!ばー!」と、ひょうきんに加わっています。
写真の口元からもお分かりの通り、泣いていた女の子は笑ってしまいました。目に浮かべていた涙はどこかへ行ってしまった様子です。2ヶ月という時間は、子ども達にとって、仲良くなるには十分過ぎるようです。
藤森先生が10年間毎日欠かさずに更新されているブログ『臥竜塾』の2013年2月3日『対人知性』に、アメリカの心理学者ハワード・ガードナーの言葉が掲載されています。
〝“対人知性”とは、他人を理解する能力をいう。この人の動機は何か、あの人はどう動くだろうか、皆と協調して動くにはどうすればいいのか、といったことを理解する能力だ。〟
〝対人知性の本質は、「他人の気分、気質、動機、欲求を選別し、それに適切に対応する能力」である〟
この場面においては、泣いている子の傍に集まってきてくれた子達は、泣いている子の気持ち(他人の気分)を汲んで(選別し)、どうしたらその子が笑顔になるか(それに適切に対応する能力)ということを行ったと考えられます。大人が何か指図するでもなく、子ども達は自然に体が動くようです。
今年の成長展のテーマは〝対人知性〟です。今年度は来年3月始めの週に行われます。大きな行事です。クラスの係りの先生方は4月当初から動き始めています。
子ども達も本当にすごいと思うのですが、職員の先生方の行事への想い、早くから取り組もうとする積極的な姿勢に、いつもながら感心してしまいます。
このような関わりを、積極的に報告していけたらと思っています。
(報告者 加藤恭平)
子どもたちのこのような姿は様々現場で見られることなのかもしれませんが、その姿をどのような視点で観察、発見するのかということも保育者としては大切になってきますね。新宿せいがさんの成長展のテーマである「対人知性」ですが、そのことを意識して、子どもたちの姿をみると、またいつもとは違った発見や気づきが得られるのだろうと思います。このようにテーマを決め、そのことを現場から深めるという姿勢がすべての職員のみなさんで共通しているということがいいですね。一人だけではなく、様々な人と子どもを理解を深めることができますね!
「対人知性」という言葉が具体的な子どもの姿となって、活字をそのまま浮かび上がらせたような報告ですね。是非、3月の成長展の際に資料として使用したいなと思いました。また、新入園児が泣いている時点で、そこに職員が介入していたらその後の子ども同士の関わりは生まれなかったということを塾長から説明を受け、介入するタイミングは個人差もありますが、職員の見通し力が非常に重要である事を学びました。