先日、四ツ谷にあるおもちゃ美術館に研修で行かせてもらいました。
保育者の方はご存知の方が多いとは思います。私は恥ずかしながら初めていかせてもらいました。なので行く前からとてもワクワクしていました。そんなことは置いておきまして、遊びの研修ということで数多くの方が参加されていました。
研修内容としては、
•手作りおもちゃを作る 30分
•おもちゃ美術館館内レクチャー 30分
•おもちゃ美術館館長の講演 1時間
少々、時間に追われた感じはありましたが非常に面白く、あっという間に終わってしまったと印象です。
ご存知だとは思いますが、おもちゃ美術館には多くのGOOD TOYが数多くて展示されていたり、手に取り遊ぶことができました。
そのGOOD TOYを選考するにあたっての基準は次の通りのようです。
1.健全なおもちゃ
2.ロングセラーおもちゃ
3.遊び•コミュニケーション尊重おもちゃ
3つめのコミュニケーションを尊重するおもちゃというのは保育者にとっても意識する必要がある項目ですね。
美術館館内レクチャーでは初めて見るおもちゃの使い方とこんな遊び方をすることでコミュニケーションが生まれるということを教えていただきした。細かい遊び方を少し教えてもらうだけでもおもちゃの見方が広がることがわかりました。
例えば木の車のおもちゃを走らせるとき床を走らせるのではなく、子どもの体を走らせることでコミュニケーションが生まれるということでした。子どもにうつ伏せになってもらい、何人かで円を作ります。うつ伏せになってもらった背中を走らせることだ自分のところに車がくると自然と興奮し、笑い声が生まれるそうです。尚且つお尻を通る時は「おや、お山があるぞ」や頭を通るときに「大きな岩があって通れない」などいうことで子どもが意識して頭を下げ、平らにしようとしたりもするそうです。
私はこれを大人がやるのではなく、子ども同士にやってもらい、子ども同士が意図的に体を触れ合える体験も含めてやれることがいいのではないかとも感じました。
更に、レクチャー以外で館長のお話は大変ためになるものでした。
数々あるお話の中でおもしろいと思った2つを取り上げたいと思います。
まず館長は0歳〜6歳までの子どもたちを
”遊びの一流プレーヤー”と呼んでいます。
なぜかというと絵本を何回読んでも楽しめるし、絵本でよくある繰り返しに感動します。大きなかぶなどの本は様々な人や動物が現れ繰り返し抜こうとします。こんな繰り返しが好きです。
ブロックをしていても作った作品を壊しては作り、壊しては作りを繰り返します。
この繰り返しを好むことから”繰り返しを楽しむ天才”とも表現していました。
この繰り返しを楽しむおもちゃとして良いのがマトリョーシカのようです。
3歳児に対して、繰り返しの中で盛り上げる極意を教えていただきました。
振ってみて「中に何かいる?」と聞いてみて音がするので子どもは「いる!」と答えます。「よくわかったね」と続け、最後の方では「もういないよ」と音がしているのに”しらばっくれる”そうです。
このしらばっくれることで子どもはのってくるようです。そこで渋々開けることで子どもがより喜ぶのです。
更にもうないと見せかけておいて安心している所で最後の一つを出し、子どもたちの”不意をつく”のが良いそうです。
この”しらばっくれる”と”不意をつく”ということが大事なようです。
こんな具体的に遊び方を話していただけるとやってみたくなるものですね。
もう一つがコマについてでした。
コマに関してはアクティビティトイと呼んでいました。
まずコマの初めは両手で回そうとしますが、上手くなってくると片手で回せるようになります。片手で回すというのは指先で回します。指先で主に使うのは親指、人差し指、中指です。この3本をフル稼働するおもちゃということです。
この3本を使うということは生活の基本動作を表しています。そこからボタンや鉛筆の持ち方に繋がっていきます。コマが上達することでしつけで教えるのではなく遊びの中から身につけられるということをおっしゃっていました。
これは塾長がよく言っている遊びの中から学んでいくことと同じであると思います。
こういった様々な視点を聞くことで自分がおもちゃを見る視点が変わってくることに気づきます。
まだまだお話はありましたがきりがないのでこの辺で…
おもちゃを選ぶ際にはもう少し、違った視点で観れるようになる研修でありました。
(報告者 本多悠里)
コミュニケーションが生まれるおもちゃ、コミュニケーションが生まれる遊び方がGOOD TOYを選考する際の基準になっているのですね。コミュニケーションが生まれるおもちゃということはおもちゃを選んだり、作ったりする時には大切にしたいことですね。またコマで遊ぶことで自然と基本的動作が身につくとありましたが、この考え方も素晴らしいですね。コミュニケーションも含め、そのような考え方でおもちゃを制作してくださる方がおられることに嬉しいといいますか、感謝の思いを感じます。遊んでいくうちに自然とこんなことが身についていた、感じることができていたというこちらの工夫は大切にしたいですし、そんなおもちゃや環境を用意できるような存在になりたいなと思います。
木の車のおもちゃによる触れ合いをを子ども同士にやってもらい、子ども同士が意図的に体を触れ合える体験へと考えを発展させるのが本多先生の数ある才能の一つであるように思います。一つの事柄をヒントにし、見守る保育で行える為にはと考え、落とし込む力が日常はもちろんのこと、研修を受けた際には特に必要になるように思います。
子どもを繰り返しの天才と表現するなど、とてもクリエイティブな面白い研修だったことが伺えます。おもちゃの見方と共に子どもの見方にも大きな広がりがあったことを感じました。