先日、ヘルプで、すくすく組(一時保育)に入った時の様子を報告します。
2歳児の女の子2名がパズルをして遊んでいました。
私自身、すくすく組に入ることは多くはないので、なんとなく子どもの顔は見たことあるなという認識はあるのですが、名前や、性格などはほとんど分かりません。
そんな中で、この二人がパズルをしている様子を見ていました。
白服の子(下の写真)はとてもおしゃべりが得意な様子で、いろいろなことを呟きながらパズルをしていました。もう一方の黒服の子は白服の子とは対照的で、黙々とパズルをしていました。
しばらくするとなかなかパズルがうまくできないようで、白服ちゃんがイライラし始めます。
「も〜どこにやるの?」
「どうすればいいの?」
「も〜なんなのよ〜」
と明らかに不満があるよな言葉が白服ちゃんから出てきます。
するとそれを察してなのか、黒服ちゃんが、白服ちゃんのパズルをやり始めました。
黒服ちゃんは、無言で白服ちゃんがやっていたパズルをやり始めたのですが、まるで「私はそのくらい簡単にできるのよ」という背中にも感じました。
どうも黒服ちゃんは白服ちゃんよりはパズルが得意そうです。
しかし、白服ちゃんは黒服ちゃんが自分のパズルに手をつけたことでさらにイライラしてきます。
「も〜なんでやるのよ〜やめてよ〜」
「私一人で頑張るんだから〜」
と黒服ちゃんが持っているパズルを奪って、ぽいっと投げ捨てる姿も。
しかし、諦めずに黒服ちゃんはパズルをする手を止めません。
そんな黒服ちゃんの姿に、少し諦めたのか白服ちゃんは黒服ちゃんを気にしつつパズルを再開させました。
そして、しばらくすると、
「そこじゃない。ここ!」と黒服ちゃんから白服ちゃんがはめた箇所は間違えであるという指摘が入りました。そんな指摘に、白服ちゃんのプライドが許さなかったのでしょう「も〜知っているから、言わないで」と白服ちゃんはその指摘に対して不満げに返答していました。
なかなかお互いを受け入れない二人の様子を見ていて、どんな展開になるのだろうかと楽しみになりましたし、こうやって子どもは相手と葛藤しながら遊んでいるんだと感じながら、眺めていました。
そんな様子を眺めながら、「二人でやった方が楽しいじゃん」と呟いてみたのですが、
私のその言葉はそよ風のように流されてしまいました笑
そんなやりとりをしていた二人ですが、しばらくすると自然と黒服ちゃんはその場を離れました。そうなると白服ちゃんも一人でパズルをやることになります。白服ちゃんにとってはやっと訪れた?平穏な時間です笑
ゆっくり自分のペースでさっきとは違う別のパズルをし始めました。しかし、しばらくすると、白服ちゃんはまたつぶやきだします。
「も〜どこなのよ(どこにパズルをはめたらいいの)」
「どうしたらいいの〜」
と、どこにパズルをはめたらいいのか分からず、不満げな言葉が出てきました。
どことなく、誰かに助けを求める声にも聞こえました。
そこで、白服ちゃんに「ねえ。黒服ちゃんに教えてもらったら?」と声をかけてみました。
すると白服ちゃんが黒服ちゃんに向かって「ねえねえ、これどうしたらいいの!」となかなかのボリュームで、いつものように不満気に声をかけました。
不満気ではあるのですが、さっきまであれだけ黒服ちゃんのことを受け入れていなかったのに、「どうしたらいいの」と声をかける白服ちゃんには驚きました。もしかすると黒服ちゃんに声がかけたいけど、プライドが許さず、でも声をかけたいという感じで、何かのきっかけを待っていたのかもしれませんね。
声をかけられた黒服ちゃんは特にリアクションをとるわけでもなく、ひょいっと立ち上がり、白服ちゃんの元に行き、パズルを手伝い始めました。
助けを求めた白服ちゃんですが、黒服ちゃんに対する姿勢は相変わらず強めで、
「ちょっとこれはどこなのよ?」
「あ、待ってよ(どんどん勝手に組み立てていかないで)」と白服ちゃん本来の姿勢は崩しません。
しかし、次第にパズルが出来上がっていきます。黒服ちゃんがパズルを組み立てていくのを見て、
「あ〜そうそうそれはそこよね」
ときっと白服ちゃんは分かっていないのに、自分は知っていたかのような口調に変わりました笑
(白服ちゃん、もし本当に気づいて言っていたならごめんなさい笑)。
「うん。そうそう(そのパズルは)そこね」
という発言を繰り返す白服ちゃんを見ていて、おかしくなってしまいました。
そして、パズルはなんとか完成しました。
もしかすると白服ちゃん一人ではパズルは完成していなかったのではないかと思います。ヤンヤン言いながらではありますが、黒服ちゃんがいてくれたおかげでパズルは完成しました。
しかし、パズルが完成したからいいということではなく、白服ちゃんにとっては自分よりパズルが得意な黒服ちゃんという存在がいるんだということを少しでも感じた時間だったのかもしれません。
そのことを感じることができただけでもいい時間だったのかもしれません。
一時保育を利用している家庭の子どもは多くの時間を親と子どもという関係で過ごしているため、自分以外の子どもがいる環境を体験する機会も少ないでしょうし、思い通りにならない相手がいるという経験もあまり体験できないのかもしれません。そういう環境であると複数の子どもの中で過ごすということにストレスを感じてしまうのかもしれません。白服ちゃんの姿はそんな子ども同士の関係で生じるストレスでもあったのかもしれません。
しかし、それは一時保育での子どもだけではなく、保育園に通っている子どもも感じることだと思います。大切なのは、そのストレスにどう対応していくのかだと思うので、ある程度の子ども同士の関係の中でのストレスは大切になってくるんだと思います。それが集団で生きる力につながっていくのだと思います。そんな意味でも白服ちゃんの経験は保育園という子ども集団がある場所でこそ体験できるものなのではないでしょうか。
また、集中力が持続するというのは一人の力だけではなく、自分以外の人の力も大きく影響しているのではないかなと感じました。
塾長は「子ども集団の力、可能性」の話をされます。
また、例えとしてよく「サウナ」の話もされます。
主に男性の場合、一人でサウナに入っている時間と、誰かが一緒にサウナに入っている場合とではサウナに入っている時間に差が出てくるはずだと言われます。確かにこれは男性であれば想像できる話だと思います笑
自分とは違う人がそこに存在しているだけで、人は自分一人では思ってもみなかった力を発揮することがあります。子ども集団がある保育園にもそんな集団の力はたくさん存在しているはずですね。
改めて子ども同士の関わりの大切さを一時保育の子どもたちから感じる時間になりました。
報告者 森口達也