新年度が始まって一ヶ月ちょっと。朝の受け入れの大切さを改めて感じ、感動した出来事がありましたので報告します。
園の内線でにこにこ組(2歳児クラス)の女の子が電話をしています。
電話の先は、
モニターにいる、
小松崎先生!
わいらんすい(3・4・5歳異年齢児クラス)では普通番(8:30)の出勤の先生が来るあたりを目安に、2Fと3Fに分かれて保育を設定しています。
昨年度ぐんぐん組(1歳児クラス)の担任だった小松崎先生を慕っていつも登園をしてくるこの女の子。この日は小松崎先生が3Fに行っていた為、会いに行こうかどうしようかとしていたところに、ちょっと試してみたのでした。
女の子も手を振り返しています。
電話の声は二人だけにしか聞こえない為、このやりとりの後に小松崎先生にどんな声をかけてくれたのかを聞きました。それと合わせてお楽しみ下さい(笑)
「おーい。先生だよー。」
「…。」
「見えてるー?」
「…。」
「元気—?」「あ、もう大丈夫そうでーす。」
(笑)
11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2013年12月17日『対話』の中でこう書かれています。
〝今月初めに、園で「おたのしみ会」がありました。その行事は、保護者に子どもたちの言語と表現の発達を中心に見てもらうものです。そこで、保護者に渡すプログラムには、言語と表現の発達過程が示されています。おたのしみ会が始まって、司会によるその意図の紹介の後で、私のあいさつでこんなことを話しました。「言葉の発達の中に“親しみを持って日常のあいさつをする”という発達があります。みなさんは、あいさつというのは“おはようございます!”と元気よく言うことだと思っているかもしれませんが、あいさつの始まりは、朝、私のあった時に、“にこっ”としたり、親の後ろに隠れたり、黙った下を向いたりするのも私はその子の精いっぱいの挨拶だと思っています。また、“元気よく返事をする”という発達も、“はい!”と元気よく声を出すだけでなく、今日の出し物の中で、乳児が自分の名前を呼ばれた時に、手がピクッと動くのも返事です。子どもたちが伝えようとする気持ちを聞いてみてください。」という“はじめの言葉”を言いました。〟
モニターにカメラがついてるわけではないので、小松崎先生は女の子の表情も動きも見えていません。表情も動きもわからず、終始無言の電話に、〝あの子ならきっとこう反応してくれているだろう〟と、優しくも懸命に言葉と身振り手振りを投げかけてあげていました。女の子は手を振ったり、その声にじっと耳を傾けたりしながら、ちゃんと応えていました。
また、『臥竜塾』ブログ2012年12月21日『おたのしみ会の考察12』の中にはこう書かれています。
〝ヒトは、人生の中で、様々な人間関係を築いていきます。その基本となるものが、「母子の愛着である」と言われてきました。しかし、この愛着は、目的ではなく、愛着だけがあれば豊かな人間関係が築けるわけではなく、多様な人との関係の中で、他人と同調する能力、傾聴する能力、共感的関心などの力を育てることが必要です。2歳までに、見つめあい、相手を見つめ、共感し、模倣してきたことをもとに、2歳児クラスになると、積極的に子ども自らかかわりはじめます。その時に、言葉が出てき、ルールが生まれ、自己主張が始まるのです。「みんなで一緒」が楽しくなるのです。そして、お互いが触れ合うことで、他人への思いやり、他人に対して、皆で協力して援助するようになります。〟
クラスの担任の先生だけとではなく、クラスを超えて、フロアーを超えて。愛着を築いた大好きな先生と〝朝のおはよう〟をすることがこの子にとって大切な朝の始まりであり、〝多様な人との関係の中で、他人と同調する能力、傾聴する能力、共感的関心などの力〟が育っていく一日の始まりなのですね。
笑顔でクラスへ戻っていく職員と女の子の後ろ姿を見て、今日も素敵な一日になりそうな、そんな予感がするのでした。
小松崎先生、ありがとうね♪
(報告者 加藤恭平)