先日、ルールが生まれた瞬間に立ち会いました。
最近、子どもたちはドッジボールをよくしています。2チームに分けるのも、誰かが「並んで〜」といってまず一列に並びます。次に、先頭の子の好きな単語2種類をみんなに伝えます。例えば「じゃあ、今日はタコとイカね。」というと、先頭から順に「タコ、イカ、タコ、イカ、タコ…」と最後の子どもまで言い終わると、タコチームとイカチームの出来上がりです。毎日、その単語が変わるのが面白いです。2チームに分かれたら試合開始です。しかし、下の写真のように園庭には線がありません。両者を分け隔てる重要な中央線がないのです。どうするのかなと観察していると、なんとそのまま試合が始まりました。大人だったら、まず線を書くでしょうね。しかし、子どもたちはというと、見事なまでに見えない線をなんとなく意識しながらも楽しそうに遊んでいるのです。たまに、相手チームの陣地に入りすぎる子どももいましたが、それでトラブルにはなりませんでした。
- ドッジボールの様子
数日間は、そのような遊び方でドッジボールは行われていました。スコップやシャベルを並べれば直線ができるという一隅のヒントを与えようとしていたある日、いつもと同じように試合をしていると一人の子どもが「あ、いいこと考えた!」といって、園庭にある落ち葉を集めてきました。そして、それを一列に並べ始めたのです。他の子も「いいね〜」と言わんばかりの表情で、その作業を手伝い、葉っぱによる中央線が出来上がりました。
- ルールが生まれた時
私が考えていた線よりも、実にスマートで合理的な線ですね。(笑)
私が注目したのは、「あ、いいこと考えた!」と言った子どもは、何を思っていたのかということです。私が推測するに、相手が自分の陣地に入りすぎているのをずっと気にしていたのではないでしょうか。誰かが小さな疑問を抱いたとき、ルールは生まれるのかもしれません。そして、園庭にあるもの・そこにあるもので応用して線(ルール)を作り上げた子どもたちの“生きる力”に触れることができました。
- 試合再開!
子どもたちは、日々このような経験を繰り返しています。
(報告者 小松崎高司)
チームの分け方、おもしろいですね!みんなが両チームの人数のバランスを考えながら調整するように自分が属するチームを決めているのかもしれませんね。いつも思うのですが、このように断片的ではない継続的な見方で、そして子ども達の姿を細かく、かつ子どもたちが思っていることを想像しながら日々の様子を見守っておられる職員さんの姿勢があるからこそ、新宿せいがの環境が出来上がるのだなと思いました。子ども達のことを理解しているからこそ、今現在の子ども達に合った、創造性のある取り組みが行なえるのだと思います。まず、子ども達のことをしっかり理解する。そんなことを忘れずに保育をしていこうと思います!
これは素晴らしい報告ですね!噛みしめる程に味わいのある素敵な報告、どうもありがとうございます。
「あ、いいこと考えた!」は、言葉としてもとてもいい言葉ですね。それを口癖にしたいと言っていた前向きな友人のことを思い出しました。その感覚や感性を育てる為に、今藤森先生のブログは科学をテーマにして進んでいるように感じています。想像力、創造力、それら全てを網羅するかのようないい言葉です。いいこと思いつくような毎日は、最高に楽しい毎日ですね。