ちょっと変わった職員が報告する勉強会~園内研修編4~ EPISODE 5

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「信用できない大人の元で育てられると我慢ができない。」

親の支配的な態度での子育て、気分で愛したり愛さなかったりするような親の元で育つ子どもは先が読めないために今を選んでしまう、と藤森先生は仰いました。

例えば会社の社長が信用できない人だとします。その人に、目の前に今月分のお給料を出され、「来月まで待てたら3倍あげるよ」と言われても、信用できないので目の前のお給料を貰って帰ると思います。

信用できない→先が読めない→見通しが持てない→我慢ができない

このサイクルの中に日々晒された子どもに我慢をする力が育まれないのは、当然のことのようにも思えてきます。

また、〝支配的な態度での子育て〟にはこういった弊害があることも、12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2016年10月7日『「自分」と「他人」』の中に紹介されています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〝最近、自分と他人との境界(自我境界)がよくわからないと感じている人が多いと言われています。その境界がはっきりしていないと、自分と他人の立場や気持ちを混同したり、事実と自分の気持ちを混同(混同思考)しやすくなると言われています。発達障害の子の特徴として、他の人との境界線がわかりにくい」という事も言われることがあります。しかし、一般的に幼い子供は人格形成が未熟なため、自分と他人との境目がはっきりわからないという状態がよく観察されますが、次第に人格が成熟し、自分自身というものをはっきりと自覚できるようになるといわれます。

しかし、成人してもそうした未成熟な人格構造が残ってしまうことがあります。現在、原因のひとつとして考えられるのは、親が支配的だったり、逆に過保護だったりした場合だと言われています。親が支配的な態度をすることによって、また、過保護に育ててしまうことで、子どもは、自分自身の気持ちや意見を持ち、主張する機会が奪われてしまいます。その結果、自分自身がどのようなものかよくわからないまま大人になってしまったのです。すなわち、「主体性が奪われた結果」です。〟

さらに『臥竜塾』ブログ2016年3月30日『イフ・ゼン』の中には、

〝子どもたちの選択と、自由意志があるという感覚を後押しすることで、自主性を奨励した母親の子どもは、のちにマシュマロ実験で、成功するのに必要な種類の認知的スキルや、注意コントロールスキルが最も優れていることが判りました。これは、母親の認知的能力と学歴の差を考慮に入れたときにさえ、当てはまったのです。そのことは、幼児を過剰にコントロールする親は、子どもが自制のスキルを発達させるのを妨げる危険を冒しているのであり、一方、問題解決を試みる際の自主性を支え、奨励する親は、子どもが保育園から帰ってきて、どうやってマシュマロを2個手に入れたかを嬉々として聞かせてくれる可能性を、おそらく最大化しているだろうとミシェルは分析します。〟

とも書かれており、〝子どもたちの選択と、自由意志があるという感覚を後押しすること〟の重要性を改めて感じます。

それでは、どのようにして〝我慢〟〝自制心〟その力を育んでいくことができるのでしょうか。

それでは、どのようにして〝我慢〟〝自制心〟その力を育んでいくことができるのでしょうか。

藤森先生は、三つの方法を示して下さいました。

①家庭で栽培をしてみる

→食育三本柱。〝栽培〟種を植え、その育ちを楽しみにしながら親子で共にそれを待つ。収穫し、〝調理〟をし、そして〝共食〟共に食べる。韓国の保育園へ訪れた際に〝樽柿〟があり、干してあう柿一つ一つに名前が書いてあった。皆で食べるまでに、〝もう少し待っていたら甘くなるよ〟というような言葉がきっとあるだろう。料理で言えば、例えばご飯を炊くということもそうで、〝もう少ししたら炊けるよ〟という、〝楽しみにしながら待つ〟という体験は、子どもの心に自制心を育む。

②気を逸らす術を伝える

→セサミストリートのクッキーモンスター、ウェイティングゲームの話が挙げられていました。(『臥竜塾』ブログ2016年7月4日『クッキーモンスター』『臥竜塾』ブログ2016年7月5日『自己制御のレッスン』の中で紹介されています。)

〝気を逸らす〟目の前の報酬、欲の対象に捉われないよう、他のことを考えるよう促す。例えば給食時、全員で〝いただきます〟をするまで絵本を読んで待つ、などのことはとても効果的である。このようなことを積み重ねていくことで、最後には自分で我慢する方法、気を逸らす方法を身につけることができる。

③物でつる

→〝我慢できたらこれをあげるよ〟など。

③は実に意外でしたが、最近の研究ではこれも自制心を育む上で有用な手立てなのだそうです。

具体例を通して、実際に取り組める段階にまで落とし込まれた内容で、とても勉強になります。〝「100ページ以上のスライドの中からほんの15ページ」〟の折り返し地点にそろそろ到達できそうです。

(報告者 加藤恭平)

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