「〝知ること〟や〝やること〟を挙げることよりも、〝知ろうとすること〟〝やろうとすること〟という学習態度、学習意欲へのアプローチが大切である」
それは、ノーベル経済学賞(2000年)の受賞者、ジェームズ・ヘックマン教授が〝ペリー就学前計画〟を基に研究されています。
このことは12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2014年1月26日『非認知能力』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
このことから、IQを向上させる教育、即ち、知識や技能を習得させる(認知的な)保育、教育は、将来への効果が極めて薄いということがわかります。藤森先生の小学校教諭時代の話もあり、とても納得がいきましたが、例えば、知識を習得させることに力を入れている園から来た子が1年生の頃に成績がトップだったとしても、ある日から、その子が園で習ってこなかった段階へ勉強は進んでいきます。そこで結局は認知的な教育の中にいた子よりも、〝知りたがる意欲の高いこの方が伸びる〟という結論になるのは、最早言うまでもないことのようにも思えてきます。
その〝知りたがる意欲〟こそが、保育の中で育むべきものであるということを指針に明記すべきであるというのは、最近の研究を踏まえたとても現実的な主張であることが納得できるように思います。
知りたがる意欲。そして、誘惑に勝つ自制心。難解な課題にぶつかった歳の粘り強さ。その力が子どもたちの将来を明るく、豊かなものにするのです。
それも、厚生労働省が提示している『保育をめぐる現状』の中の『海外の調査研究』における『保育・幼児教育の効果に関する海外の調査1』のグラフを見ていただけるとわかると思いますが、1歳半頃をピークにその後は下降しています。 (太字をクリックすると厚生労働省が提示している『保育をめぐる現状』の全文を読むことができます。)
先日の報告の中で「3歳、4歳から我慢を覚えさせようとすることは無理に近い。1歳から1歳半、この時期にどうやって我慢の力を身につけさせるかが保育の課題です。」と藤森先生の言葉を書きましたが、その回答となるのがこれです。
この大切な時期に、自制心を育む保育をすること、質の高い保育を子どもたちに提供することがとても大切なことであることが頷けます。
それでは質の高い保育とは。現場の視点で捉え直された具体的な内容を基に藤森先生の講演は続きます。
(報告者 加藤恭平)