ある時は現場に またある時は調理室に
チーム保育の要、〝臨機応変〟を、この人は今日も体現する
突然ですが、新宿せいがの保健の先生をご存じでしょうか?
毎日職員室から出ては、保護者からの連絡帳を読み、その日の子ども達を把握し、体調を見て回ります。それだけでなく、こうして遊びの中にも入り、子ども達の笑顔にも貢献するのです。
新宿せいがの保健の先生をご存じでしょうか?
「今日は暑いから」と、タライを外に出して、子ども達に水遊びをセッティングしてくれました。6月下旬の土曜日の出来事です。はしゃぐ水しぶきに顔を弾ませる子ども達がとても印象的でした。
新宿せいがの保健の先生をご存じでしょうか?
プール係に名を置き、プールと言えばこの先生、と誰かが言います。こうして子ども達の夏のとっておきの楽しみが、今年もスムーズにスタートを切ったのでした。
新宿せいがの保健の先生をご存じでしょうか?
7月に行われました夕涼み会当日。打ち合わせを兼ねてのお昼ご飯のお弁当をこうしてセッティングしてくれました。自分の希望した通りのお弁当が職員の手に渡り、和気あいあいとしたお昼の時間を演出してくれました。
新宿せいがの保健の先生をご存じでしょうか?
試作を重ね、つい先日、〝豆腐ドーナツ〟がおやつの時間に子ども達に提供されました。アレルギーの子達に見事に対応された調理内容で、それもこの先生の発案、創意工夫の元で行われました。その美味しいことといったら!子ども達がおかわりに来るスピードで、その美味しさが証明されていたように思います。
他にも、行事で使うものを裁縫などで修理・作成してくれ、先日は2歳児クラスにお手製のワンピースをプレゼントしてくれました。少し渋目の柄で(笑)特定の子ども達に人気の変身グッズの一つです。
先日11年目に入られました藤森先生が毎日更新されているブログ『臥竜塾』の2013年3月9日『不協和』にはこう書かれています。
〝チームワークが良い場合は、メンバーがあうんの呼吸で動き、その動きが全体で美しい音色を響かせるように、お互いの音を聞きながら、美しい和音を奏でます。そして、その音が反響しあい、増幅します。それを「共鳴」とい〟います。
〝(中略)「共鳴」は、感情の波長が一致した時に起きます。そして、それは、前向きの感情をより長引かせる効果があると言われています。職場において、共鳴が起きているかどうかは、リーダーの明るく熱意に満ちたエネルギーに共振する集団であるかです。共鳴が大きいほど、人と人との相互作用が活発になります。共鳴は、システム内の雑音を最小化します。そうなると、チームは一つにまとまり、組織のために人々が結束するとき、そこに働いている人々を結びつけるのは、全員が共有する感情なのです。メンバーは、互いに心を許しあってアイデアを共有し、学びあい、協調して決断を下し、仕事を成し遂げていきます。感情のレベルで絆が形成されているので、大きな変化や不安定要素に直面しても、浮足立つことがありません。何よりも重要なのは、メンバー同士が感情レベルで結ばれていると、仕事がより意味のある目標になります。仕事がうまくいった時の高揚した瞬間を共有しあう歓びは、何にも代えがたいものです。こういう気持ちに後押しされて、集団は一人では到底不可能な目標を達成することができるのです。そうした集団をリーダーがつくり上げるかです。〟
素晴らしい文章に、感動を覚えます。
新宿せいが保育園のリーダーは大きく言えば藤森平司先生です。して、新宿せいが保育園には、ご存知の通り、主任の先生がいません。それでは、クラスのリーダーは誰でしょうか。職員室のリーダーは誰でしょうか。
〝職場において、共鳴が起きているかどうかは、リーダーの明るく熱意に満ちたエネルギーに共振する集団であるかです。〟各場所において、そのリーダーとは、誰でしょうか。
僕はそれを、〝その場所において最も信頼を集める人〟、と考えます。それがクラスによっては、ベテランの先生であったり、また、臥竜塾生の面々であったり、職員の誰かであったりする、と思うのです。
時間があれば子ども達とシャボン玉を吹き、暑ければタライに水を汲み、職員の笑顔の為に昼食の準備をし、行事や日々の遊びに積極的に手を施してくれ、子ども達の健康を願う気持ちから、安全で美味しい料理を考え、提供する。〝働く〟の語源は『〝はた(他人)〟を〝楽〟にすること』とは有名な言葉ですが、この先生の行っている日々のそれは、〝保健〟という枠組を超えた、まさにリーダーの行う仕事です。また、先日から参加させていただいています、保育環境セミナーの、『子どものためのチーム保育』という項目の中にあった、〝看護師も「保育者」である。看護を通じて保育する〟ということを体現されていることを感じます。
藤森先生は言います。〝共鳴は、システム内の雑音を最小化します。そうなると、チームは一つにまとまり、組織のために人々が結束するとき、そこに働いている人々を結びつけるのは、全員が共有する感情なのです。〟
その先生は今日も明日も職員室を出られることでしょう。その度、僕らは、その仕事ぶり、その先生の魅力に、共鳴の音を止めることができません。
子ども達の健やかな育ちは、こうして今日も保たれていきます。
(報告者 加藤恭平)
本文を読んで、ほんと様々な業務をこなしている事に気がつきます。「保健」という枠組みだけでなく、保健を通して保育するという意味がはっきり理解できますね。プール活動という中の衛生という位置から保育を行い、食という面から子どもの健康な体を保つ保育を行い、子どもと一緒に遊びながらその子の状態を視診するという保育を行い、保健という見方が一つではないということが把握できました。
妙なあだ名がつけられているのを聞いてしまいましたが、素晴らしい先生ですね!自分の役割を決めて、その中で何かを考えるのではなく、保育園として、チームとしての中の自分をみて、その都度、何をした方がいいのかということを考え、実行する姿勢は素晴らしいですね。自分からみたチームではなく、チームの中での自分の役割をもう少し私も考えなければと思わされました。