新年度が始まりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。
新しい体制になり、ワクワクした気持ちでいっぱいの毎日で、僕はにこにこ組(2歳児クラス)からの持ち上がりでわいわい組(3歳児クラス)になりましたので、移行を遂げた子ども達のその後の姿をリアルタイムで見守ることができることが、嬉しくて仕方ありません。
現在の子ども達の姿を報告したい気持ちを一度横に置いて、今回は、時間がちょっと経ってしまったのですが、移行時に見ることのできた子ども達の姿、それを追う職員の姿勢から、とても多くのことを学ぶことができた出来事があり、昨年度の締めくくりとして、報告をさせていただきます。
その出来事は給食の配膳時に、突然起こりました。
わいわい組(3歳児クラス)の子が配膳をこぼしてしまいました。
移行時ということもあり、僕はにこにこ組(2歳児クラス)の場所から、初めてちゃんと意識をして、この後の流れを見ておこう、と思ったのでした。
しかし、あれ?こぼしてしまった本人は水道へ行ったっきり中々戻ってこず、時間ばかりが経過していくような、そんな感じがしました。
「なんで拭くのを手伝わないの?」
すると、
「だって紫ちゃん(後に登場するこの度の報告の主人公です。紫のボーダーの服を着ています)が〝やらないで!〟って言ったんだもん…。」
とのこと。僕は何だか驚いてしまいました。
この黒のボーダーの女の子は、紫ちゃんの言葉を受けて、手伝ってあげたいと思う気持ちを抑えながら、見守っていたのですね。
11年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2008年10月7日『自己中』の中でこう書かれています。
〝子どもが少ない少子時代の今では、子ども同士がぶつかり合うことが少なくなってきています。物が豊富になったため、ものを取り合ったり、譲り合ったりしないで済むようになりました。物だけではなく、時間も、空間も自分だけのために確保できるようになりました。そのような意味において、幼稚園・保育園という場は、子どもにとって、貴重な場だといえます。多くの子どもが共に生活するうえで、さまざまな場面で、譲り合っている姿を見ることができます。
今回の保育指針の改定の背景に、子どもが人と関わる経験が少なくなってきていると書かれてあります。人と関わることで当然トラブルも発生しますし、自己中のぶつかり合いも起きます。しかし、その中から人に共感する心が育っていきます。もともと人とは、社会という集団を構成するようにできています。〟
相手の気持ちを尊重して、こぼした本人に〝手伝う〟という行為を譲った黒のボーダーの女の子。子ども同士の関わりの中で育まれたものを、ありありと感じ、感動してしまいました。
今回の報告も、何回かに分けてお伝えしたいと思います。この後、こぼした本人が登場し、面白い展開を見せてくれました。次回に続きます。
(報告者 加藤恭平)
加藤先生の見守り方いつも感心します。見守った先の子どもたちのアクションがさらに、ハッとさせられたり感慨深いです。
手伝ってあげようという気持ちを抑えて、それでも心配といった子どもの気持ちすごいですね。ブログの引用でもあるように、この子はすごい人と関わるいい経験をしているのが後ろ姿からも感じました。
続きを楽しみにすると共に、このような子どもの見方4月の忙しさで忘れかけていましたが、これを機にきをつけたいと思えました!
FIATさんへ
コメントありがとうございます!自分が初めてコメントをした日のことを思い出しました。そして、コメントを入れてもらえることが、こんなにも有難く、嬉しい気持ちになるものだということを、改めて感じています。コメントは、書いている人への最高の激励ですね。これからも書き続けていきたいと思います。
忙しいとは、心を亡くすと書くと聞いたことがありますが、子どもの些細な言葉や姿が捉えられる時というのは、やはり心にゆとりがあり、余裕がある時なのではないかと改めて感じています。ゆとり、余裕は大人たる代名詞のようなものですね。どんな時でも動じない、子どもの安心基地のような存在になりたいですね。
相手が「やらないで」と言ったことで、ボーダーの女の子は自分の行動を決めたのですね。まさにこれは相手がいないと起こり得ないことですね!「やらないで」と言われたのに、その様子を見ているボーダーちゃんの姿もなんだかグッとくるものがありました。相手があって、自分の行動が変わったという保育園では当たり前のことなのかもしれませんか、少子化である現代ではこの当たり前こと大切にしていく意識が重要なのかもしれませんね。
もりぐちさんへ
コメントありがとうございます!本当ですね。このような関わりは集団ならではのものだと思います。また、大人が何でもやってしまう環境の中でもこのような姿は育ちにくいのではないかとも思ったりします。
子育てが十人十色なのは重々承知の上なのですが、その中心を貫くような、真理たる基盤となるものがあれば、もっと人は楽に子育てを楽しむことができるはずだと思います。藤森先生はそれを〝見守る〟としました。多くの人に知ってもらいたい、このような子ども達の育ち、また、そこに関わる大人の目線、考え方に触れてほしい、と思ったりします。