また君を笑わせたい〜君が笑えばこの世界中にもっともっと幸せが広がる〜 episode final

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先程からつくっていた〈テレビ塔〉に向けられる眼差し。

先程からつくっていた〈テレビ塔〉に向けられる眼差し。

いや、写真右すいすい組(5歳児クラス)灰色の服の男の子(以下グレイ君)がむしろ、次なる展開にその眼差しを〈向けていた〉と表現した方が正確かもしれません。

その隣で行われていた遊びの中へと入っていくグレイ君です。

その隣で行われていた遊びの中へと入っていくグレイ君です。

グレイ君「青いドミノはここにありますよー!」

手に持っているのはドミノがたくさん入った箱。

「ありがとう。」

「ありがとう。」

 

グレイ君「レッド君 (写真左赤い服の男の子、以下レッド君)が欲しいのはあるかな(探してみている)、、」レッド君「このやつ(手に持っているブロック)なんだけど。」

グレイ君「レッド君 (写真左赤い服の男の子、以下レッド君)が欲しいのはあるかな(探してみている)、、」

レッド君「このやつ(手に持っているブロック)なんだけど。」

グレイ君「ちょっとお待ちくださいね〜。」

グレイ君「ちょっとお待ちくださいね〜。」

そんなようにして遊びの中へ入り、そして、その二人の遊びに必要なブロックを集め始めました。

そうして、にわかに豊かになっていく二人のブロック。

面白そうに思えたのでしょう、更にもう一人加わり、〈水族館〉を作る流れが加速していきました。

面白そうに思えたのでしょう、更にもう一人加わり、〈水族館〉を作る流れが加速していきました。

12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2015年1月12日『触媒』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)

〈発見科学を効果的に指導するには、教えるときに4つの役割が必要であると書かれてあります。1番目の役割は、「世話役としての役割」でした。2番目は、「触媒としての役割」としています。(中略)

ウィキペディアによると、触媒とは、「自発的に起こり得る反応の反応速度を増加させる」とあるように、自発的に学習しようとする子どもたちに対して、触媒としての教師は、相手の学習速度を高める存在になるということです。(中略)〉 

触媒としての役割とする教師は、自分自身も普段から発見の喜びにあふれています。そのため、前向きで応援するような雰囲気を作り出すと言われています。〉

このグレイ君の役割は、〈触媒〉そのものではないでしょうか。

そして、最初の〈テレビ塔〉を振り返ると、確かにグレイ君は〈テレビ塔〉それ自体に殆ど手を加えていないことに気付きます。わいわい組(3歳児クラス)の子が作っていたその作品を〈テレビ塔〉と評価し、嬉しそうに遊ぶその姿を見守っていました。

すると、こんな考えが浮かんできました。

グレイ君は、チェック柄の男の子がテレビ塔の遊びの中に入りたいと思っている気持ちを察して、その仲立ちをしたのではないか。

グレイ君は、チェック柄の男の子がテレビ塔の遊びの中に入りたいと思っている気持ちを察して、その仲立ちをしたのではないか。

 〈テレビ塔〉を離れ、〈水族館〉に加わった過程を思い返すと、〈テレビ塔〉を中心にした二人の遊びが、しっかりとしたものになるまでを確認していたかのようにも考えられます。そして、その遊びが確立されるや否や次に自分が必要とされるであろう場所へ移っていった、こうも考えられるように思いました。

感動に湧く気持ちを抑えつつ、遊びがひと段落ついたところでグレイ君と二言三言言葉を交わし、その後に尋ねてみました。

「お友だちが喜んでくれるのが嬉しいの?」

照れた表情で頷くグレイ君に、見守る保育の育くむものの大きさを目の当たりにしたような思いがしました。

(報告者 加藤恭平)

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