マネジメント3

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社会人になって思ったことは、自分が想像していたよりも、たくさんの職種、会社があることです。
例えば、保育園で働いていると、よく関わる会社と言えば保育教材を取り扱っている会社です。
それも、色々な会社があり、当たり前ですが、それぞれ独自性を持っています。
それらの会社は保育園や幼稚園がメインの顧客になると思います。
したがって、子ども達が使う家具や玩具を販売するわけですが、
本当に子ども達の物を売ることが、それらの業者の目的なのでしょうか??
以前、私の保育園に営業に来た社員がいます。
その営業マンは、掛け時計を売りにきたのですが、
その時計の周りに可愛い人形が飾ってあり、おそらく保育室というより、玄関に飾る方がいいようなデザインの時計です。
ちょうど塾長が職員室にいたので、塾長自らその営業マンを対応しました。
そこで、塾長が言ったのは

「我々が時計を使うときは子どもに時間を知らせるときに使い、よく長針の位置を目安にします。『長い針が数字の6になったらお片付け』など…。

その場合、数字の横に目印があると、数字が読めない子どもも理解できるし、それをきっかけに数字を理解できるようになる。
この時計は目印の飾りも中途半端な位置だから使いづらいです」

と言いました。
実は私の父も保育業者で、幼稚園、保育園を相手に商売をしています。
大学の頃に就職を考えたときは地元に戻り、一緒に働くことを考えていました。
と言うのも高校の夏休みで暇なときは仕事を手伝っていたので、
幼稚園や保育園に玩具や遊具、家具などを販売するのがメインの仕事なんだ・・・。
と自分なりに理解していました。

しかしドラッガーの言葉で

「自らの事業は何かを知ることほど、簡単でわかりきったことはないと思われるかもしれない。(中略)

『われわれの事業は何か』との問いは、ほとんどの場合、答えることが難しい問題である。わかりきった答えが正しいことはほとんどない」

とあります。
その言葉から考えると、
「保育業者=園で使用する物を販売する事業」という方程式は成り立たないですね。

先ほどの時計を販売しに来た社員は、この時計を置くことで、子どものこんな成長が見られる、
保育でこんな風に活かせます。という現場目線の言葉はなく、
ただ人形の装飾が可愛い・・・でした。

同じようにドラッガーの考えで保育園の位置づけを考えてみると、
保育園は子どもを預ける場所という考えは無論あてはまりませんね。
この辺りに関しては、塾長に話してもらうのが一番理解できるのですが…
私の中でまず最初に思い付いたのは、
日本の将来を担っていく人材を育てていく場所でしょうか。

・・・本当はもっと重要な役割があるようにも思いますが、
それだけ保育園の役割を答えることは、難しいことだと思います。
最近、悲しい事件が起きましたが、塾長が言われたのは、
「小中高の育ちに注目しすぎて、乳幼児期に関しては一切触れていない。」と言われました。
ドイツはミュンヘンの「陶冶プログラム」これに関しても塾長のブログでとても詳しく解説してあります。
一言で言うのは難しいですが、人格形成の基礎を培うという意味が込められています。
乳幼児期の学び、経験というのは、それだけ将来への影響が大きい時期とミュンヘンでは捉えています。
しかし日本ではまだ、そこまでの議論まで達していないため、
何か問題や事件が起きると小中高での育ちを注目しています。
少し話がずれてきたので戻しますが、
それだけ私たちがしていることは、子どもの将来に大きく影響しているという自覚が必要のような気がします。
赤ちゃんなんて・・・2歳はまだ・・・という軽い気持ちで保育はしてはいけませんね。
そして保育業者も、ただ保育用品を販売するのが目的でなく、保育園と同じくらい子どものことを考え、
保育士と一緒に子どもを育てていく。それこそ保育業者は『環境』という部分で大きく貢献すると思います。
またドラッガーは
「あらゆる組織において、共通のものの見方、理解、方向付づけ、努力を実現するには、『われわれの事業は何か。何であるべきか』を定義することが不可欠である。」
これは保育園の理念にあたる部分だと思います。
「もしドラ」でも主人公は野球部はただ野球をする集団でなく、野球部はどういう組織なのか?そして何をするべきかを考え始めました。
そして考え抜いたあげく、野球部のするべきことは「観客に感動を与える組織」というのが、野球部の定義と位置づけたのです。
ですので新宿せいが保育園で例えるならば、
以前、私の報告でも書きました「見守る保育の三省」が新宿せいが保育園の事業だと思います。
だからこそ、職員全員が共通の見方、理解、方向を向いている気がします。(報告者 山下祐)

マネジメント3」への2件のフィードバック

  1. どんな職業も社会や誰かを支えているものですね。そこに「私たちはこういう思いで働いています」ということを集団の全ての人が理解している組織はきっとイキイキして見えることだと思います。どんな職業かが問題なのではなく、どんな思いでやるのかということの方が大切なのかもしれませんね。そんなことを読んでいて、感じました。

  2. われわれの事業は何か。その問いにはっきりと答えを出した企業こそが、簡単に屈することなく、今の時代を牽引し、未来を担っていく企業となり得たのでしょう。
    この問いの先にある答えは、使命であると思います。その企業に任された、その企業を立ち上げた人、企業に携わる人に任され、託された使命を問う問いであると思います。それぞれ人に任された役割や使命があり、企業がもつ使命は一人では達成できないものだからこそ、その使命に共感する人が集まり、達成へと歩んでいくのだと思います。
    塾頭の言う通り、われわれの使命とは、見守る保育の三省であり、一人一人がその使命に対して役割をもって、それぞれの生き方で体現していくことと考えます。同じ使命をもち、共感し合えることに、とても大きな喜びを感じます。

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