塾長に「科学って何ですか?」という質問をした時、このような言葉が返ってきました。
「不思議さを感じること。説明はいらないよね。」
この言葉を軸に、先日の「文字・数・科学」の講座に挑みました。その際、子どもたち(5歳児)に「どんなことが不思議だなぁって思う?」という質問を投げかけてみました。するとこのような言葉が返ってきました。
A君「ひとつの磁石を木の下に持っていってね、上の磁石が動くこと。」
→きっと、間に物があったとしても強力な磁力で引きつけ合うことを言っているのだと思います。
B君「あのね、まあるいやつを回すと逆にも回ること。」
→これには正直「?」でしたので、3・4・5歳児の先生に聞いてみると「ラトルバック」とい玩具のことを言っていることが分かりました。これを卓上に置いて揺らすと、決して時計回りには回転せず、必ず反時計回りに回転します。無理に逆向きに回そうとしても、回転は全体の振動に変わって、ほどなく反時計回りに切り替わります。確かに、不思議ですね…。
身近な物でこの「ラトルバック」が作れるというサイトを見つけたのでシェアします。↓
http://www.kokukagaku.jp/06_science/064_hikidashi/064h_rattleback.html
C君「何でボールがバウンドするのか」
→大人は慣れすぎていて不思議と思わない部分も、子どもは純粋な視点で物を見ているようです。
D君「なんでブロックが上手に作れないかがふしぎ〜」
→これに関しては脱帽ですね(笑)子どもでも、自分の想像していることを現実に創造する難しさというものを感じているのですかね。遊びに関してのプロフェッショナルさを教えられているかのようです。
子どもたちが感じているこれらの「ふしぎ」を、体験・究明できる・している環境が科学の場所であり、さらになぜ?どうして?を体験した時、次の科学が生まれるのかなとも思いました。
そして、今回の講座でサブテーマにした部分は「日常と体験」です。子どもの日常には、多くの「文字・数・科学」が溢れおり、その部分が就学前教育の根本である「経験カリキュラム」とどう結びつき、子どもたちは何を体験しているのか、また、敷居の高いと思われている「文字・数・科学」がいかに身近で、そして“アバウトさ”とか“余白”、“遊び心”が必要であることを感じてもらうというねらいがありました。
「子どもが◯◯をしていた。あれって科学だったんだ!」「日常って面白いことだらけ!」「不思議なことってたくさんあるんだ!」を、大人が感じることで、子どもはより「科学」に関心を向けるだと思います。
大人は、この現象にはこういった原理が働いているということを話したがると思います。知識を伝えようとするからです。しかし、もう一度原点に帰ってみると、就学前教育の目的として「経験カリキュラム」という言葉が蘇ってきます。塾長の「説明はいらない」という言葉の意味が、ここにあると思います。子どもが「不思議だなぁ」っと思う環境を用意し、それに共感し、あわよくば、その経験を他の誰かと共有できる仕組みにすることが大事であると感じました。
見守る保育の特徴として、「乳幼児同士の関わり」があります。「科学」と「見守る保育」とを融合させる上での私たちの役割とは、『不思議さを誰かと共有させること』であるといった、一つの答えに至った講座までの道のりでした。
次回は、実際にあった1歳児の科学体験について報告していきたいと思います。
(報告者 小松崎高司)
藤森先生の「不思議さを感じること。説明はいらないよね。」という言葉に軽い衝撃を受けました。小松崎さんも「大人は、この現象にはこういった原理が働いているということを話したがると思います」ということを言われていますが、まさにそのように考えてしまう部分があり、私は科学を難しく捉えていました。「不思議さを感じること」を科学と捉えると、今まで考えすぎて何もできていなかった自分に光が差し込んできたような感覚を覚えます!そして、その不思議を誰かと共有できる仕組みも大切だと教えてもらいました。あれこれ考えすぎずに楽しく不思議を感じることで、もっと科学の環境を充実させていけたらと思いました!