面白い展示を見つけました。
これは、時計でしょうか…。時計が見えそうなところを見てみても、長針も短針も見当たりません。しばらく見ていると、なんと時計の中に“おじいさん”が現れてきました。すると、そのおじいさんは、黒のペンで、今の時間を示す長針と秒針を手書きで書き始めたのです。
時間が進むにつれて、消しては書いてを繰り返していました。まさに、手書きというアナログさとデジタル映像との融合であり、時間という単位を面白く表現した展示だなぁと感じました。
また、私が思っていた“時間”に対する考えも、ここで大きく変わることが出来ました。よく、「命と時間」は、誰もが平等に与えられたものであるとされています。つまり、時間は誰もが一緒で、変わることがないもので、決められているものであるということです。しかし、その「時間」を人間が書こうとする映像から、時間は決められているもの・やってくるもの・受け入れていくものとかではなく、『書き加えていくもの』であるのかなとも感じました。平等でありながらも、そこに向き合う時間は各々の自由であるということです。単位を通して、世界を平等にし、ただそれを受け入れるためのものではなく、その手段を通して、自分の生活に潤いと好奇心を書き加えていく、そんな「単位」という存在でもあるのでしょうか。
そして、どうして時計の中にいるのは「おじいさん」なんだ?…と考えていると、…そうか!「大きなのっぽの古時計」に出てくるのが“おじいさん”だからだ!!と…、一人で感動していました。(笑)こういったように、作者や企画者、また、目の前にいる相手が、どんな思いでそれらを構成し、作り上げていったのかをあれやこれやと考えること・知ろうとすることはとても楽しいです。それが、私の趣味なのかもしれません。
こんな展示もありました。
これらは、「1—100のものさがし」というもので、日常何気なく目にしている物や使用しているものなどの中から、1㎝の物から100㎝の物を1㎝刻みで探していった結果の展示でした。非常に面白いですね。単三電池が5㎝であることや、中濃ソース容器が10㎝であることを始めて知ったなんて方もいるのではと思います。そして、今「それを知ったところでどうなるの?」という疑問を抱いた方…。私も、そう思いました。しかし、3mくらい先を見て考えていると、きっと自分が話したいなぁ、知りたいなぁと思っていた人と自分との前に、ちょうど、単三電池や中濃ソースがあれば、その話題をきっかけにコミュニケーションがとれるかもしれないとも思ったのです。これも立派な、生活の潤いですね。
そんな時、同時に、子どもたちがブロックゾーンで遊んでいる姿を思い出しました。あるブロックとあるブロックつなげたいのにうまく噛み合わず、どうしても崩れてしまう状況に陥った5歳児が、別の場所からそこに必要な幅であろう物を探し、そこに加え、挟み込むような形で作品を完成させていたのです。きっと、子どもたちは、単位というものを体で理解していっているのであろうなと感じたと同時に、これは園でもできるのではと思いました。
その名も、「保育園の1—100のものさがし」です。子どもの「これくらい・あれくらい」を実際に数字で知り、数という単位を、遊びを通して学ぶための環境です。具体的には、数個のメジャーと1—100の数字が書かれた大きな表があればすぐに行えます。子どもたちは、メジャーを持ちながら、様々な物の長さを測っていくでしょう。そして「5㎝あった!」などと見つけます。大きさ審査員である職員が特別なかっこいいメジャーで測り、厳正な審査を行います。「確かに、これは5㎝ですね。おめでとう!」と言って握手なんかして、デジカメでその物の写真を撮り、現像して表の「5㎝」の部分にそれを貼るのです。
慣れてきたら、審査員を子どもがしたり、単位を「色」や「形」、「重さ」などと派生していっても面白いですね。今年のテーマが「伝統」ということもあり、貫という重さや尺という長さの『尺貫法』についての体験ができる環境にしてもいいですね。また、これは、興味がある3・4・5歳児全員が対象であり、「表をみんなで完成させよう!」という共通のゴールを目指した、一種の協力ゲームでもあると思います。
単位展から、このような保育の形も想像できました。
(報告者 小松崎高司)
「1−100のものさし」の説明を読んでいて、わくわくしてしまいました。小松崎さんの言われるようにこれを子どもたちと一緒にすることができそうですし、なによりきっと楽しい活動になりそうです!これは、ぜひともやってみたいなと思いました!67、72㎝が募集中といのもなかなかセンスのきいた表し方ですね。見ている側の参加意識が刺激されそうです。数字、算数、計算を先取りするのではなく、身近にあたり前にあるものなんだよということに気がつくと数字に対するマイナスなイメージも避けられるのかもしれませんね。感覚で感じている長さと実際の数値としての長さが一致するのもまたおもしろいですし、何かを掴むそんな感覚にもなるかもしれませんね。また、すばらしい刺激をいただきました。
素晴らしい報告をありがとうございます!67cmと72cmは募集中などたまりませんね(笑)思わず笑いが込み上げてきます。取り組みの一つ一つが斬新でありながら、なんとなく新宿せいが保育園にありそうな雰囲気がするから不思議です。〝いいもの〟という部分で、すごく共通したものがあるというのは、何か特徴のようなものなのかもしれませんね。
思考を巡らせて着想を得る。いい趣味をお持ちですね。一生楽しめるものに出会えましたね!