私にとって刺激的だったのが、この展示です。
これは、チャック付きポリ袋にぴったり入るように木材を削って入れたものです。そうです…ただそれだけです。しかし、そこから、この単位展の主旨でもある「創造性」の本質が見えたような気がしたのです。何もない状態・空間・知識・思考から、新しい物を想像して創造することは可能なのでしょうか。きっと、経験や体験によって、これまで目に入った物・感じたものという意味での“既存物”同士を掛け合わせることが、「創造」であるのかなと思ったのです。
この展示の説明として、こう書かれています。【私たちは、機能や効率を重視した、規格化されたモノに囲まれて暮らしています。そうした見慣れたモノたちも、ちょっと手を加えると、新しい表情や質感を見せてくれます。】ホームページには【単位というフィルターを通して、私たちが普段何気なく過ごしている日常の見方を変え、新たな気づきと創造性をもたらす展覧会です】と書かれています。〈見方を変える〉〈新たな気づき〉〈創造性〉、これらは世の中を面白くさせるキーワードのようです。
また、手作りおもちゃの良さとして、子どもの今の発達に応じることができるということがあると思いますが、それだけではなく、子どもたちにとって、普段目にする既存の規格化されたモノではないということから、子どもたちにも「新たな気づきと創造性」を与える環境でもあるのかもしれません。
言葉の重み
これは、「¨(濁点)」を1.00gと仮定して、それぞれの面積比から重さを計測した、一文字の「重さ」を視覚的に理解できる展示です。
重い方が重要であるとか、軽い方が重要でないというではなく、言葉を単位化することで、個人の価値観を楽しみながら正当化したり、言葉というナイーブなジャンルに、ユニークな“重さ”という命を吹き込んだ展示であるようにも感じました。「言葉」という存在が想像以上の力を持っている昨今、このように「楽しむ」ための言葉で溢れて欲しいなぁとも思いました。
他にも魅力的な展示があったので、写真でお伝えします。
最後に…
これまで、1mm → 2cm → 3m → 4km → 5Mmというように、単位を一つずつ増やしながら、5回に渡って【単位展】についての報告をさせて頂きました。今回の題名「Mm(メガメートル)」という単位があることを初めて知ったように、知っているようでいて未だ知らない事だらけの「単位」の奥深さがそこにはありました。世の中は、きっとそういうことだらけなのだろうなぁと感じます。
記念に買い物をしたいと思い、様々な単位とその大きさや長さが書かれた[単位手ぬぐい]と、10㎝・1m・10mを細い線で同じ長さで表現した[ポストカード]、そして【3240】とプリントされた[Tシャツ]を購入しました。
この、3240という単位は何かの単位なのですが想像つくでしょうか?私は、つきませんでした。…答えは、このTシャツの価格という単位です(笑)。洒落ていますね。そして、単位手ぬぐいは、3・4・5歳児クラスに展示されています。そこには「寸」の単位も書かれており、すぐに頭に浮かんだのが「一寸法師」です。プリントした一寸法師をそこに張り付けて、一緒に展示したら面白いだろうなぁと一人でにやついています。
このような展覧会に行った記念にと買った物は、次の日に保育園に持っていくという楽しみが生まれます。子どもたちや先生たちがどんな反応をするかも楽しみです。もちろん、次の日はこのTシャツで出勤しました。私の願い通り、数人の先生たちから「その“3240”って何?」と聞かれて、「さて、何でしょう?」と、自慢げに言ってしまったのは言うまでもありません…。(笑)
(報告者 小松崎高司)
ポリ袋と木材の展示はおもしろいですね。みなれた物に手を加えること、見方をかえることで様々なアイデアがうまれることは私も少なからず経験しています。「こんな使い方があったのか」「これをあれと合わせるといいんじゃないだろうか」というまさに既存物の組み合わせで生まれる創造的なものがたくさんあるように思いました。そのようなことを理解して、保育室に様々な既存物を飾りとして置いておくことで子どもたちの創造性が刺激されることもあるのかもしれませんね。テーマがあることで、そのテーマに関連した装飾をすることができます。装飾になる既存物が新たな創造性を生むこともあるのではないかと思うとテーマの奥深さを感じます。その他の写真もとてもおもしろそうです!じっくりその展示を見てみたくなりました。また、最後にもありましたが、興味を持ったことを保育に活かせるという保育のあり方で実践できていることに改めてうれしさを感じますね。保育に活かせるからこそ、これはどうだろ?あれはどうだろう?と自分の興味、関心がどんどん刺激されるようなそんな感覚を感じます。
単位展、改めて読んで本当に面白い企画に参加されたなぁと思いました。言葉の重みなど、素晴らしいですね。伝統という目で見ても、算額奉納や年がら年寿など、掲示物としても最高なように思います。いいものをピックアップして、どんどん作っていきたいですね。
今まで書いてきたもの、報告として書いてきたものが頭の中で辞書のように蓄積されていることと思います。小松崎先生は特に〝遊びを考える〟ことに特化しているように思います。〝人間遊び辞典小松崎高司〟という異名をおつけさせていただき(笑)「こういうのが作りたいんだけど…」と色々相談させて下さい!