和名の色

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 先日は、園庭の木々から「秋」への移ろいを感じることが出来ました。秋の語源・由来を調べてみると、空の色が「清明(あきらか)」な時期からとする説、収穫が「飽き満ちる(あきみちる)」季節からとする説、紅葉などに使われる「紅(あか)」が転じたとする説と、様々な説がありました。その中でも「紅(あか)」といった、季節を『色』でも表現するように、日本における“色”への関心に興味を持ちます。

 日本にある(和名の)色の名前を見ていると、植物や生物の名前がそのまま色名になっている印象を持ちます。道ばたに咲いている植物や食べ物を探し回っている生物、果実が実っている姿からも、季節の移ろいを感じ取っていた様子が感じられます。また、色の種類の多さにも驚きます。普段、私たちが使用しているペンやクレヨン、色鉛筆の種類がほんの一部であることを知りました。色の分類の仕方にもよると思いますが、和名色を調べると、465種類という数字が出てきました。これは、他国では見られない数字だそうです。“虹の色は何色か?”といった問いに対して、4色、5色と他国で言われている中、日本では7色と言われているところからも、色の違いに気づいて細かく分類し、その色が世の中に存在している自然があること、それらの自然を大切にしている文化があることを感じさせます。

 日本がなぜそこまで色に関心を持ったかというと、やはり四季の存在が関係しているそうです。四季があることで、非常に多種類の自然が生息できます。それら恵まれた気候風土の豊かな色感の中で花開いたものが「きもの文化」だそうです。着物を見る機会は減りましたが、やわらかくて淡い色鮮やかさがひっそりと主張している雰囲気を感じます。多種類の色を合わせたり、重ねたりすることに楽しみを見出し、それを「着る」文化まで確立した古代の人々に誇らしさをも感じます。

 印象として、和名色には「淡さ」を感じます。それが自然の中にあった色ということだと思うのですが、調べていると、こうも書かれていました。『古来日本には、
赤、黒、白、青という4種類の色がありました。
この4つには、今でもその名残があり、
他の色味を表す言葉のように、
「黄色い」「茶色い」などということはなく、
「赤い」「黒い」といったように、
「色」の文字を含まずに色味を表します。

実は、上の例でも分かる通り、
古来の4色というのは現代の「色」ではありません。
「赤」=「明(あか)」
「黒」=「暗(くろ)」
「白」=「著(しろ)」
「青」=「淡(あお)」
といった具合に、
明暗濃淡を表すだけの言葉だったのです。』色の始まりは、明暗濃淡にあったと考えると、乳幼児の環境にも多くの“明暗濃淡さ”があることで、色の認識がしやすいといったことがあるのでしょうか。

 最近、「橙色」より「オレンジ色」という方が使用頻度が高いと感じます。きっと、橙という木の存在、その果実が世の中に出回らなくなってきたことも関係していると思いますが、「和名色が実はこんな多くあるんだよ」という掲示だけでなく、和名色にある植物や生物などと実際に触れ合い、日本ならではの自然物や遊びを通して色を楽しむといった、そんな環境を用意できたらと感じました。

和名の色 今の季節はどんな色?
和名の色
今の季節はどんな色?

(報告者 小松崎高司)

和名の色」への2件のフィードバック

  1. 和名色は本当にいろいろなものがありますね。それを知った時にいつかは何かで使いたいなと思っていましたが、忘れてしまっていました。今回の小松崎さんの取り組みを見て、これはいいな!と思いましたので、早速、真似させてもらおうと思います!
    これだけの色があるというのは本当に見事ですね。日本人が自然とうまく折り合いをつけながら生きてきた結果でもあるのかもしれません。それは長い歴史の積み重ねでもあるのかもしれません。そう思うと、とても大切にしなければいけないものに見えてきました。色から自然に興味が繋げていけるような取り組みも考えていきたいなと思いました。
    「明暗濃淡」ということを意識して環境を見ることがあまりありませんでした。いいきっかけをいただきました。
    ちなみに私はどうも色の識別が苦手です。色の違いが分からず、立ち止まることがよくあります。虹も2色、見えて3色ほどしか見えません。自分でもおもしろいなと思います。

  2. 素晴らしい報告ですね。更新ごとに更新されていくようです。探究心と好奇心が混ざり合ったとても鮮やかな色味のある報告であると思います。
    日本人にはyesともnoともどちらとも言えない感情があると思います。感情だけでなく、物事にも白黒つけられないものがあると思います。それに名前をつけることが出来るのも日本人であると思います。淡さという色味、はっきりしないものに意味合いを見出したり、美しさを感じたりすることのできるセンスを、文化として大切にしていきたいですね。
    日本の良さを見直そうという風潮があります。今後、今以上にそこにベクトルを合わせる流れが強くなると思います。日本の良さをこうした形で発信していくことも、これからの日本を構築していく上でとても大切なことのように感じました。

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