目に前にあるものをクローズアップしてみたり、逆にロングショットで見てみると、普段とは違った視点や発見をすることがあります。その道具として「顕微鏡」やカメラの「ズーム」機能などがあるように、その対象となる物のサイズを大きくしたり小さくする方法には「科学概念」が含まれていると思います。
子どもたちは、よく「紙ヒコーキ作って〜」と言ってきます。その度に、子どもと一緒に折ったり、紙飛行が折れる製作マイスターに頼んでみるよう提案をしています。屋外にでると、空を飛ぶヘリコプターや飛行機に憧れを抱くように、空中を飛ぶ紙飛行機にも興味を持つのでしょうか。
そこで、その紙飛行機を大きくしたらどうなるだろうかといった疑問が浮かんできました。早速、クラスの職員に相談すると「面白そう!今日お散歩行ってやってみない?」ということになり、朝のお集りを簡潔にし、大きな模造紙を持って子どもたちと近所の公園に行きました。
- 小さい紙の方がA4紙
紙を折りやすい場所がコンクリートの上しかないということもあり、ごつごつしていて折りにくかったですが、ワクワクがその感情を消し去ります。子どもたちも、紙の端を押さえてくれたり、折り目を手で強く押して形を整えてくれます。
そして、巨大紙飛行機の完成です。
- 巨大紙飛行機
子どもたちは、この紙飛行機はいったいどのくらい飛ぶんだろう、どうやって飛ぶんだろうなどと大きな期待を込めて飛ばしていたと思います。しかし、飛ばして1秒後には地面に落ちてしまいました。何度やっても結果は同じですが、子どもたちはそれでも楽しそうに遊んでいました。紙の素材が悪かったかな…、風が強かったかな…などと自分の中で反省していると、一人の子どもが「なんで飛ばないんだろう?」とぼそっと言いました。その言葉を聞いたとき、私は今日この活動をしてよかったと感じたのです。
- 自分と同じくらいの紙飛行機を飛ばそうとするす3歳児
まっすぐ飛ばないこと、自分が思ってもいない方向へ飛ぶこと、風があるとそれに負けてしまうこと、飛ばしてもすぐに落ちてしまうことなど、そういったいくつもある小さな疑問が、2・3・4投目といったように次なる紙飛行機投てきへといざなっていく、そういった活動が「科学概念」という物事の可能性を知っていこうとする力を育んでいると思えたからです。
年末に、塾長のブログで“科学的アプローチ”の話題が取り上げられていました。その学びを、実際に子どもたちとできたのは、相談した職員の「面白そう!今日お散歩行ってやってみない?」という言葉のおかげでした。子どもたちの体験を科学に向けるのは、そういった職員同士の協力が必要な時もあるのだと思います。
(報告者 小松崎高司)
いつもの紙飛行機を大きくしたらどうなるのか、私もぱっと頭で考えても「どうなるんだろう」と考え込んでしまいます。そんな疑問を実際にやってみるというのはとてもおもしろいですね。「うまく飛ばないんじゃない」と想像して結論付けるのは簡単ですが、大切なのは、やってみて分かることですよね。というより、楽しいのは断然、そっちの方ですね。そして、その活動から科学概念のことを考える小松崎さんの姿勢もまた見習いたいなと思いましたし、おもしろそうだからやってみようと言ってのってくれた職員さんの姿も素敵なだなと思いました。そんな雰囲気を生み出せる一員に自分もなりたいなと思いました。
昨年末に2歳児クラスの子ども達に一生懸命に紙飛行機を折る小松崎先生の姿がありました。その時にこの度の報告となる素材のような提案をされていたことを思い出し、実践に至るまでのスピード感、実行力は流石だなと思ってしまいます。文末に相談した職員とのやりとりも載せられていますが、その〝チーム力〟も読んでいる人に伝わるものがあると思います。
次に飛ばす時に子ども達は一体どんなことを考え出すのでしょうね。楽しみですね。