新宿せいが保育園を知る前は、給食の楽しみって、食べることだけだと思っていました。
2歳児クラスでは、先日からトレイによる配膳を始めています。
最初は簡単なおかずなどのお皿を持って自分が選んで決めた席に座ることからスタートした配膳でしたが、
いよいよ今年度も子ども達待望のトレイを導入。
お皿を持っていくことも緊張していた子ども達が、、、と成長を感じています。
慎重に運んでいく子ども達です。初日は、緊張に緊張が重なった様子で、逆に(?笑)誰もこぼしませんでした。
お茶をトレイに置かず行ってしまった子に声をかえても、振り返れないという(笑)子ども達の真剣さがわかる配膳の時間となりました。
トレイの導入に前後して、先日から時計も導入しています。おかわりが始まる時間、また、おかわりの終わりの時間を子ども達に提示しています。
早くに食べ終わってしまう子は、その時間がくるまでおしゃべりをしたり、なんとなく時間を潰しています。配膳の際に〝いっぱい・ちょっと〟と、保育者に口頭で伝え、自分で量を決めている子ども達ですが、食べ切れる喜びが発展した形で、自分から全部を〝ちょっと〟にする子もいます。最初のうちはいいのですが、段々自分が「もっと食べられる」ということがわかっていくと、このおかわりまでの時間を待つことよりも、給食を最初から〝いっぱい〟にすればいいのだ、ということがわかっていきます。そうして、本当の自分の量がわかっていく、という、奥の深い設定がされていることに気付きます。
時計も可愛く、例えば「(動物)から(動物)までね」と伝えることで、時計への興味、ひいては数字への興味へと発展していくのです。
先日、他園の見学・研修に行ってきました。とても充実した勉強をさせていただきました。
その中で、「(2歳児クラス)月齢の高い子が給食中に立ったりして落ち着かない。新宿せいがではどうされていますか?」という質問をいただきました。
給食の場面だけで一概に解決できることではないようにも思われますが、話をしていく中で、「なるほど、給食中は子ども達が受け身になっているのかもしれません」ということを、研修先の先生が仰っていました。
給食は盛り付けられた量。それが座っていると目の前に出されます。苦手な食べ物も、もしかしたら入っているかもしれません。それも食べなくてはならない。楽しく食べようと思っても、〝自分が選んでいる〟〝自分から働きかけている〟という感触なしでは、やはり退屈してしまうのかもしれません。〝月齢の高い子が〟という風にも仰っていたので、やはりできることがどんどん増えている時期の子こそ、意欲的に行動したいと思う気持ち、それがどうしても、〝落ち着かない〟という姿となって表れてしまうのかもしれません。
〝楽しいことが待っているという期待感〟が子ども達の〝待つ〟力を育てます。〝待つ〟力は、〝我慢〟をする力に繋がります。それは〝耐性〟とも呼ばれ、また、〝粘り強さ〟とも言い換えることができ、これから先、生きて行く上でとても必要な力へと発展していきます。
食べる以外の楽しみがある。給食の楽しみの中から、子ども達は知らず知らずの内に、とても大切な力を育んでいることを感じています。
(報告者 加藤恭平)
待つことは結構楽しかったりしますね。しかし、それはその先に楽しいことがあるからで、何もないのにただ待つということは自分自身に当てはめて考えてもこんなに苦痛なことはないなと思います。本当に意味でも待つということを大切にしていきたいですね。給食の時間からうまれる大切なことはもっと意識すると見つかるかもしれないなと報告を読んで思いました。まだまだ給食のもつ可能性に気がついていない部分があるように思いました。時間を設定するということもそうですが、保育の中にある可能性をもっと見つけていきたいなと思いました。
「食べる以外の楽しみ」。これこそ、食育に必要な要素でもあるように感じています。いかに、食べる以外の部分に「楽しさ」を盛り込めるか、また、いかにそれを感じてもらうかによって、昼食の在り方が変わってきますね。食を通して保育を行うことは、食べること以外にも、食べることに関連する全てのことも含まれているように、食と日常との接点・連続性が、やはり大切であるのだなぁと感じました。