先日、「緊急時のアレルギー対応について~エピペンの実技指導、アナフィラキシーの対応など~」の研修に参加させていただく機会がありました。
その研修では、アレルギーの原理からアナフィラキシーが出た時の細かな対応まで学べる良き機会となりました。
主に食物アレルギーに関する内容で、初めに食物アレルギーは年々増加傾向にあるということから始まりました。
では、その原因は何なのか?
それは残念ながらまだ解明されていないようですが、そのため、いろいろな推測、仮説があるようです。
そもそも食物アレルギーは、特定の食べ物が体に入った際に体の免疫機能がそれを異物と認識して、異物を体の外に排出しようとする働きなので、本来は体にとって必要不可欠な機能でもあり、免疫が弱いと勘違いされがちであるがむしろ免疫が強すぎることが原因であるそうです。
現代の児童の間にアレルギーを持つ割合が増えている原因は、衛生仮説に基づいたものが推測されていて、より文明的な世の中になり、清潔な環境の中で生まれ育った子どもはより多くの対外物質を異物として認識してしまい、それがアレルギー増加となっているというものです。
つまり、体が対外物質に慣れ、それを異物と認識しなくなることでアレルギー反応が起こらなくなるのです。
衛星仮説の背景には、現代の子どもたちを取り巻く環境は数十年前とは大きく変わり、少子化の影響から子どもが(兄弟が)少なくなり、一昔前よりも過保護に育てられることが多くなったことと、アレルギー物質が無い食品の増加や、ある程度の偏った食生活(肉類ばかり食べるなど)があるそうです。
ご存知の方も多いと思いますが、そこで求められるのが、保育園を含めた特別な機関でアレルギー物質を少量ずつ体に含ませ、慣れさせるという治療をする必要があるということです。
食物アレルギーは時としてアナフィラキシーショックを起こし、命を落とす可能性も秘めている危険なものです。
その危険性は多くの人々に認識されているが、原因は清潔すぎる環境や偏った食生活であることはあまり知られていないのではないでしょうか。
そこにも原因の1つがあるのではないかと思いました。
子どもの発達にも「遺伝説」「環境説」が唱えられていて、現代では環境説が有力視されていますが、食物アレルギーに関しても同様に、環境(食生活)が重要なのだと気付くことができました。
保育園としての食物アレルギーに関する役割は「アレルギー物質を少量ずつ体に含ませ、慣れさせるという治療」もありますが、そういった事後の対応の他に子育て支援はもちろんとして、食物アレルギーの予防策等の事前の対応として、保護者の方々に正しい食育のあり方を発信していくことが大切であると思うことができた研修でした。(投稿者 若林)
菌=排除しなければいけないというイメージが強いのですかね。私たちの周りには菌であふれていますね。「それくらい大丈夫」がそんな菌との上手な付き合い方を示す言葉なのかもしれません。清潔になってきたことで汚れるの嫌がる感覚というのは私たち大人にもあるように思います。それが必要以上に子どもに伝わらないように気をつけないといけない面もあるのかもしれません。「菌は排除できる」という人の全能感みたいなものの少し怖い気がしますね。全ては自分の思いのままになる感覚、というと大げさなのかもしれませんが、排除より、共存といいますか、あって当たり前な感覚は忘れてはいけないのかなと思います。
アレルギーにならまいと菌について対処すればする程にアレルギーになるリスクが高まるというのはなんとも皮肉な話です。子どもの安全を過度に考えるあまり、子どもの怪我に対処する力を奪ってしまうようなことにもとてもよく似ていると思います。子どもを育てるということの本質が見えなくなってきているのかもしれません。
子どものような大人が少なくない世の中になりつつあります。藤森先生が言うように、「保護者も一緒に育てていく」という感覚で、保育を行っていくことがより求められていくと思います。保健のことをもっと勉強していきたいと思いました。