以前紹介させていただいた話し合いに進展が見られました。
前回の話し合いでは、「ピクニック派」と「おもちゃもってきほうだい派」がお互いの魅力的な部分をプレゼンし、相対するグループの子の気持ちを動かすというディベート形式に似た話し合いを行いましたが、今回は全員で円になり、一円対話を用いたディスカッションを行いました。
前回の話し合いでほぼ意見がまとまりつつあったためか、今回の話し合いにはそれほど時間を有しませんでした。
比率では圧倒的に「ピクニック派」が多かったのですが、学童生活も残り少なく、どうしても学童におもちゃを持ってきて友達と遊びたいと譲らない子が数人いました。
今回の話し合いは、前回の話し合いを紹介させていただいた際にも書かせていただきましたが、片方のグループが納得をして、全員が1つの案にまとまるまで行おうと考えたため、正直今回の話し合いでもまとまらないかなと思っていたのですが、急に全員の意見がまとまる意外な案が飛び出しました。
それは、「両方の準備をしてきて、ピクニックに出かける前後で持ってきたおもちゃで遊べばいい」という最も中立でお互いの意志を汲んだ案でした。
前回までは、当日の天候次第でその日の準備を変えるところまで話が進んだのですが、その日だけの話し合いで結果を左右していたらこの2グループの意志を汲んだ柔軟な案には至らなかったのではないかと思っています。
冷静に考えれば出るような案でも1回限りの話し合いでは、話し合いがヒートアップすれば出る案も出ません。
これは子どもに限らず大人も同様ですね。
数人の友達と、もしくは1人でも冷静に考え直す時間が必要なのだと気付かせてくれた今回の話し合いでした。
塾長が書かれている臥竜塾ブログの1月27日「話し合いでの役割」に話し合いにおける注意点が書かれています。
「大人が気を付けなければいけないのは、子どもは質問の答えを言うまでに多少の時間がかかることがあるということを承知するということ」とありました。
今回正にその通りの経験ができた気がします。
前回の話し合いと今回の話し合いの合間は1週間以上ありました。
その結果が幸いし、この中立の案が出たのだと思えます。
前回、今回の話し合いは子どもたちにとっても私たち保育者にとっても良い学びとなりました。
今後残り少ない学童での生活であと何回できるかわかりませんが、今回のような有意義な話し合いの機会を時間と日にちにゆとりを持って設けていけたらと思っています。
(投稿者 若林)
「両方の準備をしてきて、ピクニックに出かける前後で持ってきたおもちゃで遊べばいい」という結論を読んで、「なるほど!」と声をあげたくなりました。大人はなんだか二元論的な考え方になってしまいがちかもしれませんね。「どちらかにしようよ」なんて発想はいらないですよね。子どもたちからそんな言葉が出ればまた違うかもしれませんが、どちらの意見も尊重するこの落としどころはさすがだなと思いました。と、同時にやはりそんな子どもたちの話し合いの結果を尊重される先生方の存在もまた大きいように思います。先生たちは自分たちのことを尊重してくれると子どもたちが思っているからこそ、柔軟な話し合いが行えるのかなとも想像しました。自分たちで何かを決めるという経験はいいですね。
素晴らしい結末を迎えたのですね!なんてシンプルな答え!にも関わらず僕も「なるほど!」と声をあげたくなりました(笑)
何も考えていない状態から皆で頭を付き合わせて始まるような会議が日本では多いと聞きます。多くの伸びている企業は、ブレインストーミングという、その会議までに案を見つけてきてそこで出し合うという形態をとるそうです。閃きには内示と外示とあるということですが、シャワーを浴びている時や、ふと立ち寄った本屋さんの雑誌の表紙を見て、など、会議室の中にはない閃きが普段の生活の中にはたくさんあると思います。学童の子ども達が感じたその感覚を、大切にしてほしいですね。楽しい報告を本当にありがとうございます。