食べる機能 2

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前回の「食べる機能」の記事から、気づけば1ヶ月も立ってしまいました。前回は子どもの食べる機能には環境との相互作用が大切であり、子どもを取り囲む周囲からの適切な刺激が子どもの機能にも大きく影響するという「個体(子ども本人)と環境の相互作用」と子どもの発達には活発に起こる時期があります。そのときに適切な働きかけをする必要があるという「発達には適切な時期がある」があるということを紹介しました。これは日本歯科大学付属病院准教授 口腔介護・リハビリテーションセンターの田村文誉先生の記事をもとに改めて子どもたちの食べる機能の発達をみていったのですが、では残りの4つの部分はどういったことが大切だと言われているのでしょうか。

 

3つめは「一定の発現順序がある」です。

それは「乳幼児が摂食・嚥下機能を獲得していくには、身体の発達と同じように一定の発達順序があります。多少前後することはあるにしてもある程度の順番があることを、多くの人が理解していますが、食べる機能にも発達の順序があることは、意外と意識されていません。そのため、離乳食の進め方を急ぎすぎたり、子どもの機能に合わない硬さの食べ物が提供されたりしてしまうことがある。」とのことでした。

 

4つめは予行性がある。

「ある動きが上手になると、次の段階の動きが現れやすくなるということです。たとえば、舌の動きがよくなり、舌で押しつぶすことが上手になってくると、ある表紙に咀嚼の動きが出てくることが起こります。」

 

5つめは直線的でない。

「発達はまっすぐに順調に伸びていくわけではありません。できるようになったなと思ったら、急に下手になったり、また、急に上手になったりと進んだり後戻りしたりしながら発達していく」

 

6つめは個人差が大きい

「機能の発達の進み方には個人差があります。同じ年齢や環境であっても、同じようなものが同じように食べられるとは限らないのです。隣の子どもが肉や生野菜を食べているからといって、いやがるものを無理に食べさせる必要はありません」

 

そして、最後にこの章ではこのように締めくくっています。「以上のように発達には原則があります、スタート地点を急ぐ必要もないし、急いでもそれが有利につながることもありません。子ども自身の持てる力に合わせて、進めていけばよいということです。」

 

上記の田村先生の6つの発達の条件は決して、「食べる機能」に置いてだけではなく、子どもたちの発達において必要な事柄であり、場面においても必要なことですね。子どもにあわせた環境を用意することで子どもたちの持てる力はより発揮されていくことだろうと思います。

 

また、食育講師の井上ききさんのブログにはこういったことも書かれていました。

「消化に気持ちは大きく反映され、大きく関係します。楽しい食事をすると消化も順調に行われやすく、消化吸収もいい。十分に機能が働いていると今の身体に必要な栄養素を効率よく吸収できます」「一方、楽しくない食事は緊張状態や悲しい状態では、内臓の機能が萎縮して十分働いていません。消化不良になります。便秘や下痢になるし、せっかく食べても、栄養になりにくく、栄養失調状態になることもある」

 

それほど、子どもたちの食べる環境の必要性や子どもたちの発達は「食べること」「遊ぶこと」「生活すること」すべてにおいて見る視点は共通点があるということを知ることはとても大切だということを改めて感じました。

 

藤森先生の臥竜塾ブログ「食事」という内容の最後にこう書かれていました。

「指針にも「喜んで食べることが心と身体の栄養となる」と書かれているように、逆に言われて食べることは、心と身体を壊すことがあります。そのため、「食事の環境を様々に工夫し、明るく楽しい食事の場にするとともに」と書かれてあるように、食事の場の持ち方が栄養にずいぶん影響するものです。栄養価、栄養素、摂取量ばかり言い過ぎている気がします。」

 

大人の意識やよかれと思っていることが子どもたちにとって本当に良いことなのかと見直すことが大切ですね。

(投稿者 邨橋智樹)

食べる機能 2」への2件のフィードバック

  1. 一定の発言順序があるということはしっかり理解しておきたいことですね。早いことがいい、できていることがいいという価値観では、子どもの発達に沿った関わりではなく、早くできるようになるように無理をして子どもそこに「もっていく」ような関わりになってしまうような気がします。そのような価値観を持っていると大人の子どもへの関わり方もきっと変わりますね。そんな無理やりな姿勢では子どものも大人もストレスが溜まってしまうはずです。その子の発達に沿っておらず、ストレスも溜まるような関わり方はきちんと見直さなければいけませんね。楽しくない食事は内臓の機能が萎縮し、十分に働かなくなるとありましたが、そのような食事環境を私たちが作ってしまわないように気をつけなければなりませんね。

  2.  友人と居酒屋で日本酒を飲むと「何かお祝いみたいでいいね」と喜んでいました。普段から日本酒を飲まない人にとっては、お正月や何か集まりの時に飲むというような、お祝いの雰囲気が日本酒の中に感じられるのかもしれません。それは、楽しい記憶ですね。
     そしてそのお店はレバーがとても美味しいお店なのですが、一緒に食事をする中にレバーを食べられないという人がいました。ですが、楽しい雰囲気の中、挑戦してみていました。大人ですら、楽しい食事、楽しい雰囲気の中で、初めて挑戦してみようと思えるものです。食事の内容いかんの前に、せひともその食事環境を受ける子どもの身になって、食事の場に何よりも大切な〝楽しさ〟があるかを、考えていく必要があると思いました。

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