2歳児クラスの重要性は塾長の講演でも言われています。また異年齢であるのに、どうして2歳児だけ単独なのか?疑問に思っている方もいらしゃるのではないでしょうか?(以下太字のところが塾長の考え方)
新宿せいが保育園では異年齢児保育が基本ですが、2歳児だけは例外的に単独で保育します。世界的に見てもこのような保育形態をとっているところは珍しいと思いますが、2歳児を単独で保育することには理由があります。
0~1~2歳の時期の発達の特徴は個人差が大きいことです。早い時期から歩けるようになる子どももいれば、なかなか歩き出さない子どももいます。でも遅かれ早かれいずれは誰もが歩けるようになります。一方、3~4~5歳の時期の発達の特徴は一人一人の生まれつき備わっているものや環境に大きく影響されることです。例えば手先が器用な子はその後も器用ですが、不器用な子が器用になることはありません。この場合の個人差は一人一人の個性であり、その先全員が同じ段階に到達することはないのです。
2歳児の時期は、誰もが遂げなければならない発達=生活の自立が完成し、個性の発達へと向かい始める準備期間なのです。また、2歳後半になっても生活の自立ができていないならば、なんらかの障害があることも考えられます。「障害がある子」ときめつけるためではなく、この先のケアの見通しを立てるためにも2歳児単独の保育が役立つのです。
また、この時期、みんなで一緒にいること、やることの楽しさをじっくり味わい、一方では、待つ、順番を守る、我慢するなど、耐性を身につける経験を重ねることも大切です。人と関わる力が育つ基礎になるからです。
ちょうど私の息子が二歳児クラスです。確かに自分で出来る事が増えてきましたし、何よりも友だちとの関わりが多くなっているように思います。保育園から帰ってきて、「今日は誰と遊んだの?」と聞くとちゃんと「○○くんとあそんだの」「きょうは○○くんがおやすみだった」など友だちの事を教えてくれるようになりました。
一番の驚きは妻の出産をきっかけに二カ月ほど保育園をお休みしていたので、二カ月ぶりの保育園は絶対にぐずって行かないだろう・・・と覚悟を決めてお部屋に入ると、最初こそは照れてましたが、仲の良い友達の顔や先生の顔を見ると自然と部屋に行きました。それだけ息子にとって保育園という場は楽しく、過ごせる場だと親として安心しました。
(報告者 山下祐)
〝2歳児だけは例外的に単独で保育します。世界的に見てもこのような保育形態をとっているところは珍しいと思いますが、2歳児を単独で保育することには理由があります。〟その理由を読み、改めて納得すると同時に、日々の保育の中で感じるのは、やはりそこにも柔軟性があり、例えば〝移行〟の時期のようにわいらんすい(3・4・5歳児クラス)へと遊びに来はじめるにこにこ組(2歳児クラス)の子も出てくるようになります。その子達を見ていると、面白いのは、こうして育まれたにこにこ組(2歳児クラス)の部屋が安心基地になるようで、少し遊んだ後は、やはり自分たちのクラスへと戻っていくのです。〝2歳児を単独で〟という言葉に強制するよりも、むしろ2歳児クラスの子ども達にとって安心して異年齢の世界へ飛び込んでいくことを後押ししてあげるような、その背中を押してあげるような環境的な配慮であることに気付かされます。そうして、子ども達がスムーズにわいらんすい(3・4・5歳児クラス)へと移行されていくことが毎年の通例で、本当に凄いことだと思います。