2014年度ドイツ報告

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今週の月~水にかけてGT環境セミナーが行われました。

その2日目の火曜日に、昨年の6月にドイツ保育環境視察ツアーに同行させていただいた報告の機会をいただき、

今回の報告は、新宿せいがから一緒に同行させていただいた男性のベテラン保育士のA先生と2人での報告となりました。

例年通りだと、毎年臥竜塾生が塾長に同行してドイツ視察に行き、基本的には新宿せいがからは塾生の誰か1人でしたが、今回は塾生の柿崎先生と私とA先生、塾長を含めると新宿せいがから4人も参加させていただきました。

2人での報告ということで、A先生と話し合った結果、報告を分担してやるのではなく、2人ならではの談話形式にしました。

どうしても1人だと「~でした!」と区切っての説明になってしまいますが、2人だと「~だったよね?」とお互いなげかけることで、より伝わりやすいのではないかと考えたからです。

そして、リスナーの方々が「ドイツに行った気になる」というコンセプトの基、動画報告を軸にして行いました。

まず、ドイツに行って真っ先に目に飛び込んできた日本で高級車として位置づけられている「メルセデスベンツ」がタクシー、「BMW」がパトカーという何とも豪勢な景色の写真から入っていきました。

ドイツ人にとっては、国産車なので当たり前の景色ですが、日本の公道を走っていたら目で追ってしまうような高級車が、一気に目に飛び込んできたことがドイツでの最初の驚きでした。

図1(1)

タクシーみんなベンツ

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パトカーはBMW

 

そしてドイツの保育、環境へと話が進みました。

視察させていただいた各園を紹介していくのでは時間が足らないので、ドイツで行われている取り組みや環境で、印象的だったものと日本でも参考にできる内容のものを幾つかピックアップして紹介しました。

軽く紹介内容を報告させていただきます。

  • オープン保育

定義はないが「子どもたちの遊び空間を開放するとともに、子どもたちの心を開放していく」というもので、「自主性を育てること」に重点を置いているそうです。そしてそれが、「自立」と「自律」に繋がる。

  • プロジェクト保育
  • 年案として、いつどのようなプロジェクトを組んでいくか事前に計画していくというやり方と、子どもの活動を取り立てて、それを膨らませるために数日から数週間、数か月の間、プロジェクトとして取り組ませるやり方がある→ドイツは後者で、前者はオランダで多く取り組まれている。
  • 図6(1)

    プロジェクトを担当する職員と見てわかりやすい内容、小さくて見えませんが参加する子どもの名前も記載され掲示されている

 

  • 陶冶プログラム「バイエルン」

2009年にOECDが行ったPISAの学力調査で、ドイツは、成績が悪かったために教育の見直しが行われ、幼児教育での「陶冶」の重視ということで、人格形成を中心に就学前教育を行われた→保育の質のスタンダード化

  • 異文化理解

外国人、移民家庭が90%以上の園があり、保護者とのコミュニケーションが大変で、ドイツ語の先生が週に1回、市から派遣され、希望者を対象に指導。外国人、移民家庭が多いが、ドイツ語をベースにすることでコミュニケーションをより円滑に!また活動として、スペイン人の子の保護者を招き、スペイン料理を子どもたちや職員に振る舞ってもらい、食から「スペインを知ろう」という取り組みもあった。

  • 「小さな科学者」

「陶冶」の観点から幼児教育のあり方が示された「バイエルン(ドイツ陶冶プログラム)」を中心の置き、見直された保育プロジェクトに、自然観察や実験を取り入れた「小さな研究者たち」という取り組みで有名な園があり、陶冶プログラム“バイエルン”から「遊び、遊ぶ、遊び」をテーマに、子どもたちの自発的、クリエイティブを意図した「オープン保育」を実施している。保護者にもオープンということで、透明度を図り、36歳児の25名をひとグループとし、そのグループに12名の代表保護者を置き、常に一緒に企画したりしている。

  • ポートフォリオ

子どもの成長記録。子どもの絵やぬりえ等の製作物やその子のエピソード保育も記載し、ファイリングしてある。ドイツのどの園にも作って置いているが、簡易版ポートフォリオと言っている園もあり、園によって力の入れように差がある。送迎の時に、保護者へその日あったことなどを伝えることはないが、ポートフォリオがその代わりを成す。さらに登降園児にも特に子どものチェックもしないとのこと。また、視察した各園には玄関などに必ず保護者がくつろげる空間があり、その近くにポートフォリオを置くことでお迎え時にくつろぎながらポートフォリオを読み、子どものした活動、様子を確認するそうです。

図5(1)

ポートフォリオ

図4(1)

ポートフォリオ置き場

 

2014年度ドイツ報告2に続く…(報告者 若林邦彦)

2014年度ドイツ報告」への3件のフィードバック

  1. セミナーでのドイツ報告、お疲れさまでした。コンセプトの「ドイツに行った気になる」を軸に、“リスナーとの共有・共感”を目指そうとしていた、といった若林氏の言葉が印象に残っています。「~だったよね?」などという対談形式での報告は、2人だからこそできる方法ですね。リスナーに共有・共感してもらうためには、まず、2人が共有・共感し合わなくてはいけなく、そのモデルを示したということですね。

  2. 談話形式での報告、おもしろそうです。お二人で報告をすることの良さが高まりそうな方法ですね。「子どもたちの遊び空間を開放するとともに、子どもたちの心を開放していく」というオープン保育のこと、プロジェクト保育の取り組み方やポートフォリオの活用の仕方などドイツの保育の形でこのように細かく分かりやすく報告していただけること、とてもありがたいです。自分の中でも準備のつもりでしっかり読ませていただきます!

  3.  談話形式でのドイツ報告は、僕は生で見させていただきました。本当に面白く、笑いながら最後まで時間を忘れて見てしまいました。
     やはりいいものがドイツの保育にも展開されていますね。刺激溢れるドイツの保育室といった感じがします。こういう報告を受けて、それをどのように現場に消化するかが僕らの本当に大きな仕事の一つだと思います。ドイツに行ってみたい気持ちも、やはり高まります。

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