先日の給食の時のことです。
「ごちそうさまでしたー。」
食べ終わって、食器を片付ける輪の中に混ざってこっそりと苦手なものを残しておしまいにしようとする子が、、そんなシーンが目に入ってしまいました(笑)
〝自分で決めた量だから責任を持って食べる〟
正しい答えとしてはこうだと思います。
配膳の際に子ども達は自分で量を決めます。(僭越ですが配膳についてはこちらをどうぞ)。
決めた以上は食べる。自分で決めたことを最後までやり通す力、そこで育まれる責任感を思うと、やはり最後まで食べ切ってほしい、そう思う気持ちが半分。
あとの半分は、、
先日の園内研修をきっかけに、こういった事柄があった時に、〝あの先生ならどうするだろうか〟と、聞くことに躊躇いがよりなくなったように感じています。
にこにこ組(2歳児クラス)で掃除をしておられた、我らが誇るベテラン先生の言葉は、とても胸に響きました。
「それはその人の道徳観であったり、自分の中の価値観であったりすると思う。〝食べ物は粗末にするんじゃない〟という答えも正解。〝ここまでよくがんばって食べたね〟という答えも正解。色々な正解があって、それがチームで保育をすることのすごく良い所で、多様性の良い所で、〝私はこう思う。それじゃ君はどうする?〟という問いかけがその子にとって大切で、そこでどの価値観を選ぶかはその子次第じゃないかな。」
この時点で胸も目頭も熱くなる想いだったのですが、先生はこう続けて下さいました。
「その子に委ねてみる。〝価値観ですら選択できることが選択制保育〟では。」
「僕らは、子ども達にとって環境の一つだからね。」
とても感動しました。それと同時に、語彙が少なくて申し訳ないのですが、先生の言葉を聞く数分前と違って心が軽くなるような、そんな気持ちになりました。
12年目に入られました藤森先生が毎日欠かさず更新されています『臥竜塾』ブログ2013年3月24日『クール』の中でこう書かれています。(太字をクリックすると藤森先生のブログ『臥竜塾』にとび、この回のブログの全文を読むことができます。)
自分の価値観というものが、素晴らしい人の傍にいることや素晴らしい人の教えに触れることで、変化をし、その変化は自分の人生をより豊かにし、そうして自分が見守ろうとする子ども達にとって豊かな人的環境として存在し得るのだということを、実感として感じた思いがしました。
そして、ベテランの先生の言葉に触れることができ、藤森先生の教えに辿り着くことができたのも、給食を残してくれたその子のお陰であることを思うと、やはりどんな状況でも感情的になったりして心をなくすことなく、感謝をするべきなのだ、と思ったりします。
目の前で起きるいつものこと、よくあること、そういったことの中にも自分の力の及ばないドラマが待ち受けているようです。いつでも準備をして、毎日を発見と感動でいっぱいにしたいと思ったこの度の出来事でした。
(報告者 加藤恭平)
胸に響く言葉でした。つい自分の価値観を押し付けてしまいがちですが、給食に正解はないですし、不正解もありません。その子に判断をゆだねるのは、チーム保育の良さでもあり、職員が多様性を学ぶ場でもありますね。
佐野先生コメントありがとうございます!
本当に仰る通りだと思います。正解があるとすれば、〝自分の価値観を押し付けないこと〟ということになるのかもしれません。それは給食の時に限ったことではないようにも思えてきますね。
子どもを丸ごと信じる、そう考えた時に、自分の価値観を押し付けるという行為は、子どもを信じることと真逆の行為であることに気付きます。もしかしたら子どもの価値観によって自分の価値観も広がっていくチャンスなのかもしれず、やはり、見守る保育の三省を心に留めておくことが、芯をもって毎日を過ごすことに直結するようにも思えてきます。
“子どもにとって私たちは環境の1つ”と言う言葉とても胸に響きました。毎回このブログを読むと保育に夢中になりすぎて本来のあるべき姿をわすれている事に、ハッとさせられらます。
自信がないが故に、周りに同意を求めたり、ただ真似をしたりしてしまいがちですが、多様性の1つとして考えをもっていいのだと感じました。そのなかで、子ども達がどの価値観を選択するのか、それはまさに社会で生きていく術を学ぶようですね。
FIATさんコメントありがとうございます!
〝そのなかで、子ども達がどの価値観を選択するのか、それはまさに社会で生きていく術を学ぶようですね。〟本当にその通りだと思います。選択と決定で人生は決まっていくようで、それが早ければ早い程、時間的にも、精神的にも、楽な思いをしながら人生を進ませていくことができるのかもしれません。三つ子の魂百までと言いますが、大切な乳児期に考える機会、選択する機会を与えられずに育てられれば一体どんな子になってしまうのでしょう。子ども達にそういった大切な経験をしてもらう為にも、選択と決定を自分で選ぶことのできるような環境を整えていくことが、保育者の大きな仕事の一つであると考えられますね。