リレー講演


先日、塾長と6月に行われる全国私立保育連盟の全国大会の打ち合わせが京都であったため、同行させていただきました。
塾長が分科会の助言者になっていることもあり、まずは各分科会ごとに分かれての打ち合わせが行われました。
私はその間、平成30年度の全国大会の開催地になっている名古屋の先生方と同じテーブルに座らせていただいていたのですが、
そのテーブルで思わぬ出会いをすることになりました。
隣に座っておられた名古屋市のとある保育園の園長先生とお話をしていて、出身地の話になりました。
私が「島根県です」とお答えすると、「あら、私も島根よ!」という返事が!
なんて奇遇なんだろうと思いつつ、「でも、きっと(どうせ)松江か出雲の人なんだろうな~」と思っていました。
というのも県外で出会う島根出身の人のほとんどが松江や出雲という島根県東部に位置するいわば(島根県では)人口の多い市の人たちだったからなのです。私の出身地である江津市という島根県西部に位置する過疎の進む町の出身の方などまず出会うことがありません。そんなことも思いつつ、その園長先生から「島根のどこなの?」という質問が、
半ば諦めの気持ちも込めながら、「あ、江津市です」と返答すると、なんと!思ってもみない言葉が返ってきたのです。
「うそ!私も江津なの!」
…………
ええ!!本当ですか!と私は驚いてしまいました!
なんといっても、人口2万5千人の小さな町です!その町の出身者の方が隣に!しかも、京都で!しかも京都で!

お互いに盛り上がってしまい、いろいろなお話を聞くと、
さらに驚くことが!
なんとその方の姪っ子さんが、私の中高の同級生だったのです!
そして、その姪っ子が名古屋にいて、今でも週に1度は会うそうです。
「なんなら昨日も会ったわよ!」と。もう驚きまくりで、おかしくなってしまいました。

と、前置きはここまでです。
本題に移ります(笑)
その打ち合わせ会ではとてもおもしろい企画が用意されていました。
それは各分科会の助言者の方達によるリレー講演会というものでした。
塾長を含め7名の先生方が一人15分という持ち時間で、「これからの保育、教育」
というお題で講演するというものでした。

はじめは、一人15分じゃ物足りないんじゃないのかな?と思っていた私ですが、
最初に言ってしまいますが、終わってみるととても刺激的で、すごくおもしろいリレー講演を見させていただくことができました。
そのリレー講演で、まず、最初にお話をされたのが東京大学の発達保育実践政策センターの遠藤利彦先生でした。
そうです、あの遠藤先生です。最近、塾長の講演会やブログでも遠藤先生の名前がよく出てくるので、
私としては芸能人にあったような感覚になってしまいました。

遠藤先生は「careとeducationの表裏一体性」というテーマでお話をされました。

内容を簡単にまとめますと、
「care+educationと考えるのではなく、care/educationというcareにeducationが加えられるのではなく、careの質を高めることが教育。careそのものが教育」というお話でした。

また、careの中核の一つがアタッチメントであり、そのアタッチメントは
「子どもが怖くてなったり、不安になった時という必要なときに基地になることであり、
その基地は大人だけではない、年上の子も入るのではないか」と言われていました。
このあたりはまさに塾長が言われている愛着は一人の人とではなく、様々な人と結ばれることがいいという複数愛着の話にもつながりますが、塾長は愛着についてまた少し違った見解をされています。

また、「幼少期の育ちが大人になったときにどう影響するのか」 「遊びが学びそのものである」
という言葉もあり、まさに常日頃から塾長が言われていることだなと感じました。

 

写真 2017-02-06 15 26 38

会場の様子はこんな感じでした。

そして、次に塾長の番になりました。
塾長は人類が遺伝子をどう繋いできたのかという話から始められました。
人類は、1年未満に離乳し、次の子が産めるようになります。それは1歳くらいになると子どもは共同保育されてきたという人類の歴史があるから。そして、人類は共同保育の中で、兄弟がいる、他の子どもがいるという環境で、自制心、我慢する力を育ててきた。それは子ども集団があったからこそ、あるからこそ育まれてきたということをお話されました。
塾長の後にも多くの方が保育、教育というのをお話されましたが、この「子ども集団」について語っておられる方は塾長だけでした。常々塾長も言っておられますが、研究者は子ども一人を研究した結果が多く、また現場を持っていない人も多く、そのため子ども集団での研究をしている人がなかなかおられず、その力もまだまだ知られていないと言われます。しかし、私たち、現場の人間はその子ども集団を持っていますし、なおかつ子ども集団の持つ力も知っているはずです。だからこそ、私たちにできる研究があるということを塾長は言われます。
研究で明らかになっていないだけで、まだまだ知られていないことは世の中に山ほどあるという当たり前ですが、その事実は現場の生の目線としては忘れてはいけないことだなと感じました。

また、「愛着」について遠藤先生から年上の子でもいいという話がありましたが、塾長はまた少し違った愛着の形を示されています。それは母子との愛着を基盤に、母子と離れても、他の大人、他の子との間に安心できる関係を築いていきながら、他者との関係の中で立ち直ることができ、最後には負の状況に陥って時に、自分で立ち直ることができる力が大切であるということを言われています。
また、15分間の最後に塾長はブッタの話もされました。ブッタは生後すぐに母親を亡くしたそうです。人類の歴史からみても、出産を機に母親が亡くなってしまうケースも少なくなかったそうです。そんな時に、母親だけの愛着、母親とだけの関係が絶対視されていては人類は生き残ってこれなかったのではと話されました。あらゆる人との愛着関係があってこそ、人類は生き残れてきたのだと。そのためにもやはり子ども集団、複数の大人との関わりという「集団」が重要になってくるということを話されました。
そのようなことを塾長は15分の中で話されたのですが、納得して頷いている方も多く、また、私自身も15分の中にこれからの保育、教育の話が濃縮されて詰まっている塾長の話に圧倒させられてしまいました。
少し余談ではありますが、塾長以外の人はパワーポンイトを使って講演されていました。15分という短い時間にいかに自分の言いたいことを表現するのかというのは大変なことです。パワーポンイトを使って整理することで、短い時間に伝えたいことがはっきりするので、効果的ですね。しかし、塾長はそのパワーポンイトを使わずして、相手にしっかりとしたメセージを伝えておられました。一体頭の中でどのように整理されているのだろうかと、驚いてしまいました。

他にも、食と農のコンシェルジュである伴亜紀先生の講演の中に、
哺乳はコミュニケーションではないか、というお話がありました。塾長の話の中に赤ちゃんは白紙で産まれるのではない、自らすでにあらゆるものを選択している、自ら発達する力を持っている存在であるとあります。哺乳によるコミュニケーションという考え方は、大人が赤ちゃんに与えるものではなく、赤ちゃんが自ら哺乳しているという事にも繋がるのかもしれませんね。
また、伴先生は「食べるという事には個人差があ理、早く食べられた、いっぱい食べられたからいいということではない。
その子にとっての適量があるはず」ということを言われていました。まさにこれは塾長がよく言われる子ども像でもあり、このことも子ども自ら育つ力を持っているという事に繋がるなと思いお話を聞いていました。

このリレー講演で、これからの保育、教育を明確に語っておられたのは塾長だけだったように思います。そして、明確に今後の道を示しておられる塾長を見て、「すごい…」と唖然としてしまいました。しかし、唖然としてしまうだけではいけません。その考え方をしっかり受け継ぎ(保育の考え方、人としての道)、実践という形で示したりしていけるようにならなければいけないし、そうなりたいなと改めて感じる時間になりました。

報告者 森口達也

大阪の陣

 先日、塾長と一緒に大阪出張へ同行させていただきました。大阪では塾生の先輩でもある邨橋先生の幼稚園にお邪魔しました。園内研修の前に市長さんと教育部長さんなどなど市の教育関係者の方が6名ほど集まり、幼稚園の園長先生(邨橋先生のお父様)、塾長の話を聞きながら、質疑応答をするという場がありました。その会は2時間半ほどあったのですが、1時間あまりで塾長が保育の重要さ、乳児の重要さをノンストップで、とても強烈に相手に伝わる話し方でお話をされました。短い時間の中に、大切なことをしっかり詰め、短時間ではあったのですが、見事に相手に伝わる内容で、私は近くでその話を聞いていて衝撃を受けました。
なかなか伝わらないかもしれませんが、その時に塾長が話されたことを簡単にまとめでご紹介したいと思います。

・赤ちゃんは大人にやらせるように仕掛けている。とても能動的な存在である。
・人工知能の発達に対応する教育をしていかなければならない。そのための非認知教育。
・地域に税金を納めるような大人にしていかなければならない。若い人はきつい仕事をしなくなっている。
・勉強につながるために乳幼児期の「楽しむ」「味わう」という(経験カリキュラム)ことが大切になる。
・人類の祖先であるホモサピエンスが持っていた力(協力)を子どもに伝えることが大切。
・赤ちゃんは生まれながらに協力の基盤を持っている。

・赤ちゃんが持っている…
①人を援助する力
②人にものをあげたがる力
③人に教えたがる力
④道徳心
これらの力が発揮される場を作らないといけない。その場がないと消えてしまう。
これらの力は相手がいてこそ成り立つ。

偏見を持ってしまう理由…
①異年齢を体験しない
②障害のある子を分ける
③男女を分ける
差別意識、偏見は環境によって作られる

・人類が子孫を残せてきたのは、族を作り、共同保育を行なってきたから。だからこそ離乳も早い。
・大正デモクラシーの時以来の新教育運動が起こってきているが、それを教える教師が育っていない。
・総合的な学習の時間が教科になってしまっている。
・子どもに話す力がないのは先生に聞く力がないから。子どもに聞く力がないのは、先生に話す力がないから。

・ネアンデールタール人の遺伝子を少し受け継いでいるのは日本人だけ。
・幼さを残す幼形成熟が鍵。
・遊びを通して学ぶので、幼児期の遊びという学びも就学時の学びも同じものである
・それぞれの地域で活躍する人材を作らなければいけない。それが多様性である。東京でサラリーマンをすることがいいという価値観をおかしい。八百屋も魚屋も必要である。
・自分でなんとかできるという思いが病気を治す。ストレスをなくすのではなく、自分で解消できる力が大切。

・一斉画一的教育から主体性、選択制の教育へ。それは病気を克服する力、生きている力につながる。
・十分にハイハイをするから歩くことができる。
乳児期にしっかり発達する、楽しむことができれば勉強ができるようになる。
・乳児の保育時間は長すぎる。乳児の保育は重要だが、長すぎるのは良くない。そのためには子ども園では1号認定を乳児にも認めるべき。
・親と同居している家庭に補助を出してみては。
・人類だけにある青年期、老年期は心を育てる、孫の面倒を見るためにある。
・親の養育が子どもに影響する。だからこそ園に預けた方がいい。親のよって格差を生んでしまうから。

・子どもたちの発達を見せる切り口が5領域。
・言語能力はすべての教科につながる。
日本人の英語力は論文向き
韓国人の英語は会話向き

・足が速い子がいるのと同じように、勉強にも向き不向きがあるのだから、得意な子がやればいい。
・3〜4年生でヴァーチャルな世界を見ることができるので、歴史、地理といった教科が始まる。この時期に英語が始まるのは理にはかなっている。
・困難を乗り越える力を持っている子は…
①愛されていると思っている
②自分が好きである
③前向きである

・子どもは刷り込みなので、大人が多様な価値観を持ち、そのあり方を示していかなければならない。

このようなことを塾長は話されました。箇条書きなので、分かりにくい部分もあると思いますが、塾長の話は全てが繋がっており、乳児教育の重要さを市長さんはじめ、教育部長さんたちは納得されておられました。是非とも市としても、こういう保育を進めていきたいと仰っていました。見守る保育がこのようにどんどん広がっていくと子どもたちも大人も幸せになると思うので、このような動きはとても嬉しくなりますね。
また、塾長の分かりやすく確信をつく話し方に改めて感動しました。私も塾長のように柔らかく、しかし確固たる信念を持ち、相手を納得させる話し方ができるようになりたいなと思いました。
塾長はよく難しいことを難しく話すことは誰にでもできる。難しいからこそ簡単に分かりやすく話すことを心がけたいと仰っています。私もそれを目指していきたいです。

報告者 森口達也

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帰りに少しだけ千利休を感じてきました。

年間講座報告2

先に山下先生から報告がありましたが、続けて私からも、臥竜塾講座の報告をさせていただきます。

私はまだ就職してから1年ということもあり、今回の年間講座は4月の環境の園内見学の案内だけを担当させていただきました。山下先生が話したことの実践例を案内で紹介していくため、山下先生と打ち合わせを行い、また塾長からもレクチャーを受けながら準備を進めました。

今回の講座の目的の1つに、人に話すことで、その知識が自分の身になるということがあります。塾長と出張に行き、そこで何回も講演を聞くことで、色んな知識が頭に入ってきます。そして、今回の講座でそれを人に伝えるために、1度自分の中で整理して、分かりやすく伝えるために、考えました。さらに、当日話すことで、さらに身になることを実感しました。

それを実感できたのが、18日の土曜日に行ってきた、ある保育園の園内研修でした。そこでは、環境を見ながら職員の質問に答えるという形式の園内研修だったのですが、塾長だけではなく、私にも質問が飛んでくることがありました。すると、講座で話していたため、色んな実践例などが出てきて、質問に答えることができたのです。もちろん、完璧な答えではないため、まだまだ塾長の補足が必要ですが、確実に講座で成長できたなと思えた瞬間でした。

山下先生が、新宿せいがの環境を理解するのに、8年じゃ足りないとおっしゃっていましたが、1年ちょっとの私はそれ以上に足りません。(笑) ただ、塾長をはじめ、塾の先輩、園の職員から色んなことを学べるので、これからがまた楽しみだなと思っています。それを1つずつ吸収して、自分も伝えていけたらとも思います。

今年は、4月の講座しか担当がありませんが、来年からは何か1つ担当が持って話ができるように、また勉強したいと思います。もちろん5月以降も、他に塾生のサポートをすることで、色んな学びがあると思いますので、楽しく講座をやっていきたいです。よろしくお願いします。(西村宗玲)

年間講座 「臥竜塾の教え ~環境~」

火曜は記念すべき、第一回の「臥竜塾の教え」が無事に終わりました。講座に参加してくださった先生方、この場を借りて改めてお礼申し上げます。本当に参加してくださりありがとうございました。

今回のテーマは「環境」ということで山下と西村君で発表と見学を案内させていただきました。ですので、今回の報告は二人からさせていただきます。

まず始めに私の方から・・・。

まず、今回の講座を開くことになった経緯を挨拶と兼ねてお話をさせていだきました。人前に出て話したり発表するのは段々と慣れてきましたが、

やはり挨拶になると、なんだか急に緊張をして、たどたどしい挨拶なりました(笑)塾長がよく結婚式の主賓の挨拶の際にも

「挨拶だと緊張するから講演だと思って話しをする」と言われていたのが、何となく理解できました。

確かにパワーポイントを使って発表になるとスイッチが入ったのか、集中して発表することができ、まさにゾーンに入っていました(笑)1429280499398

発表の中でも「子どもたちのゾーン体験」についてですが、ゾーン体験というのは本人の持っている能力を最大限に引き出してくれる効果があります。

実際に発表中ずっとではありませんが、所々自分でも集中し自然と言葉も出て、楽しくなった瞬間がありました。ただ、ある意味自己満足の世界でしょうか(笑)

そして有り難いことに参加者の先生方も真剣に私の話を聞いてくれたので、それもゾーン体験の効果を相乗効果させたのかもしれません。本当に嬉しかったです。

今回の発表にあたり塾長の方からたくさんの資料をいただき、それを自分の中で整理しまとめましたが、まだまだ自分の勉強不足というか、やはり新宿せいが保育園の環境を理解するのは8年じゃ足りないですね・・・。1429280514115

そして塾長の言葉一つ一つをしっかりと理解していく必要性を改めて感じました。ただ少なくとも今回の発表で自分自身、大きな学びを得たのではないかと思います。

講座の最後に「私もまだまだ藤森先生から学んでいる最中です。ですので皆さんと一緒に、そして楽しく学べることができればと思います!これから1年、宜しくお願いします!」と。(報告者山下祐)

GT福岡

2月6日からGT福岡の研修会に参加してきました。その名の通り福岡のGT園の研修だったのですが、参加者は100名を超えたそうです。

研修自体は、7.8日の2日間行われました。7日は泰幸保育園の公開保育と実践発表。8日はゆたか保育園とるんびに保育園の園長先生による、それぞれの園の理念の発表と、藤森先生による講演という内容でした。

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公開保育で個人的に面白いなと思ったのが、この3D本です。

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目の焦点をずらしたまま、絵を見ることで立体的な絵が浮かび上がるというものですが、本来は目のトレーニングとして用いられ、視力回復のためのものだったそうです。

私は今まで浮かび上がった経験がないので、保育園の子たちはできるのか、絵本ゾーンに置いて様子を見てみたいなと思いました。

 

藤森先生と出張に行くと、色んなところに保育の参考になるものを見ることができます。私の目線なので、装飾に生かせそうなものばかりになってしまいますが、少し紹介していこうと思います。

 

P2072013(1)P2072014(1)P2072018(1)

 

これらは懇親会の会場の写真です。私がコケ好きなため、すぐに写真を撮りましたが、来年の新宿せいが保育園のテーマが伝統ということもあり、最近「和」について見直しています。そこで、これらの写真は和に通じる装飾に生かせるのではないかと、藤森先生と話をしながら撮ってきました。もうすぐ完成する茶室にこういったものを置けたらいいなと思っています。

今回のGT福岡に参加して色んな先生方とお話しをしましたが、最近保育が楽しいと感じる保育士さんが増えたという声がとても多かったという印象を受けました。見守る保育とは、子どもだけではなく、保育士にとっても良い影響がある保育なんだなと改めて感じました。

最後に・・・

公開保育において、私のテンションが最も上がったものがあったことは内緒にしておきましょう。

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元ソフトバンクホークスの柴原洋選手のサインです。ある縁があって泰幸保育園さんに来園なさったそうです。ホークスファンの私としては大興奮でした。(笑)

西村 宗玲

マネジメント5

私は塾長と一緒に全国を回り始めてから、
南は沖縄、北は北海道と本当にたくさんの保育園さんに伺うことができました。
出張で多いのが園内研修や各地方の見守る保育の勉強会でしょうか。
ここ数年は県の保育士会の講演会が多くなってきたと思います。塾長にとっては、とてもハードスケジュールになってしまいますが、
それだけ時代が塾長を必要としているという事を感じます。

そんな「出張先でよくある光景が、講演を終了した塾長が控え室に戻り、休憩していると、

研修会の責任者の方や会長さんなど、偉い方が来られて挨拶に来ます。
そして講演内容の感想や質問などを塾長に話しをしていますが、私がよく聞く感想で
「自分と全く同じ考えです」
「探し求めていた保育が見つかりました」
「思い描いていた保育を藤森先生が言葉にしてくれました」

です。
こういう感想を聞くと、全国でも保育に悩んでいる園長先生方が多くいると感じます。
私個人の勝手な憶測なので、絶対ではありませんが、
そう感じる方の多くは、畑違いから保育の世界に飛び込んできた方が多いように感じます。
もちろん、そうでない先生もいます・・・。
従来の保育に違和感を感じたり、子どもの姿が時代によって変わってきたり、
そんな光景に何か納得がいかない自分がいて、心の中でモヤモヤとしている時に、
塾長の話を聞き、一点の光が差し込んだような気持ちになるのでしょうね。
さてさて、もしドラでは主人公がマーケティングの次に取り組んだのは、
マネジメントの組織化です。一人でマネジメントに取り組んでいた仕事を、チームで行おうとしたのです。
特に監督の存在です。監督は野球の知識に関しては並外れたものを持っているのです。
しかし監督の問題は「コミュニケーション」にあったのです。
どうも知識が豊富なあまりに専門的な言葉を使いすぎて、普通の人では理解ができず、
それは選手にも同じでした。ここでドラッガーの言葉が登場します。

「専門家にはマネージャーが必要である。自らの知識と能力を全体の成果に結びつけることこそ、専門家にとって最大の問題である。(中略)

 専門家のアウトプットとは知識であり情報である。専門家のアウトプットを使うべき者が、彼らの言おうとしていること、行おうとしていることを理解しなければならない。」

少し難しいですね・・・。
ここでいう専門家というのは、おそらくその道のプロということでしょうか。
「もしドラ」で言うと野球の並外れた知識を持っている監督ですね。
その分野に関しては普通の人よりも知識も経験も豊富なので、
企業では、その能力を成果に結びつけることが、重要であり、専門家の役割です。
そして、専門家の言っている事を周りは理解し、実践することが更に重要になってきます。
しかし、ここで問題が起きます。それをドラッガーは

「専門家は専門用語を使いがちである。」

どうしても専門家と言うのは専門用語を使いがちです。
自分は理解している言葉でも、それは専門用語であり、周りは全く理解することができないのです。
これは保育の現場でもあると思います。
私も常々、心がけていることですが、子どもに対して何か話したり、説明をするときに、
つい難しい言葉を使ってしまうことです。自分は分かっていても、子どもにとっては難しい言葉が多いということです。
ここでマネージャーの出番です。

「組織の目標を専門家の用語に翻訳し、逆に専門家のアウトプットを顧客の言葉に翻訳してやることもマネージャーの仕事である。」

とドラッガーが言っています。
つまりパイプ役が必要ということです。
専門家の難しい内容の言葉も、普通の人でも分かりやすいように翻訳し、
逆に専門用語を使って、専門家に周りの意見や感想などの情報を伝えることです。
「もしドラ」では主人公がそのパイプ役、専門家の通訳になろうとするのです。
そして、とうとう大会が始まろうとしているのです・・・。
さて「もしドラ」では主人公が通訳になろうとしていますが、
この状況を保育園に置き換えると、なかなか難しいですね。
ただ考えながら、ふと思い出したのが、見学者の感想で
「やっと自分の保育園の園長先生の言っていることが分かりました」という感想です。
おそらく、見学者の中には園長から「見守る保育」の話しを聞いたけども、なかなか理解できず、
それを新宿せいが保育園に来て、塾長の話や、実際の保育を見て、やっと自園の園長の言っていることが理解できたのかもしれません。
もしかしたら新宿せいが保育園の役割こそ「通訳」ではないかと思ったのです。
しかしそれは、新宿せいが保育園に限らず、全国で実践している保育園、みなさんが「通訳」ということです。
今、全国各地で「見守る保育」の勉強会が盛んになってきましたが、
新しく実践する保育園が増えた時に、なかなか東京には行けない・・・ってなった時には、
近くで実践している保育園を見ることで「通訳」になると思います。
つまり、私たち、全員がマネージャーになる必要があるということですね。
ちなみに塾長は専門家とマネージャーの両方の役割をこなしているように感じます。
だからこそ両方の気持ちを理解でき、人の心に響く話をされるのだと思います。(投稿者 山下祐)

出張報告in中富良野

7月24~27日まで北海道の中富良野へ行ってきました。

私自身生まれて初めての北海道という事でとてもワクワクしながら同行させて頂きました。行く前に塾長から「北海道は先月行ったミュンヘンと緯度が近いから気候が似ているよ」という事を聞き、ミュンヘンを思い出しながら飛行機に乗り込みました。

到着し感じたのは、北国なので当たり前なのですが東京より涼しくて蒸し蒸ししてないなという事でしたが、思い出してみるとミュンヘンでもやはり同じことを感じていた気がします。そしてすぐにバスに乗り、旭川市内へ向かう車中で外を見たときにとても広い大地と道端に咲いているラベンダーを観て「北海道へ来たんだな」という事を感じました。

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さて、今回の出張は、25日に保育園の保護者講演と「21世紀保育を考える会 第一部」の講演。26日はその第二部の講演と観光を含めた移動。27日は25日に行った保育園さんの姉妹園での園内研修という事で、今回は幅広いタイプの方に向けた塾長の講演でした。

今回の講演でのポイントは、

・将来、子どもを幸せに(成功する子に)導くには、IQ(知能指数)からSQ(社会的知能)、EQ(心の知能)へ。

・8歳以前にお金を使った方が国としての戻りが大きい。

・世界の人類が共通して持っているものは、「笑顔」と「1歳くらいの頃に人に物をあげようとする行為」

・多様性

・学校区から保育園区

・ダークセンス(まだ解明できていない人間の能力)

・協同的学び

・異年齢児保育とは

・「見守る」とは子どもの姿理解と発達理解で初めて見守ることができる

・今後子ども園になるにあたり、「就学前教育」の必要性。→文字、数、科学

などの講演をされていました。

その中で「21世紀保育を考える会 第二部」で私も少しですが自己紹介から調理師を目指したきっかけ、前職から新宿せいが保育園で働いて・・・というお話をさせてもらいました。人前で話すのは元々苦手で、緊張してつたない話しになってしまったのですが「話を聞いて調理に興味が湧いた」と言ってくれた方が数人いらっしゃり声をかけてくれたので嬉しかったのと同時に、塾長と出張に行くという責任を改めて感じた今回の出張でした。(投稿者 柿崎)

青い池

青い池

見守る保育研究会in島根

本日は、塾長がドイツ視察へ行かれているので、生臥竜塾はお休みです。

そこで、先週末に島根県で行われた「見守る保育研究会」についての報告をします。

塾長は、講師として“これから生き残っていく園とは”や “乳児からの発達理解”といったテーマで講演を行いました。場所は、“ハンザケ”が住む町、島根県邑智郡邑南町です。“ハンザケ”とは、「生きた化石」とも言われているオオサンショウウオのことです。そんな、国の特別天然記念物にも指定されている生き物が住む町に、私も同行させて頂きました。

2日間に渡り、非常に濃い内容であったのですべて伝えられませんが、講演は下記の流れで進んでいきました。

1日目

・なぜドイツに行くのか

・100年後も変わらないもの

・霊長類から見たヒト

・保障すべきことは共通する

・地域との交流と支援

・園が地域として必要な施設となる

・園を多機能化するー地域再生のひとつ

・共異体とは

・保育園における教育とは

・教育の目的

・乳幼児教育

 

2日目

・赤ちゃんは能動的

・子どもの食事

・絶対音感と相対音感

・ダークセンス(解明されていない感覚)

・愛着と好奇心

・見守ることと発達理解

・「褒められる」と「叱られる」の差は大人の環境構成次第

・感染症におけるオープンと隔離

・生きるための逆境

・社会的参照と慣らし保育

・少子社会と関わり

・保育園の役割

 

今回の中で、印象に残った部分を抜粋したいと思います。

「片付け」

子どもは目についたところに行くのは分かっている。見させといて叱るのはNG。

片付けをゲームにしたり、先生は一緒になってゲームを楽しんで片付けることも必要。本来、片付けは、“次に使うための意欲をつけるために用意しておくこと”。本を元の場所に戻すのは、みながあそこに行けばあの本が読めると分かるため。寝返りする赤ちゃんにとっては、おもちゃを“部屋中に散らばせておくこと”が片付けるということ。その中で自ら取ろうとする。何もなくなってきれいになるのは、大人の「片付ける」発想。赤ちゃんにとっては、目が付くところにおもちゃを置くことが片付け。

寝返りをしている赤ちゃんには、目が届くところに、ハイハイをしている子どもには、ハイハイの先に目に付くところに棚に並べておき、歩き始めたら引き出しの中に中身を取り出せるようにしておくこと。そこから出すことは、発達によって変わってくる。

直接何かをするというより、ただ発達をするというより、私たちは豊かな発達をするための環境を整えなくてはいけない。そういったことを、子ども同士の関わりの中で行われていけるようにしていくことが、新しい保育園の役割でもある。

 

この内容は、まさに子どもを年齢ではなく、発達過程で環境を整えていく感覚であり、環境構成において、新しい見方を得ることができました。子どもの発達と共に環境自体を変えていくことが、本来の自然な環境構成であると理解していても、“片付け”といった日常の出来事にも見直すところがあるとは思ってもいませんでした。自分の中にあった片付けの発想は、押し入れの奥にでも片付けておくことにします。

(投稿者 小松崎)

仙台の仲間

先週の土日は仙台のGT園の研修会があり、藤森先生の講演があったので一緒に同行させてもらいました。以前に同じ研修会に参加させて頂いたときのGT園はまだ4園だったのが、今回の研修会では倍以上の10園に増えていました。集まった各園の園長先生や主任の先生、保育士さんと総勢150人の先生が集まり藤森先生のお話を聞きました。そこでの講演内容は、

・大人が子どもに与える環境で「良い子」にもなり「悪い子」にもなる

・子どもの反抗期に対する考え方

・子どもにとっての「お片付け」とは

・大小比較

・「チーム」や「一緒に働く仲間」について

など、他にも様々なお話をされていました。私自身、最近藤森先生の講演や出張によく同行させてもらっていますが、他の先生方が言っていた「藤森先生の話しは、同じ話でも一回目と二回目で違う発見がある」ということに少しずつですが、なんとなく気づいてきたような気がします。なんというか、今までは平面的に聞こえていたのが立体的に・・・というか、うまく説明できなくてすみません・・・(涙)

藤森先生が言っていた「10を知って1を語る」という言葉を考えてみれば、全然まだまだなような気がしてしまいますが、今年は今までとは違った立ち位置にいるので今しかできない学びをしていきたいと思っています。

また今回は仙台での研修会ということで、以前新宿せいがで働いていた元同僚にも会うことができました。「何かしらの理由があって退職することになっても、次会う時には気持ちよく会えるような退職の仕方をする」というのが園の退職の掟なのですが、元同僚は旦那さんの仕事の都合のため仙台に行きそこのGT園で働いています。出張に行った先で元同僚の頑張っている姿を見ると、とてもうれしい気持ちになりますし刺激になります。新宿せいがでは実家が保育園をやっているということで修行をしに来ている先生たちがいます。いつかその先生たちが実家の保育園の園長になった時、私もそれに負けないような調理師になれるよう頑張っていけたらと思います。(投稿者 柿崎)

展示会講演

5月21日は「世界文化社展示会講演」という事で熊本県の流通情報会館という場所で藤森先生は講演をされてきました。講演を聞きに来られていた方々は、熊本県のGT園の先生や保育関係の方、もしかしたら保育園で働いていないような方もいらっしゃっていたかもしれません。しかし藤森先生の講演は誰がどんな角度から聞いてもわかりやすく、納得のできるお話しでした。日本の保育施設でのケガや病気の対応仕方についてドイツでの保育者はどのように対応しているか、保育士さんが徐々に減って行っているなかでどのように人材育成をしていくか、などのお話しをしていました。
また、展示会だったのでいろんな家具や玩具等が展示されていました。新宿せいが保育園で使用している家具などもあり、熊本のGT園の先生から実際に子ども達がどのように遊んでいるかなどを話しながら観て回りました。
以前、藤森先生が長く遊び続けられるのが「良い玩具」と言っていたのを思い出しながらこの玩具が新宿せいがにあったらどのように遊びはじめ、どのように発展していくのだろうかと考えながら観ることができました。(報告者 柿崎)