11月10日(火)の生臥竜塾
今回は、外部臥竜塾生の邨橋氏と森口氏も参加した、賑やかな塾となりました。内容はというと、先々週に事務局としてドイツへ行った森口氏から「ドイツ保育環境視察2015」の報告会をしてもらいました。
「まずは、ドイツでの面白エピソードをどうぞ」と塾長から話を振られた森口氏は、ドイツの税関のおじさんに怒られた上に茶化された話、ホテルのエレベーターのボタンを押さずに中で待ち惚けした話、フィレオフィッシュを注文してお札を多く渡してしまって強めに突き返された話、高所恐怖症でありながら、飛行機内で窓際に行ってしまい、ものの30分で代えてもらった話など、面白エピソードを数沢山話してくれました。また、ドイツでの滞在中、自園の園児たちとスカイプで繋ぎ、ドイツの街並紹介や質問コーナーの時間を作ったりと、非常に面白い体験をしたという話もしてくれました。
上記のような、導入部分である楽しい話をした後、気持ちはドイツにいるような感覚のもと、テーマを6つに分けられたドイツ報告が始まりました。来年度の保育環境セミナーで、より詳しい報告がされると思うので、大まかな内容だけピックアップして記載したいと思います。
- 緑(装飾)
・自然を多く取り入れられている環境が印象的であった。
・自然素材が多い。
・屋外だけでなく、室内にも自然(緑)が多い
・マロニエ(西洋トチノキ)を使った装飾
・触ってみたくなる・興味を持ちたくなるような装飾や環境
- 科学
・観察する道具の充実
・「自然」に目がいくような仕掛け
・鏡の使い方
- 保護者
・おしゃれなお便り帳ホルダー
・園の役員を立候補による保護者選挙で決める―どのような園にしたいか―
(マニュフストを作り、保護者自ら園への参画)
- 保育者の人権
・おむつ台やシャワー台の高さ
・キャスター付きの保育者専用椅子
・スーパーで見かけた椅子に座りながらレジをする店員さん
- 動と静(減り張り)
・園内に静の場所が必ずある(一室まるまる静の部屋という所もあった)
・動と静を反復させたリズム(遊んだ後に一旦静かな時間を作る。動きのある活動の後は静かな活動を行う。)
- 子ども理解
・個々に応じた対応
・ポートフォリオ
◯その他
・子どもサイズのシステムキッチン
・フィーリングロード(足での感触遊び)
・亀の水槽(水ゾーンと丘ゾーンがある)
・哲学の時間―なぜ自分は生まれてきたのだろうか―
中でも、印象に残ったのは、「ドイツの先生が子ども同士のトラブルの仲裁に入っている姿」であると邨橋氏。これまで、園庭や室内で遊んでいる際、子ども同士のトラブルにはほとんど介入していなかった先生が、子ども同士の仲裁に入っている動画を見せてくれたからです。それには、その園の90%が移民と難民で占めているという状況があること、そして、先生は個人に応じた介入の仕方をしているといった背景があったのです。その園で、難民についての質問をしたところ、「個人的な意見ですが、困っていたら助けるのは当然ですよね」という返答があったそうです。
また、基本的には電気は付けず、必要がある時だけ付けるというのです。つまり、「電気を付けない保育がある」ということ。そのため、日本人には少々薄暗い室内に感じたましたが、それには、農耕民族と狩猟民族という日本とドイツの違いが関わってくると塾長が補足してくれました。
このような流れで時間はあっと言う間に過ぎていき、楽しい時間を共有することができました。個人的には、森口氏の「自然」とか「緑」のテーマの中で発した『何気ない物をきれいに飾っている』という言葉が印象的でした。日本でも、自然を装飾に取り入れて飾っていると思うのですが、日本にはない斬新さとか奇抜さ、そして、国民性も影響しているのか、芸術的な感性が活かされているようにも感じましたし、鏡という物を床にや階段の足下に貼ってみたりなど、物を多角的に捉えようという意図が多くの環境に含まれているようにも感じました。まさに…
ちいさな「自然」を見つけたら
ぐぐぐっとクローズアップ
りんじょう(臨場)感と可能性を探れば
もうひとつの顔が 現れる
といった感じでした!最後に、本日のメニュー紹介をして、生臥竜塾の報告を終わりにしたいと思います。
メニューのほとんどが、塾長からの宮崎出張・ドイツ研修お土産でした。いつもありがとうございます。ごちそうさまでした!
(報告者 小松崎高司)
先日はありがとうございました!今回もどんぶりに何かしらの…とは思って身構えていたのですが、思ってもいなかった展開に唸ってしまいました!
未だに、税関のおじさんのシーンを思い出すとゾクゾクっとしてしまいます。いい体験をさせていただきました。ドイツ研修という素晴らしい機会をいただきました。その機会や体験したことを自分以外のみなさんのお役に少しでも立てるように来年のGT研修での報告に向けて準備をしていきたいと思います。みなさんの前で報告させてもらったことで、さらにその思いを強く抱くことができました。ありがとうございました!!
もりぐちくん参加の生臥竜塾はやはり、一味違ったものになりますね。報告もとてもわかりやすく、ドイツの良さ、自然をうまく取り入れた保育の解釈の仕方など、とても参考になりました。個人的に足で触って感触を楽しむ玩具(遊具?)と、おもてなしなどの際の装飾が気に入りました。取り入れていきたいと思います。
「ドイツの先生が子ども同士のトラブルの仲裁に入っている姿」というところで、改めてしっくりくるなぁと感じるのですが、〝仲裁に入る〟〝入らない〟というような、両極端なものではない、ということです。人は感情の生き物です。その時その時に応じた関わりがあることが当然で、それこそマニュアルになるようなものではなく、人としての関わりだと思うのです。
だからこそ、それを藤森先生は、保育を〝保育道〟と呼ぶのです。この道は、人を高めていく道なのです。