先日、GTのリーダー研修が行われました。
そこで、京都大学の森口佑介先生が講演をされたのですが、最近、塾長がブログで森口先生の本を解説されているということもあり、今回の講演会が実現しました。
森口先生は「がまんの発達科学」という題名で2時間講演をしてくださいました。
その中で、いくつか印象的な言葉がありました。
まず、私たちの日常生活は「我慢」に溢れているということでした。
ある研究によると人は1日に4時間も我慢しているという結果がでているそうです。
「4時間」というとその時間に驚いてしまいますが、確かに、私も自分のことを想像しみると、あらゆる場面、あらゆる瞬間で浮かんでくる感情を我慢しているなということを思い出しました。それが積もると4時間にもなるとかと思うとやはり驚いてしまいます。
また、「常に我慢することが大切なのではなく、自ら進んで我慢できること、我慢すべき時に我慢できることが大切になってくる。そして、ただ、我慢することではなく、目的に向かって我慢できることが大切」とありました。
私の勝手な印象ですが、もしかすると日本には「我慢すること、苦しむことがいいこと」といったような感覚があるのかもしれません。大切なのは目的のためにする我慢であったり、目的のために結果として苦労することなら分かるのですが、どうもそうではない雰囲気があるように思います。このあたりは「好きなことばかりしてたら小学校に行って苦労するんじゃないか。だから就学前にも苦労すること、我慢することが必要」と思ってしまう考えにも繋がってしまうのかもしれません。
塾長も「楽しくてちゃんとしてるなら、楽しい方がいいのにね」という働き方のお話しされることがあります。やっぱり、私も楽しいがいいなと思います。なんだか、そんな苦労に関することを考えてしまいました。少し話が逸れてしまいました!
森口先生は講演の中で「我慢」という言葉を使われていましたが、どうしてもこの言葉だと子どもに対して、とにかく我慢させることが大切だという印象を受けてしまいますが、そうではなく、塾長がよく話をされる「自制心」という欲望をコントロールする力ということで、森口先生もお話をされていますので、私たちには自制心、自己抑制の方が分かりやすいかもしれませんね。
また、自己抑制にとって重要になる脳の部位は「前頭葉」であり、特に、「外側前頭前野」という部位が欲求を抑える上で重要なブレーキの役割を担っているそうです。
そこで、私がおもしろいなと思った話なのですが、なぜ、人は青年期にバランスを崩してしまうのかということでした。
詳しい説明は省かせていただきますが、青年期になると性ホルモンが急激に高まり、それが欲求というアクセルになってしまうそうです。そのアクセルが急激になってしまうことで、本来のブレーキではそれが抑えられなくなってしまうので、バランスを崩してしまうそうです。アクセルとブレーキの話は分かりやすいですね。
なので、青年期の子どうしても欲求というアクセルが先に発達してしまうので、ギャンブル課題などの実験でも、リスクの高い方を選んでしまうのだそうです。
しかし、幼児期に我慢する力、自己抑制力がついていれば、青年期でもそこまでの異常行動をしないということが分かってきているそうです。
ですので、とても乳幼児期が重要になってきます。
このことは塾長もかねてから言っておられます。
また、自己抑制力は5歳児以降では遺伝的な要因が大きくなり、それより下の年齢では環境的な要因が大きくなるということが現在の研究では分かっているそうです。これはつまり、5歳以下の年齢の子どもが自己抑制力をつけるのには環境の影響を遺伝的な要因よりも強く受けるということになるそうです。だからこそ、塾長が常々言われるように、小さい頃から子ども集団の中で、子どもを育てることが重要になってくるのですね。
そして、森口先生も環境要因となる関わり方として、
「答えを教えるのではなく、ヒントを与えるというような関わり方」が重要であると言われていました。
親が率先してなにんでもやってしまうと自己抑制力が育たなくなってしまうそうです。
これもまさに私たちの実践している見守る保育の形でもあると思います。
いつも思うことなのですが、このような話はやはり塾長が常々話しておられることでもあります。そして、そのための実践のあり方を塾長は示してくれます。
研究として、「こうである」という結果を知るだけでは、なかなか現場での実践につなげていくのが難しいです。
私たちはその研究を踏まえてどう実践として行っていくのかということが大切になるのですが、この形を分かりやすく示してくださっているのが塾長です。
そして、なにより塾長の話があるからこそ、乳幼児の研究の話をされる大学の先生などの話を私たちはより現場の目線で理解しながら聞くことができるのだと思います。
そんなことを改めて感じた時間でした。
ちなみに京都大学の森口佑介先生は、わたくし、森口達也とはただただ、たまたま苗字が同じというだけの関係であります笑
報告者 森口達也