8月5日の生臥竜塾
本日は3名の聴講生が来塾されました。3名とも新宿せいが保育園の職員です。その内の2名は、塾長との関わりも長く、深い信頼関係で結ばれているベテラン保育士さんです。もう1人は、以前は別の所で保育士をしていましたが、新宿せいが保育園を見学したその日に、ここで働きたいです!と志願し、今年の4月から働いている職員です。そんな3名と共に、今回の塾は始まりました。
〈発達と発展〉
乳幼児施設では、子どもの“発達”を保障する場所でもありますが、同時に“発展”も必要であると説きます。子どもは「発達と学習の共同構成者」と言われているように、自ら学ぼうとする過程が重要であり、それを自ら発展させていくことに意味があるとのこと。よく、ひとつの項目から枝分かれで発想を膨らましていき、関連する学びへとつなげていく手法があるが、その方法だと、どうしても大人の誘導性が出てしまい、学びが薄くなってしまう印象がある。子どもが今している遊びを、別の角度や別の視点からアプローチしていくことで、その遊びを深めていくことが“発展”になっていく。職員が絵本を読み聞かせることから、文字やお話に興味を持った子どもが他の子どもに絵本を読み聞かせていけるように促したり、子どもがブランコ好きであれば、木とロープをうまく使ってブランコにしていく過程を楽しめるように促したりなど、その深め方は大人次第で大きく変わっていくのだということを学びました。
〈転機〉
塾長が42歳の時、人生で大きな出来事があり、その大病をした時の体験が自分にとっての転機にもなったそうです。お見舞いに来てくれる人でも、1人の人として親身になって来てくれる人と、地位だけを見て来る人と分かれたそうです。その時、“死んだら地位やお金や役職は何の意味もない”と悟ったそうです。そんなものよりも、自分らしく生き、人生を楽しく過ごし、親身になってくれる人を増やしていこうと思ったそうです。そんな中、最近ちょっと長生きしたいと思ったのが、お孫さんの成長を見たいということと、毎日新しい発見があるので、1年過ごせば365個の新しいことを知ることになるということ。
また、塾長の学生時代の話から、「勉強しなくて得意なことで勝負できるもの」があるとよいという話を聞きました。世の中には、テスト勉強をしなくてもテストができる人がいる。そう考えた時に、何かを勉強をしなくても自分が得意だと思えるものや、特技を活かす方法を探り、それで勝負していく方が人生を楽しく過ごしていけるのではと思ったそうです。その力は、学力とは異なるため、学歴で人を判断しようとは思わないとのこと。
そして、何も特技がないっていうのも“特技”であるということ。何もないということは、全てを吸収できるってことでもあり、日本特有である“卑下”も、そうできるということは、得意分野に自信があるということでもある。
こういった具合に塾は進んでいきましたが、塾長の話を聞いている2人のベテラン保育士さんの様子を見ていてふと個人的に感じたことを書きたいと思います。まず1人目は、必ずあいづちを打つということ。人の話の区切り区切りに「うん、うん」とうなずいています。それは、共感している、または共感しようとしている姿勢の現れでもあると感じます。うなずきの天才です。そして2人目は、隙間に共感を入れながらも、笑える単語を自然と入れるところです。その一言の破壊力は、周囲を笑いの渦へといざないます。以前、本人は自分のことを「隙間産業」と言っていたのを思い出しました。人と人の間にある隙間も一瞬で埋めてしまい、笑顔を生み出します。よく分かりませんが、その2人が持つ「うなずき」と「笑顔」は、簡単そうに見えて誰も真似ができない“特技”である気がしました。
今回の食事メニューは、出し巻卵明太子乗せ・さつまあげ・鶏肉の梅肉大葉・お刺身・枝豆・みょうがの豚バラ巻・ホタルイカ漬け・ほっけ焼き・カツオのたたきです。皆のお酒も進む、美味しいメニューでした!
(報告者 小松崎高司)
とても勉強になると言いますか、勇気づけられると言いますか、元気が湧いてくるような内容でした。発達と発展についてもしっかり捉えていきたいことですし、今年の園の大切なキーワードでもあります。「転機」の話はぐっとくるものがありました。「死んだら地位やお金や役職は何の意味もない」という言葉を言葉では理解できてもなかなか身体で理解するのは難しいのですが、藤森先生がこう示してくださっているのですからしっかり自分の身体をそういう方向に向かわせていかなければならないなと思いました。このような話を生で聞ける体験は想像しただけで素晴らしい時間なのだろうなと思ってしまいます。ですが、ここでこうしてその話を紹介してもらえる場があるということもまたありがたいことだなと思います。
あの時間の中で、これだけの文章をまとめることのできる小松崎先生の力量に脱帽します。そして、マストコメンテーターでありますもりぐちさんの純粋なコメントに、いつも以上に感動してしまいます。藤森先生の傍にいる人や、藤森先生を慕う人には、やはり技術的にも、感情の面においても、秀でたものをお持ちの方が多いことを改めて感じてしまいます。
藤森先生を囲み、その片腕とも言うべきお二人がお酒を交わし、談笑するその姿は、まるで時代劇を見ているようでした。お二人もまた、目に見えぬ努力、苦労をされてここまでこられたことは言うまでもありません。その労をねぎらうかのように、また、時に鼓舞するように、温かくお話しをされる藤森先生でした。
お料理、本当に美味しかったです。本当にありがとうございました。