おんぶ紐

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ここ2・3ヶ月くらい、1歳児の中でおんぶ紐ブームが到来しています。おんぶ紐と人形(赤ちゃん人形や動物のぬいぐるみ)を手に持って、職員のもとに近寄ってきては「やって(この紐で人形を背負わせて)!」と言ってきます。職員の一人が、家にあるぬいぐるみを大量に持ってきてくれたことも影響しているのかもしれません。また、クラスの中に、下の子が生まれた家庭が増え、母親が弟や妹を抱っこやおんぶしている姿を目にする機会が増えたことも影響しているのかもしれません。意外にも、女児だけではなく、男児も人形をおんぶしている姿も目にします。そんなところからも、父親の育児参加の様子がうかがえたりもするのでしょうか。(笑)そして、単純に、他児の遊びを真似している子どももいると思います。

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塾長は、そのような他者を「模倣」することについてこう書かれています。

『なぜヒトは身ぶりを模倣できるようになったのでしょうか。ヒトは、社会を形成し、そこで助け合い、協力して生きてきました。当然、そのためには他者とのコミュニケーションが大切になってきます。その際、言葉だけに頼るのでなく、他者の身ぶりを頻繁に模倣し、また同時に模倣されていることに気付きます。他者の身体の動きに注目した模倣は、他者と同じ経験を忠実に繰り返すことを可能になっていきます。』

この言葉から、まず“他者に対する興味関心度が急上昇している時期”ということが感じられました。また、「協力」や「助け合い」を自ら求め、他者と同じ体験をする事を喜びと感じていることが伝わってきます。つまり、そのような体験が促される環境や言葉がけが必要となるということだと思います。

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そして、塾長は続けてこう言います。

『その結果、自分の心と他者の心をしっかりと重ね合わせることができ、他者がなにを考えているのか、何を意図しているのか、といった心的状態を、他者の行為を観察するだけで読み取ることができるようになります。』

子どもたちは「模倣」することによって、他者を理解しようとしていたのですね。

 

そのような子どもたちを見ていて、そのような遊びが発展するような環境があればなと思い、考えてみたのがこの写真です。

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これまでは、おんぶ紐や手提げ袋など、ままごとゾーンの棚の中にありました。その棚は、基本的には職員が開閉を行い、子どもたちの姿に応じて玩具の量や質を調整しています。その棚の両側に、子どもたちがいつでも自らで取り出せるように環境を設定してみました。例え、ままごとゾーンが開いていなくても、赤ちゃんをおんぶし、手提げ袋にレゴブロックを詰めたりして、今楽しいと感じることを十分に行えるようにと考えました。

そして、年末にサンタクロースからもらった「あづま袋」も出して、その中に何かを詰めて袋を持つ人の模倣を通して他児との関わりが増えることを願いました。

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このように、子どもたちの現在の姿を捉えて何かの環境を考えるというのは、うまくいくこともあれば、当然はずれることもあります。しかし、このような環境設定の過程は非常に楽しく、子どもたちがどんな姿を見せてくれるのか、その子どもたちに対して他の職員はどのような関わりをするのか、そのような一部始終を、遠くの方から見てないような態度でチラ見するのが、僕の楽しみでもあります。

(報告者 小松崎高司)

おんぶ紐」への2件のフィードバック

  1. 「このように、子どもたちの現在の姿を捉えて何かの環境を考えるというのは、うまくいくこともあれば、当然はずれることもあります」とありました。この繰り返しが、保育を深めたり、保育を楽しむことにつながっていきますね。とにかく「こうしてみたらいいんじゃないかな」と思ったことをどんどん試してみるという姿勢が大切ですね。「これが正解」というのはありませんよね。そんな「こうしてみたらいいんじゃない」をどんどん試せることが何より大切ですね。

  2.  素敵ですね。環境設定の醍醐味こそ保育の醍醐味なのではないか、と思えてきます。おんぶ紐は男の子も好きで、お世話をしたいという欲求にぴったりとくるアイテムなのかとも思ったりします。最近はおんぶ紐にもオシャレで様々なものがあり、子ども達も自然目にする機会が多いことを思うと、その模倣という力が日々の中で存分に育まれ、それが発揮されているのがこのような日常の遊びの中なのだというようにも感じられます。子ども達のそうした思いを環境を設定することで汲み取ってあげられるという、改めてとても大切なことなのだと感じました。

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