人間の声は、のどの奥にある「声帯」というひだが震えることによって作られ、空気を振動させながら伝わっていきます。同時に、離れている物をふるわせることも出来ます。以前TV番組で、声でワイングラスを割ることができるか実験していました。その結果に衝撃を受けた記憶があります。保育の部屋にも、目に見えない「声」を、遊びを通して直接「目」で見ることができないかと考えていると、本屋にあった総合学習本の中に、「声であそぼう」というページがありました。
これは、声の振動でモール人形を踊らせる手作り玩具です。用意する物は、ボウル・ガムテープ・黒いポリ袋・モール・ハサミです。これらを使って玩具を作ります。作った物を科学ゾーンに置き、実際にやってみると、子どもたちは驚いていました。そして、自らやってみたいと言って、やってみます。しかし、なかなかモール人形は動きません。そのうち、一瞬ですがモール人形が動くと「うごいたー」と言って喜びます。不思議を体験した瞬間です。そこからこつを掴んで、動きやすい声と動きにくい声があることに気がついていきます。大人から見ると、声帯が細かく振動している声と大きく振動している声ということになると思います。子どもたちは、いろいろ試しながらそれを感覚で理解していきます。
また、これはまだやっていませんが、ポリ袋の膜の上で塩(アジシオ)を踊らせると、模様を描くことが出来るそうです。この振動で作り出された模様を「グラドニ図形」といいます。ポリ袋の上でも、大きく振動する場所と、ほとんど振動しない部分があり、振動しない部分に塩が集まって模様が作り出される仕組みです。1787年、ドイツの物理学者エルンスト・グラドニが発見しました。ある記事では、その図形を「神が音に託した指紋」と表現していました。面白いですね。確かに、グラドニ図形を検索してみると、周波数の違いによって様々な模様が描かれ、非常に神秘的な物を見ているかのようになります。
グラドニは、どのようにこの図形が作られることを発見したのでしょうか。もしかすると、声で何かが動くことを知ったのがきっかけとなったかもしれないと、そう感じさせるような、子どもたちの姿でした。
(投稿者 小松崎高司)
モール人形を使うのはおもしろいですね。塩でのバージョンはやったことがあるのですが、高い声を出すとうまく塩が振動しました。それでもなかなか難しかったです。子ども達も楽しんでいましたが、自分の声で振動が生まれるというのは不思議ですよね。科学ゾーンに置いてあるというのもいいですね。子ども達が取り出して試したい時に試したり、遊んだりできるように用意しておきたい実験道具です。取り入れてみたいなと思いました。
これを最初に見た時は驚きました。大人の好奇心をくすぐる面白い取り組みだと思います。このような取り組みを丁寧にしていきたいですよね。
小松崎先生は現在ぐんぐん組1歳児クラスの担任ですが、先日は、絵本の内容に合わせて音のなる機械を使ってその世界観を広げて子ども達に読んであげていました。センスは磨かれるものと思います。どんどん新しいことを取り入れていきたいですね!